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メディアグランプリ

世界を目指すなら、これを伸ばして縮めよう


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:関戸りえ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
「バチンッ」という耳慣れない音が冬のダンス室に響き渡った。床張りの部屋で、みんなが静かにストレッチをしてウォームアップし始めてすぐのことだった。
その時私は、足を前後に180度開いてストレッチをしていた。
 
全国でも毎年入賞するほど強豪な高校のダンス部に所属していた。
数年前に大ブレークした大阪の登美丘高校ダンス部の「バブリーダンス」。集団でテーマに沿って舞台を駆け巡るダンスである。団体競技だが、個人のスタミナや柔軟性が要求されるのである。
 
「ヤバい、やってしまったかも……」
私はただうめくことしかできなかった。起き上がれない、座れない、立てない。
動けないどころか、じっとしていることもできなかった。
 
私の前後に伸ばした大腿四頭筋とハムストリングが「ゴムパッチン」のごとく、筋肉をひっぱりあっていた。
ゴムパッチンをご存知だろうか。ユートピアというお笑いコンビがかつて一斉を風靡した芸である。
一人が太いゴムの端を口にくわえ、もう一人はゴムの反対の端を手で引っ張る。ゆっくりと引っ張って、散々焦らした挙句パッと手を緩める。するともう一方の顔面に「パッチン」と音をたててあたり、そのリアクションや、当たる寸前の「間」を楽しむ芸である。
私の太ももの内部では、伸縮性のあるゴムのような大腿四頭筋とハムストリングとが、足の付け根に近い方と膝の方で、「まだまだ引っ張るで。まだイケるか?そろそろやな」と引っ張り合いながら駆け引きしているようだった。これ以上引っ張れないというところで、手からゴムを離す。顔面にゴムが当たって、痛っ、となれば笑えたのだが、私の足は「バッチン」という音とともに筋が切れた。
しばらくは、歩くことも、座ることも、寝ころぶことも激痛との戦いだった。
そして、ダンスの舞台に立つことを諦めざるを得なかった。
あれから30年近く経った今、私は床に両足を伸ばして座り、前傾姿勢でつま先を掴んでいる。長座体前屈という運動だ。足を前に伸ばして、座ったまま頭と手をつま先へ伸ばす動き。胸が太ももにベッタリつく。太ももの裏が引っ張られて痛いということもない。
運動療法やストレッチやヨガなどを続けたおかげである。
あの怪我以来、体の構造、筋肉や関節などについて学びを深めていった。
そこで柔軟性を即高められる、ある秘密の方法を見つけた。
長座体前屈の場合、まずある筋肉を縮めてみるのだ。
それはハムストリング。ももの裏の筋肉たちだ。
まず両膝を軽く曲げ、胸と太ももの前面をピッタリくっつける。そのままの姿勢で、息を吐きながら両足を前方に滑らし体を前傾させる。腹筋をできるだけ縮めるイメージ。頭や肩、上半身の重力を感じながらやると、通常よりもやや楽に前屈ができるはずだ。くれぐれも無理はしないようにやってみよう。
べたっと二つ折りのポーズができれば良いのではない。
重要なのは、あくまでも自分が気持ちいいと感じること。
筋肉ひとつひとつに意識を集中してみる。
太もも、ももの裏、膝周り、膝の裏、腰、肩、首、腕、臀部など。どこが伸びてどこが縮んでいるのかを自分でわかるまで感じてみる。これが簡単そうで難しい。自分の可能性を知る。限界を知る。何が心地よいのかを思い出す。自分の筋肉たちと対話を続けていくと、ある感覚が蘇ってきた。子供の頃、どれだけ走り回ったり木登りしたりしても疲れや痛み知らずの体。あれは、筋肉の伸縮性が優れていたからなのである。あの体を取り戻したい。今からでも遅くはない。
 
たかが、ストレッチ。筋を伸ばすだけではないかと思われるかもしれない。
私たちの体には、400ほどの骨格筋がある。それらを伸ばしたり縮めたり、ひねったりして日々の生活を送っている。骨格筋とは、骨に付着して骨格や関節を動かす筋。繊維が束になったものが筋である。鶏の骨つきもも肉の関節部分をグルグルひねったり、折り曲げたりしてみるとわかるだろう。
包丁を持つたび、ブレーキペダルを踏むたびに、それらひとつひとつに想いを寄せてみると、自分の体が愛おしくなり、ちゃんとメンテナンスをしてあげようという気になる。おかげで、肩こりや腰痛に悩まされることはほぼゼロである。
 
スポーツや楽器の演奏、絵を描く時でさえ筋肉は複雑に動いて様々な表現を可能にしてくれている。
それらのパフォーマンスを最大限に発揮するには、やはり伸ばしたり縮めたりするストレッチが欠かせない。
 
あの「バチンッ」で、笑いは取れなかったが、今では多くの人の目標を達成するのに役に立っている。私はダンスの舞台には戻れなかったが、代わりに若いビオラ奏者が縮めるストレッチのおかげで世界の舞台でデビューを果たしてくれた。
来年のパラリンピックのメダルを目指して、今も若者が筋肉を縮めてストレッチしている。
 
 
 
 
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2019-12-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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