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村上春樹ダイエット


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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文:エト・ミワ (ライティング・平日コース)
 
どんな年齢においても、女性の大きな関心事の一つと言えば「ダイエット」である。かくいう私もご多聞にもれず、これまでの人生のわりと大きな時間をダイエットに費やしてきた。糖質制限、ホットヨガ、断食、ジュースクレンズ、酵素……。もちろんエステも何度も通った。だが、自他ともに認める‟飽き性“の私はなかなか「続ける」という行為ができず、上記のダイエットで一時的には痩せるが、結局元の体型に戻っていく「リバウンド」を繰り返して生きてきている。
 
だが、この激動のダイエット人生の中で、「もっとも効果が高かった」と感じているものがひとつだけある。それが、「村上春樹ダイエット」だ。これはとても簡単で「村上春樹の本を読む」ことで痩せられるというもの。もちろん「村上春樹ダイエット」なるハウツー本があるわけでなく、単に私が勝手に編み出した技だ。
 
これなら村上作品が刊行されるタイミングには必ず痩せることが可能で、私はかれこれ20年ほど村上作品を読んだ前後は痩せることができている。「はて?」と首を傾げられる方もいらっしゃると思うので、少しだけ説明したい。
 
私が村上春樹に出会ったのは高校2年生の頃。「象の消滅」という短編が国語のテストに出たことがきっかけである。それ以来、私は村上春樹作品を耽読するようになったのだが、何冊も読むうちに、私はストーリーの面白さとは別の、村上作品を読んだあとにだけ生じる、おかしな感情に気づくこととなった。
 
それは「掃除がしたい」と、「運動がしたい」である。
 
「ねじまき鶏クロニクル」「海辺のカフカ」「色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年」など、村上作品の、特に長編ストーリーの共通点といえば、ある日突然妻や恋人が出て行ったり、友達に絶縁されたりと主人公に突然大きな「喪失」が遅い、その大切なものを奪った邪悪なものと戦うことで、自身が成長するというもの。
 
そして、邪悪なものと戦うべく、主人公がまず最初にやることが、「部屋を掃除し、体を鍛え、冷蔵庫にある食材でサラダやオムレツなどのヘルシー料理をつくり、コーヒーを淹れる」、だいたいこの4つなのだ。
 
そして村上氏の筆でそれが描かれるのを読むと、私は毎回無性に片付けがしたくなり、体を鍛えたくなり、ヘルシー料理を作りたくなり、そしておいしいドリップコーヒーを淹れたくなるのである。とにかくきちんとした生活を送りたくなり、片付けをしはじめ、部屋がきれいになり、運動して、どんどん痩せ始める。
 
たしか内田樹氏の本に書いてあった(うろ覚えです)のだが、この描写には意味がきちんとあり、「生活を調え、体を調えなければ邪悪なものと戦うことはできない」という強い信念が作者にあってのものだという。
 
実際、村上春樹はエッセイで「健全な身体でなければ不健全な魂を宿すことはできない」と書いていたこともあり、自分の身に近づくさまざまな「悪」と戦うために、あくまで日常の中で身体を健全に保つよう行動することを、その超絶な文章テクによって読者に潜在的に誘導しているのだと思う。そしてその方法が、掃除であり、運動であり、時にアイロンかけだったりするのだ。
 
もちろん、私が‟影響されやすい“性格であることは、残念ながらこの村上春樹ダイエットに欠かせない要素なのだが、私が村上作品を読んで始めたことの大きなひとつに「水泳」と「ランニング」があり、これはどちらも細々ながらも10年以上続いており、村上作品の主人公と同様、「辛いことがあるととにかく泳ぐ」というクセが付いてしまっている。
読書をしたことで体が強くなるなんて、実利的なメリットでとても嬉しい。
 
さらに私は、絶望に打ちひしがれていた30歳のときに、村上が自身のランナーとしての経験を書いた「走ることについて語るときに僕の語ること」を読んで、トライアスロンまで挑戦してみたこともあるのだけれど(そしてあまりにキツくて1回で終わったけれど)そのときも必死に練習して体を鍛えたことで、そのとき直面していたとんでもない絶望を乗り越える強さを身に付けられたと思っている。
 
村上春樹というと、近年は「ハルキスト」なる言葉も浸透してしまい、毎回ノーベル賞なのでも話題になるため敬遠する人もすくなからずいるのが現実で、私はかれこれ20年以上愛読しているが、東野圭吾のような感じで「村上ファンです」とは言えない空気をずっと感じている。
 
だが、若い女子たちがすごく悩んだときなどは、村上作品をおススメしたい時もあり、そういう場合は「読んだらキレイになるかもよ」と一言添えて、エッセイ本をそっと渡してみるのである。
(※効果には個人差がもちろんあります)
 
 
 
 
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2019-12-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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