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メディアグランプリ

私の新しい相棒がもたらしてくれたもの


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:深谷百合子(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「あぁ、今日も疲れた。何もしたくないな」
毎日遅くまで残業が続き、家に帰るとソファに座り込む。
料理、洗濯、掃除……、色々なことが億劫だった。
 
どうせまたすぐ使うからと、カバンや本は出しっぱなし。床の上はいつも散らかっていた。いちいち片付けるのが面倒くさい。
そのくせ、乱雑な部屋の様子を見ると、気分が落ち着かない。
いつもすっきりしない気持ちのまま、家は寝るだけの場所になっていた。
 
そんなある日、そいつは私の家にやってきた。
初めて目にした時には、「思ってたよりも小さいんだな」と思った。
 
私はそいつの居場所を決めると、ひとまずそいつをそこに置いた。それからしばらくして、私はそいつを部屋の中で走り回らせてみることにした。
 
そいつは部屋の中を進み出すと、動き回りながら隅々を丹念に調べている。同じ場所を行ったり来たりし、時にはゆっくり、じっくりと嗅ぎ回っている。
 
かと思えば、勢いよく走り出した挙句、ゴン! と壁にぶつかって後ずさりをしている。そしてしばらく立ち止まって何かを考えているようだ。結構激しい音だったけれど大丈夫なのか? ハラハラしながら見守る。
するとそいつは向きを変えて引き返していく。そして元に居た場所に戻ると、また向きを変え、さっきと同じように勢いよく走り出す。またぶつかる! とヒヤっとした。でも今度はちゃんと手前で動きを緩め、ぶつかる手前で止まったのだ。一回で学習したのか! なかなか賢い。
 
安心して少し目を離していると、いつの間にか姿が見えない。慌てて探すと、テレビ台の下の配線に引っかかってもがいている。
「ごめん、ごめん」、そう言いながら元の位置に戻してやる。するとまた、そいつは自分の行きたい方向に向きを変えて走り出していった。
 
かれこれ20分位経っただろうか。そいつは最初に居た場所に戻っていくと、眠りに入った。「今日一日で私の部屋の様子を覚えただろうか?」と不安と期待が入り交じった気持ちのまま、私も眠りに入った。
 
次の日も、私は仕事から帰宅すると、そいつを部屋の中で動き回らせた。でもその前に、何かにぶつかったりしないように、床に置きっぱなしにしていた荷物を片付けた。
そして昨日と同じように部屋の中にそいつを放った。障害物が少なくなったせいだろうか。昨日よりも、のびのびと動いていた。
 
それ以来、私はそいつが動き回れるように、床に物を置かなくなった。
そいつが動き回る時に引っかからないように、床の上で乱雑に横たわっていたテレビや照明のコードも整理した。おかげで、乱雑だった部屋がきれいになった。部屋がすっきりすると、気分まですっきりしてくるから不思議だ。
 
そして、そいつが動き回っているのを見るのが帰宅後の楽しみとなった。椅子の脚の所に来ると、猫が「スリスリ」するように椅子の脚のまわりをゆっくり何度も回るかと思えば、直線コースに来ると勢いよく走る。面白くて時間が経つのを忘れて、ついつい見てしまうのだ。
 
いや、ちょっと待て。ついつい時間を忘れて見てしまうけれど、私がそいつと生活を共にしたいと思った理由は、疲れて帰宅した後でもやらなければならない事を少なくして、「時間を節約するため」ではなかったか。
そいつが走り回っている間、私は本来別のことをするはずだったのに、そいつのために物を片づけるという新しい作業が発生した。おまけに、動き回っているのを見てしまうから、時間を節約するどころか、逆に時間をとられている。
 
でも、そんなことは全く気にならない。むしろ、独り暮らしの家の中で、走り回るものが居ると、何だか相棒ができたみたいで、心が癒やされる。
とは言うものの、そいつは走り回るが、猫のように私にすり寄って来るわけではない。
犬のようになついたりするわけでもない。
ましてや、私のことを好きとか、嫌いとか、そんな感情も持っていない。
体温やぬくもりも無い。
単なる無機質のかたまりだ。けれども、今では私の大事な相棒なのだ。
 
そう、私の相棒は拭き掃除ロボット。
思ったよりも小さな体だったが、せっせと動き回り、気づくと部屋の隅から隅までまんべんなく拭き上げ、そいつが動き回った後の床はピカピカになっている。
ソファの下やテレビ台の下にも楽々と潜り込めるボディだから、普段見落としがちな場所もきちんと掃除をしてくれる。
 
だから、拭き終わったあとの専用ワイパーは、想像以上に汚れが付いていてびっくりするほどだ。
 
そいつが家に来てから丸3年。
そいつのおかげで、私は床に物を散らかさない習慣がついた。そして、自分で拭き掃除をしていなくても、床はいつもピカピカだ。
 
今ではそいつが働いている間、私は別のことをしているが、そいつが傍らで静かに黙々と動いている気配が有るだけで、何だかほんわかした気持ちになるのだ。
 
拭き掃除ロボット。これは単なる掃除機ではない。私の習慣を変え、時間を節約してくれただけでなく、ペットを飼っているかのような楽しみを提供してくれたのだ。
 
***
 
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2019-11-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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