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チーム天狼院

あの時の初恋の話をしよう。「手紙のやり取り」だからこそ、伝えられるものがある〜『往復書簡 初恋と不倫』〜《読狂日記〜或る活字中毒者たちの記録〜》


記事:山本海鈴(チーム天狼院)

 

「文通」というものを、覚えているだろうか。

今となってはもう考えられないが、まだ携帯電話が流通していなかったころ。
小学校高学年のときのことである。

流行っていたのが、「手紙」だった。

授業中にコッソリ、小さなメモ帳にに文字をしたためる。

折りたたんで、2席向こうの◯◯ちゃんに渡す。

数分後、前の席の男子が、その子から回ってきた返事を無言で渡してくる。
先生にバレないよう、麻薬の密輸かのようにさりげなくおこなわれる手続き。

開いた小さなメモ帳の上には、その人らしさが詰まった文字がびっしりと記されている。
どう考えてもくだらない内容だったと思う。
けど、小さな手紙のやり取りの幸せは、大きなものだった。

忘れられない手紙のやり取りがある。

中学生のときのことだ。

まったく接点のない男子と、手紙のやり取りをしていたことがある。

結論から言うと、私は、そのA君のことが気になっていた。

クラスも別。委員会とか、部活が一緒だったという訳でもない。

ただ、ときどき廊下ですれ違うときの雰囲気や、
体育の時間にグラウンドを縦横無尽に走り回る姿を見て、なんだか無性に気になってしまったのだ。

A君と同じ部活で、仲が良いらしい男子がいた(仮にB君としよう)。
B君と私は、同じクラスだった。
なんとか、A君とやり取りできないだろうか?
B君に協力を仰ぎ、頼み込んで、なぜだか、A君との手紙のやり取りがはじまったのだった。

ペースにして、1〜2週間に1回。
私が書き上げたら、B君にあずける。
A君から返事が来ると、B君がコッソリ渡してくれる。
手紙を開くと、ただの白い紙の上に、シャーペンで書かれていた。
少し筆圧の弱い、うにょうにょした文字だった。

部活の大会が次いつだとか、もうすぐテスト嫌だな、とか、なんでもないことばかり書かれていた。
けど、ふだんちょっとだるそうにしていて、愛想がないように見えるA君は、手紙では、何だか素直なような気がした。
なんか案外、可愛らしいところあるじゃん、と思った。

そのあと、何回か会って直接話すようにまではなった。
が、結局、なんとなくうやむやなままで終わってしまった(中学生なんてそんなものだ)。

けど、確かなことがある。
直接会ったことよりも、直接話したことよりも、
手紙にしたため、なんでもないことをやり取りしたA君の筆跡だけは、強烈に記憶に残っている。

「文通」は、思ったよりも、相手の心にしっかりと根をはりつづけるのだ。

誰しも少しは味わったことのあるだろう、文通の甘酸っぱい想い。

そんなこそばゆい気持ちを思い出してしまうような、「往復書簡」をテーマにした本がある。

『往復書簡 初恋と不倫』だ。

往復書簡、とは、特定の人物2人によってやり取りされた手紙のこと。

ドラマ『Mother』や『Woman』、『カルテット』まで、話題となったさまざまなドラマを手掛ける脚本家・坂元裕二さんの作品である。

この本は、

『不帰の初恋、海老名SA』
『カラシニコフ不倫海峡』

の大きく2篇からなる。

ただし、普通の小説とは、ちょっと違う。

元々は、朗読劇で公演されたものだった。
それが書籍となった。

つまり、この本は、男女2人の手紙のやり取り「のみ」で構成されているのだ。

冒頭は、なんでもない、けどちょっと面白おかしい会話から始まる。
それが、ジェットコースターのような急展開を見せる。
「手紙のやり取り」のみで、ここまで伝わるものがあるのか、と思わせる。
坂元さんのつむぐセリフのやり取りのリズムが心地よくて、おかしくて、時に心をグサッと刺されて、う〜ん、と唸らずにはいられない。

説明文がないからこそ、手紙に込められた「想い」が、ここまで強烈に伝わるのかもしれない。
なんでもない会話が噛み合う心地よさが、鮮明に洗い出される。

情報量が少ない中にこそ、伝えられるものがあるのかもしれない。
書簡だからこそ、あぶり出される感情があるのかもしれない。

そして、A君とやり取りした手紙を、思い出す。

あの時、どんな気持ちで書いてくれていたんだろうか。
文面そのままに、私は受け取って良かったんだろうか?

今となっては、昔のことだ。
こうして人に言えるようになるまでには、遠い記憶になっている。

けれど、あの小さな手紙で交わしたなんでもない会話こそが、私に大きな幸せをもたらしてくれてたんだな。

当時のことを思い出して、改めて、気づく。

この本は、何度も何度も、それこそ擦り切れるまで読んだ作品だ。
初めて読み終わった後も、呆然としてしまった。そしてすぐにまた最初からもう一度読み始めてしまった。それくらい、セリフの一粒一粒を味わい尽くしたくて、たまらない本だった。

今でも、読むたび、新しい発見がある。
この本で描かれる人間模様のラストは、時に辛辣で、心をえぐる。だけど、救われないグレーな部分も、まるっと包括して生きていく。そんなことを教えてくれる。

洗練された情報量だからこそ描ける人と人との想いが、そこにはある。

坂元さんの脚本は、いつも、気付かせてくれるのだ。

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