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メディアグランプリ

万年体育2のマラソンランナー


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:田中 貴美子(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
30キロマラソンに、エントリーしてしまった……。
 
月イチで通っているセミナーの仲間たちが、次々とフルマラソンやトライアスロンに参加し、完走を成し遂げ、そのつらさや素晴らしさ、感動を、Facebookにアップしていくからだ。
「私も、置いていかれたくない! 同じ感動を味わいたい!」
と、つい思ってしまったのだ。
――完全に、勢いだった。
 
「まずい……、非常にまずい」
なぜなら私は、小学生のころから、万年体育2の見事な運動音痴だからだ。 運動に関してはトラウマしかない。
逆上がりは、毎日夕方遅くまで両親に付き合ってもらい、公園で泣きながら練習したのに、まったくできなかった。 クラス対抗の大なわとび大会では、うまく縄に入ることができず、クラス中から顰蹙を買った。 運動会は、いつもビリだった。
 
こんな自分がマラソンを完走するなんて、絶対無理だっ‼
 
しかし、セミナー仲間にも、マラソン参加を宣言してしまった以上、みっともない走りはできない。 半月くらいは、まじめに毎日5キロくらい走っていたのだが、月日が経つにつれ、まったく練習する気が起こらなくなってしまった。 ただでさえ大嫌いなランニング。 そのうえ、季節は冬。 そう、朝晩の寒さと暗さが、私の練習意欲を殺いでしまうのだ。
 
「今日は仕事で疲れたし、明日にしよう」
と、先延ばしにしているうちに、大会まであと2週間になってしまった。
 
さらに、一緒に参加しようと言っていた仲間が体調を崩してしまい、今回はキャンセルするという連絡が入った。 エントリーしたことへの後悔と、練習できない自分への不甲斐なさ。 そして大会まで時間がないという焦りと、ひとりで参加しなければいけないという恐怖に、私は押しつぶれさそうになった。
 
「私も、このまま、しれっとドタキャンしてしまおうか」
「エントリー代はもったいないけど、どうせこんな体力じゃ完走できないし」
「別に、私が参加しなくても誰も困らんし」
 
私は、師匠に相談した。
 
「マラソンにエントリーしたけれど、まったく練習する気になりません。 大会まであと2週間しかないのに、どうしたらいいでしょうか? 完走する自信がありません」
 
「完走しろとは誰も言ってない。 エントリーしたところから、お前の修業は始まっているんだ。 練習不足でも何でもいいから、とりあえずスタートラインに立て!」
 
師匠はそう言って、私の背中を押してくれた。
 
そして、セミナー仲間も「当日は応援に行くよ!」と言ってくれた。
実家の母からも、心配と励ましの気持ちがこもった、長文のメールが届いた。
 
完走できなくてもいい。 みっともなくてもいい。 この人たちのために、私は走ろう。
 
12月15日午前11時15分。 雲ひとつないきれいな青空。 まさにマラソン日和。 私の無謀なチャレンジは幕を開けた。
 
一周1.25キロの平坦なコースを24周できれば完走だ。
大丈夫、大丈夫。 とりあえず走ったことのある5キロまでは絶対にいける!
 
実際、5キロまでは軽快だった。 1キロのラップタイムも、練習時より少し速いくらい。 大丈夫、大丈夫。
沿道からは、大会ボランティア・スタッフのみなさんや、セミナーの仲間たちが、あたたかい声援を送ってくれ、私の走る姿を写真や動画に収めてくれている。
 
そして、未体験の世界、10キロが近づいてきた。 少しずつ足が重くなる。 ラップタイムも遅くなってきた。
 
「まだいける、まだいける」
「とりあえず、もう一周」
心の中で、自分を鼓舞し続ける。
 
実は、大会前、心の中でひとつだけ決めていたことがある。 完走はできなくても、20キロまでは絶対にあきらめない。 歩いてでもやり遂げよう。
 
15キロあたりからは、ほとんど気力だけで足を動かし続けた。 給水所でスポーツドリンクや水を補給してはいたものの、低血糖状態になっていたようで、だんだんと頭が痛くなり、クラクラしてきて、もう走れない。 まっすぐ歩くことさえ難しくなってきた。
 
「ナイスラン、がんばって!」
 
沿道の声援に励まされ、手元のランニング・ウォッチに目をやる。 17キロ地点で、タイムは2時間35分52秒。 このペースでは、制限時間の4時間30分で完走は不可能だ。
 
「ここまでかな……」
気力が、ふっと、途切れた……。
 
あと、3キロがんばって歩こう。 最低限、自分が決めたところまで、這ってでも行こう。 そして、20キロ地点で、計測スタッフに告げた。
「すみません。 ここでリタイヤします」
 
20キロのタイムは、3時間1分56秒。 私の挑戦は、ここで終わった。
 
仲間に撮ってもらった写真には、今までに見たことのない、さわやかな笑顔で走る私がいた。
 
 
 
 
***
 
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2019-12-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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