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メディアグランプリ

親友のつくり方


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:郡山秀太(ライティング・ゼミ特講)
 
 
「友人代表お願いしたっけ?」(原文ママ)
 
されてない。
彼は、自分の結婚式の友人代表あいさつを、かなりラフに依頼してきた。
頼むならもっとこう、あるだろう。
 
そもそも、なんで僕なのか。
理由はきっと、腐れ縁。
いまお互い33才。思えば高校から数えて、もう15年以上の付き合いだ。
たった15年では腐れ縁とは言えません、とツイッターだったらクソリプ(つぶやきに対するネガティブな返信)がつきそうだが、僕たちにとっては長い付き合い。
いわゆる、親友なのである。
 
あいさつ文を考えていると、なつかしいことを思い出した。
 
そうだそうだ。
20才のとき、僕は、彼と縁を切ったことがあったのだ。
 
「お前に卓球では負けない」「いやいや僕も負ける気がしないよ」
縁を切るきっかけになった言葉だが、悲しいほどしょうもない、においが漂う。
 
僕たちは、いつも数人で集まり、お気に入りのファミリーレストラン・ジョイフルで雑談していた。
ベージュのソファに腰をかけ、一応メニューを見るが、決まって一番安いチキンドリアとドリンクバーを人数分注文。そして、延々としゃべり続ける。お店にも他のお客さんにも、すこし迷惑だったと思う。
結婚式のあいさつを依頼してきた彼は、このグループでは、くだらない冗談を言う役目。みんなでそれにツッコミ入れるのが一連の流れだ。
ふと、卓球の話になった。新しくできたバッティングセンター内に卓球場もあるとのこと。
 
話の流れで彼が「お前に卓球では負けない」といいだした。勝負をしたこともないのに。根拠のない自信にカチンときた。「こっちのセリフだよ。僕が負けるわけないじゃん」と応戦。
静かに言い合いをしていたが、僕の心の内ではコノヤロウと悪い火種が付いていた。僕は意地になってしまっていたのだ。
他の友人達もまさかこんなくだらない話題でヒートアップしているとは思いもしなかっただろう。
 
時間も過ぎ、その日は解散。
 
僕は、彼にメールを打った。
「もう、あなたとは遊べません。連絡もしてこないでください」
僕は自慢の短期を発揮していた。
本気度を伝えるため敬語。送信後、着信拒否にメールブロック。
コンセントを抜いて強制シャットダウンだ。
 
他の友人から連絡があった。
「おい、どうした」
「そんな感じ、ぜんぜんなかったじゃん」
「あいつも遊びたいって言っているぞ」
説得されたが、かたくなに、聞き入れなかった。
 
それから、1年が過ぎた。
彼とは相変わらずシャットダウン中。
 
高校以来、毎週のように遊んでいたのに。
僕は、あんなくだらない縁の切り方をした。
他の友人とは遊びにいくが、彼が来るとなると、断るようになった。
みんなで仲良く大きな砂山を作っていたのに、僕のかんしゃくで、その砂山は崩壊してしまったのだ。
 
専門学生だった僕はその日、例のジョイフルで朝早くから学校の課題をしていた。課題提出は昨日だったのにサボってしまい、なんとか授業開始までには終わらせようと慌てていたのだ。
 
朝のジョイフルはお客さんが他にいなくて静か。課題もはかどる。
こんなとき僕たちのような連中がワイワイ雑談していたら集中できないだろうな。
 
そんなときウェイトレスのおばちゃんが話しかけてきた。
なんでも、免許証の落し物があって落とし主に返したい、だけど名前のところが小さ過ぎて読めないのだそう。ちょっと見てもらえないかと依頼された。
 
忙しいが、いつも迷惑かけているジョイフルの頼みだ。
いいですよ、と承諾し、その免許証を見せてもらった。
 
おどろいた。
ああ、なるほど。
生きていると、
こんなことって本当あるのだな。
 
受験とか恋愛とか、追い込まれたときしか神様にはお願いしたことはないけど、今回はお願いしてもいないのにチカラを貸してくれたようだ。
どちらの神様かは知らないけど。
 
彼の免許証だった。
思わず、笑う。
 
彼のことを久々に思い出した。
自分の気持ちに確認すると、もう怒っていない。
 
知り合いだから渡しておきます、とつたえ、免許証を受け取った。(いま考えればよくぞ僕に託してくれた)
 
その日のうちに、着信拒否とメールブロックを解除。
緊張しながら、免許証のことをメールした。
いままで感じたことのない恥ずかしさがあった。
1年、僕のわがままで連絡を絶っていたのだからしょうがない。
 
連絡をしたのはいいが、男はプライドが高い動物。
気まずいので、二人きりでは会えない。
免許証を彼の家のポストに入れ、まずは無事返納。
 
友人の助けを借り、1年ぶりに、ジョイフルに集合。
ベージュのソファ、ドリンクバー。そして、彼。
 
彼は1年前と変わらず接してくれた。ほんとくだらない冗談ばかり。でも自然と笑ってしまう。嬉しい。ひさびさの時間は、少し涙ぐむほど心地よかった。
 
僕は、なにをあんなに怒っていたのだろう。
彼のやさしさに救われた。
1年無視していたわがまま野郎を何も言わず、許してくれたのだ。
 
彼とはもう15年以上の付き合い。
どのような出会いが、親友と呼べる友人を作るのか、わからない。絵の具と絵の具が混ざり、偶然、いい色になっただけかもしれない。でも僕は、この偶然を、一生大切にしたい。
 
彼のお嫁さんには、何度か会ったことがある。犯罪的にくだらない冗談を笑ってくれる、素敵な女性。
二人の絵の具は、とても、いい色だ。これから、もっともっと、いい色になっていくと思う。
 
それにしても、結婚式当日、ひとつ心配なことがある。
 
僕が泣いても、笑うなよ。
 
 
 
 
***
 
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2019-11-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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