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メディアグランプリ

夫の行動に振り回わされても、結局は救われてる話


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:渡辺みゆき(ライティング・ゼミ冬休み集中コース)
 
 
ある年のゴールデンウィーク、私たち家族は「キャンプに行こう!」と張り切って準備をしていた。私たち家族はキャンプが大好き。まとまった休みが取れる日はキャンプに行くのが恒例になっている。夫も息子も気分はウキウキだった。
 
 
しかし当日、強風が吹き荒れていた。自宅を出て、移動中に風が弱まることを祈っていたが、それは通じなかった。キャンプ場についても風が弱まるどころか、さらに強くなっている。
 
 
私はネガティブ思考で、石橋を壊す寸前まで叩きまくってからでないと渡れないタイプ。強い風を感じた途端、テントが無事に張れるイメージが湧かなかった。
 
 
「これは無理だな」
 
 
私はそう思ったし、キャンプ場の管理人さんも「やめたほうがいいです」と念を押していた。風が強い中でのキャンプは危険が多いのだ。しかし夫は意に介さない。
 
 
「お母さん、そっちのポールを持って!」
 
 
私は「マジで?」と耳を疑った。「キャンプ止めよう?」と言ったが、どうしてもキャンプをしたい夫と息子との多数決に負けてしまった。他の家族がテントを張れていたのを見て、諦めらきれなかったようだ。
 
 
夫は私とは逆で、行き当たりばったりで行動を決めるタイプ。私は夫の行動パターンに振り回されて、神経をすり減らされることも多い。
 
 
ああ、まさかこの状況で、彼の「行き当たりばったり」が発動するとは。しかも、すでにテントを張り終えた、隣のサイトのご夫婦が加勢してくださっている。この状況では、私もテント設営に加わるしかない。
 
 
私は夫に言われるがまま、テントを建てるためのポールを支えた。しかし、テントが風にさらわれるのを食い止めるのに必死。形相も必死。不安がる子どものことを、気にかける余裕はない。
 
 
テント設営が思うよう進まない状況に、夫はイライラ。そんな夫を見ていた息子もイライラ。こんな時でも、イライラの感情は容赦なく伝染する。
 
 
家族のイライラがとどめを刺したのか、ついにテントとポールは暴風にあおられて飛ばされ、無残にも壊れてしまった。この瞬間、キャンプができなくなってしまったのだ。
 
 
「あー!」
 
 
テントが壊れたとわかった瞬間、大人はボーゼン。息子はギャン泣き。お隣のご夫婦もいたたまれなさそうな表情。最悪の状況である。
 
 
果たしてこの状況で何ができるのか?このキャンプ場には、テントサイトの他には炊事場と水洗じゃないトイレ、かまどといった最低限の設備しかない。
 
 
テント以外は全然問題ない。しかし、テントがないと食事も睡眠もできない。何もできないままキャンプ場を後にするしかなさそうだ。良かった、こんな台風並みの風の中でキャンプなんて危険すぎるよ。早く帰りたい……。
 
 
と思ったら、夫が切り出す。
「よし、テントを買いに行くぞ!」
 
 
え? 今、なんて言ったの?
 
 
夫の声に耳を疑う。彼の中では、キャンプは全然終わっていなかったのだ。息子も「よっしゃー! 行こう行こう!」とはしゃいでいる。
 
 
ひとまず壊れたテントを車に積み、キャンプ場を後にする。私は気持ちの整理が追いつかず、いまだに家に帰れると信じていた。しかし、車は自宅の方向ではなく、レジャー用品店へ。もう諦める(?)しかない。
 
 
キャンプ用品のブースには、家族向けの様々なテントが建てられている。天井が高いテントは風に弱いから、天井の低いやつにしよう。と、品定めする夫と息子。
 
 
テントはお気軽に買える値段ではない。それでも「キャンプをしたい!」という気持ちに素直に従って行動する夫はスゴイ! と思ってしまったのも事実だ。しかし問題は風、スマホを取り出し、キャンプ地の天気予報を見る。風は弱まるようだ。
 
 
これはもう、キャンプ続行だな。うん。
 
 
「風は弱くなるみたいだよ」と夫と息子に伝えると、2人のテンションはさらに上がった。息子は「キャンプ場に戻りたい! バーベキューしたい!」と、とびっきりの笑顔だ。
 
 
息子の顔を見て、私はハッとした。このワクワクいっぱいの笑顔だって、夫の行動がなければ見れない顔だった。「テントが壊れたら、買えばいいじゃん」という発想が、私にはできなかった。
 
 
夫の行き当たりばったりの行動に「本気なの?」と、思うこともある。「あー、やっぱりやめとけば良かったな」と、後悔を口にすることもある。しかし、用心深すぎる私の行動パターンを上回る新しい経験、思いがけない発想を得ることもあったのだ。
 
 
結局、壊れたテントは後日修理に出した。新しく買い直したテントは、出番が無くなったのか? といえば、そういうわけではない。背の低い私でも設営でき、テントサイトが狭いキャンプ場でも使えるサブテントとして活躍しているのだ。
 
 
私は車の運転が苦手なので、外出時の腰も重い。とことんインドア派である。しかし夫は行動範囲も広く、当日の朝に「そうだ、飛騨へ行こう!」と、片道3時間かけて行ってしまうほどだ。お出かけ大好きな息子も、そんな夫が大好きである(まぁ、もちろん母のことも大好きに違いないが)。
 
 
夫の行動に振り回されっぱなしの私。しかし、夫の行き当たりばったりが、時には私の行動範囲と発想を広げてくれた。時にはケンカもあるが、翌日には仲直り。私とはタイプの違う夫には感謝している。たとえ結婚記念日や誕生日を忘れていても、だ。
 
 
 
 
***
 
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2019-12-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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