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私が胃カメラを進める理由。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事: 熊元 啓一郎(ライティング・ゼミ平日コース)
 
「おお、こんなに小さい胃癌をよく見つけたな!」
一回りも上の上級医の三石先生が、よくやった! と私の肩をたたく。
検査中に胃カメラから映し出される画像を注意深く観察していた私は思わず心の中でガッツポーズをとる。
「しかし、若い人の胃癌も増えてるなあ」
三石先生が検査を受けている男性を見ながら言う。検査を受けているのは高田さんという40代前半の男性で、薬を使って眠っているが、血色もよく元気そうな人だった。
「でも、早く見つけられて良かったですよね」
「そういうこと。早ければ手術せずに、胃カメラで治療できるからな」
検査が終わったら治療の説明をしておいて、そう言って三石先生は検査室を出て行った。後日、内視鏡で取り除くことができた。
 
これは、私たち消化器内科医には割とよくある光景だ。
胃癌は罹患率や死亡率が高いので、胃カメラをして早く見つけることは重要だが、きつい、つらいといったイメージが強く積極的に受けたがる人はそう多くない。
 
胃カメラ。
硬くて、カメラの先端は少し太めのボールペンくらいの大きさがある。
喉の麻酔をしているとはいえ、黒くて太いものを飲み込む検査は本当に辛いものだと思う。
喉がザラザラして嫌だ、お腹も張る。しんどい!
学生の頃に胃カメラの検査を受けた時、意識が朦朧となりながら早く終わってくれ、と願っていたことを今でも覚えている。
特にカメラの先がお腹の中に当たる感じが嫌だった。もし胃の中にエイリアンがいて、お腹を突き破って出てくるならこんな感じだろうかと思ったことさえある。
消化器内科医の私でもこんなイメージを持っていたのだから、受ける人たちはきつくて、つらくて、もっと得体のしれない悪いイメージを持っているかもしれない。
 
しかし私の持っているイメージが変わった出来事があった。
数年前自身の勤める病院で胃カメラを受けたのだ。
正確には受けさせられたのだが。
あまり受けたく無かったが、30歳半ばが近くなると自分の体が心配になる。
「先輩、僕に任せてください」
5つ下の後輩にそう言われて僕は検査台に寝かせられた。
ああ、またきつい検査が始まるのか。
半分諦めながら、私は検査台の上で横になった状態で遠くを眺める。
「苦しいかもしれないですけど、頑張ってくださいね」
彼はそう言って検査を開始した。
私は胃カメラを受けた時のことを思い出す。
以前は検査中にぼろぼろと涙を流してしまった。せめて後輩の前ではそんな恥ずかしい姿は晒すまい、そう決意した。
 
……
 
あれ?
 
身構えていた私をすり抜けるように、あっという間にカメラが喉を通過する。
 
えっ?
 
カメラ自体は小型化して昔よりも大分受けやすくなっていた。お腹の張りはあるものの、喉のこすれる感じがあまりなかった。何よりカメラが胃に当たあるあの嫌な感じがかなり軽減されていたのである。
思った以上に楽だった。
後輩の彼の腕が良かったこともあって、5-6分で検査は終了した。
 
「お疲れ様でした。きつくなかったですが?」
後輩が私を心配してくる。
私は思わず、サムズアップしてしまった。
 
胃カメラは進化している。
いろいろと改良が加えられて、検査が受けやすいものになっているのだ。
カメラ自体は小型化して昔よりも大分受けやすくなったということも大きいが、カメラの画質が上がったことも大きい。
例えるなら通常のテレビとデジタルハイビジョン。
あまりにテレビの鮮明すぎる画質を見て芸能人のシミやシワが気になるように、細かい病変を見つけることができるようになった。このおかげでよりスムーズな観察が可能になったのだ。他にも鼻からする胃カメラも以前と比べて画質が上がったことや、病院によっては点滴を取って眠り薬を使ってやることで患者さんの苦痛なく検査ができるようになっている。
 
「全然きつくなかったです」
「眠っている間にあっという間に終わりました」
 
そんな声もよく耳にするようになった。
胃カメラを受けた人たちが私に言ってくれる言葉だ。
その言葉を聞くたびに胃カメラは進化しているのだなと実感する。
もちろん自分の技術も上がっていると思うが。
そしてこれからも、もっと進化して楽なものになっていくのだろうと思う。
もし、嫌なイメージがあって胃カメラが受けられない方は是非受けにいってほしい。もしかしたら信じられないくらい楽になっているかもしれない。そして、それが健康につながると願っている。
 
 
 
 
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2019-12-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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