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メディアグランプリ

ニートのすゝめ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【12月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:一ノ瀬 朔(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
四年間の大学生活を終えたのと同時に、私は“大学生”から“ニート”へと変身した。
 
もちろん、自ら望んで、ニートになった。
 
必死の就職活動で獲得した内定を蹴ってまでして得た道は、決して、楽をするためではない。
 
ちゃんとした目的があったのだ。
 
ニートになるにあたって、“目的意識”は必須防具。
 
防具がなければ、いとも簡単に落ちぶれてしまう。
 
敵は、自分自身と、その他大勢。
 
ニートっていいね。自由でいられる方がいいもんね。
仕事なんて、できればしたくないしね。
いいな、私もニートになりたい。
 
幸いにも、学校生活では“良い生徒”を演じていたため、表だってダメ人間扱いされることは少なかったが、周囲からのリアクションは、決して私の選択への理解を示しているものではなかった。
 
羨む声の数々は「私はあなたみたいにニートになることを選ばない」と、ヒエラルキーの転落を指摘しているようで、良い生徒を演じ続けてきた私のプライドをズタズタに切りつけた。
 
自らニートになることを選んだと言っても、やはり、ちゃんと会社に勤めている友人はまともに見えたし、社会的に優位な位置に鎮座しているようにも見えた。
 
「羨ましい。私もちゃんと就職して、安定した生活を送りたい」などと劣等感や恥ずかしさに満たされてしまったら、もう、ニートを続けることはできない。
 
精神的な負担はわりと大きい。防具がなければあっさりとゲームオーバーを迎えてしまう。
 
だからこそ、どうしてニートであるのか、目的を明確にしておくことが大事なのである。
 
じゃあ、どうして私はニートになったのか。
 
答えはこうだ。
 
私は、学校や企業といった、なんとなく生きていてもどうにかなってしまう世界から身を引き、自分自身と向き合いたかったのだ。
 
学校では勉強や部活動を、会社では仕事を、頑張れば評価されるし、評価されずとも、学生、会社員と言ったステータスを失うことは滅多にない。
 
それなりにこなせば、自分を証明できる世界なのだ。
 
だからこそ、とても恐ろしかった。
 
勉強や仕事を求められなくなった瞬間に、空っぽな人間になってしまうのではないかと、自分自身の軽さを懸念したのだ。
 
でも、勉強や仕事は、求められるからやることであって、私自身が求めていることではなかった。他動的な理由であって、自発的ではない。
 
けれども、当時の私は、熱中できる趣味や成し遂げたい夢を持っていなかった。求められたことをこなしていただけの、つまらない人間だったのだ。
 
私は、私として生きていることを、もっと実感したかった。私自身の意思を見つけることを諦めたくなかった。
 
だから私は、自分の中にある熱源を見つけるために、意を決し、ニートになる道を選んだのだ。
 
選んだからには、行動するのは絶対条件。
 
私は、かつてないほど身軽になった自分自身と向き合う日々を送った。
 
自分は一体、何をしたいのか、何になりたいのか。生きる上で、一番大事にしているものとは何なのか。
 
考えながら、それまでやってこなかったことにチャレンジした。
 
モノ作りに励んだり。一週間を、本を読むことだけに費やしてみたり。芸能系のオーデイションを受けたり、ボランティア活動をしてみたり、変な宗教に引っかかりそうになったり……
 
ある種の極限状態にいるからこそ、考えるより先に行動することができ、踏み込んだことのない世界に身を投げ新しい価値観を得ることができた。
 
そして何より、自分が本当に大事にしたいものが明確になった。
 
社会的身分が低くなり、貯金も無くなってくると「これだけは譲れない!」、「これさえあれば生きていける」といったものが見えてくるのだ。
 
極限状態を楽しむ中、求めていた趣味や夢を見つけられた頃には、それまで気になっていた周囲からの評価は気にならなくなっていた。
 
“夢”という目的地を定めたことで、私の防具は大幅に強化されたのだ。
 
強化された防具、目指すべき目的地を得たことで、そろそろ必要となってくるのが“お金”だった。
 
底をつきそうな貯金を補充するために、ついに私はニートを卒業することとなる。
 
給料条件の良い会社に就職し、必死になってお金を貯める日々。
 
理不尽に怒られることもあったが、一度、ニートを経験したことで、誇るべきプライドが残っていなかった私は、大きな傷を負わずにすんだ。
 
好きじゃない仕事も、ニートの道で得た夢があるからこそ頑張ることができた。
 
三年間ほどの苦行を経て、軍資金を貯めた私は、再びニートの道に舞い戻る。
 
ニート Second season の始まりだ。
 
強化された防具、目的地、お金を装備した私は、ついに、剣を手に入れるための旅に出た。
 
貯めたお金を崩しながら、夢を叶えるために学ぶ日々。
 
本を買って勉強に励んだり、習い事に通ったり。仕事を辞めたことで得た時間を、夢を叶えるため、目一杯に消費する。
 
これこそが、ニートという“自由な旅人”が成せる奥義である。
 
腰に差す短剣の数を少しずつ増やす旅は、自分らしく生きていることを実感させてくれる。
 
何もしなければ何も起こらない旅だからこそ、行動し続けることができる。
 
いつまでもニートであり続けることはできないと理解しているからこそ、一日一日を大切に過ごすことができる。
 
自由故に不安定な旅路の中でも、自分自身を見失うことなく、歩くことができている。
 
私は、ニートになることを選んだ過去の自分を、誇りに思っている。
 
この選択は、想像以上に私を逞しく育ててくれたから。
 
最後に大事なことを。
 
目的もなくニートになることは、流石におすすめできないので、ご注意を。
 
 
 
 
***
 
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2019-12-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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