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お正月に関心のなかった私がお正月を“特別な日”にできた理由


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:一ノ瀬 朔(ライティング・ゼミ平日コース)
 
お正月に対して、特別な感情はなかった。
 
おせち料理は、好きではない。お雑煮も、得意ではない。
 
お餅にいたっては、煮ても焼いても、蒸したとしても、食べたいとは思わない。
 
お年玉をもらう年齢でもなければ、福袋目当てにデパートに行くほどの熱意もない。
 
お正月は、あくまでも一年の節目。
 
特別やることを挙げるならば、元旦の早朝に家族と成田山まで初詣に行くか行かないか、本当にそのくらいだ。
 
折角、一年という周期があって、一年の始まりと終わりを意識する晴れの日があるというのに、このまま関心なく時間を過ごしていいものなのだろうか。
 
少々罰当たりな気持ちはあっても、考えるだけ考えて、特に何もしてこなかったのが一昨年まで。
 
来年こそはお正月を特別な日にしてみたいなと悩み
 
「あ、良いこと考えた」
 
と閃いたのが、昨年末の私。
 
お正月の中に組み込まれている数々のコンテンツに興味がなければ、自分で作ってしまえばいい。
 
そう、思い立ったのだ。
 
クリスマス模様が色濃く散らばる十二月。
 
私は、都内の東急ハンズへ行き、僅かに設けられていたお正月飾りのコーナーへと足を運んだ。
 
華やかな装飾のされたしめ飾りが並ぶ中、私が手に取ったのは、装飾を一切纏っていない、シンプルなしめ縄だった。
 
玄関用と車用、大小あわせて約五百円。
 
もちろん、お正月に興味がないからお飾りも質素でいいという理由で選んだものではない。
 
理由はその逆だ。
 
昨年の春ごろから、趣味として時間を投じている“モノづくり”を活かして、お正月を華やかに彩ろうと企んだのである。
 
シンプルなしめ縄に添えるのは、色とりどりのちりめんで花びらを作って一輪の花を咲かせる“つまみ細工”。
 
一枚一枚、ちりめんを折り重ねて花びらを作る、地味な作業。
 
ピンセットを使って、正方形のちりめんを三・四回折る。慎重に形を整えて、底の部分にボンドをつけて形を固定させる。
 
何枚もの花びらを作っては、それを丁寧に並べて、一輪の花を作った。
 
花だけでは物寂しいと、つまみ細工以外にも水引を束ねたり、レース糸でタッセルを作ったりと、大小、二つのしめ飾りを作るのには、五時間ほどの時間がかかった。
 
大変ではあったが、味気なかったしめ縄が華やかに変貌した姿に、母と父は大いに喜んでくれた。
 
「可愛い! これは、お店に売ってないよ!」
 
「へぇ、なかなかカッコイイじゃん」
 
出来上がったしめ飾りを見て喜んでくれる言葉は、一年を締めくくるに相応しい達成感を与えてくれた。
 
そして、それと同時に、自分の作ったしめ飾りが飾られるお正月が待ち遠しいと思うようにもなった。
 
それまで、お正月に関心のなかった私は、手作りのしめ飾りを通して、お正月への愛着を抱いていたのだ。
 
お正月、家の玄関扉に時間をかけて作ったしめ飾りが飾られているのを見て、改めてお正月に対して関心のなかった自分を痛感する。
 
しめ飾りには、年神様をお迎えするために、「ここは神様を迎えるに値する神聖な場所ですよ」と示す役割があると知ったのは、しめ飾りを作ろうと思い立ってからのこと。
 
関心がないことを理由に、私はお正月に歩み寄ろうとすらしていなかったのだ。
 
お正月という晴れの日を特別にするかしないかは、自分の行動次第。
 
ただ、用意されたものを目の前に、興味のあるなしを判別するだけでは、本当の意味での“特別”を体感することはできない。
 
これまでの私は、便利すぎる世の中に、ただただ甘えていただけだった。
 
おせち料理も、お正月飾りも、スーパーやデパート、ネットで簡単に買うことができる。
 
買った食材を詰めて終わり、出来上がったお飾りを飾って終わり。
 
新年の挨拶だって、昔は挨拶回りをしていたのが、次第に年賀状というかたちに変わり、今では、SNSを通じて挨拶を終わらせてしまうのが一般的となっている。
 
色鮮やかなお正月を、簡単に作れてしまう時代。
 
おせち料理に込められた意味も、しめ縄が飾られる意味も、「明けましておめでとう」という言葉が持つ深みも、分からないままに過ごす人も少なくないと思う。
 
知ろうと思う機会がないのだ、簡単に準備できてしまうから。愛着を抱けるまで手間をかける必要がないのが、今の世の中に溢れているリアルである。
 
知らないものに対して愛着を抱くのは、正直に言って難しい。
 
すでに出来上がっているものに対して深く知ろうとするのも、意外にも難しい。
 
ハロウィンの仮装パレードがイベントとして受け入れていても、何故、ハロウィンに仮装をする文化が生まれたのかを知らない人が多いのと同じように。
 
“出来合いのもの”に溢れた世の中は、人に“無関心”を与えているのかもしれない。
 
だからか、“あえて手間をかける”は、無関心を打破する策の一つとしてなかなかに有効であった。
 
これまで、ただの通過点でしかなかったお正月とちゃんと向き合えたことで、影の薄かったお正月が鮮やかな色を放つようになった。
 
ただ、しめ飾りを作っただけなのに。
 
それでも、しめ飾りを作るのにかけた五時間、私はたしかに、お正月と真正面から向き合っていた。
 
それが、お正月を特別な日にする、何よりも大切なことだったのだ。
 
「来年のお正月も、自分で作ったお正月飾りを飾ろう」
 
「折角だから、年末の大掃除もいつもより時間をかけてやろうかな」
 
年始から、年末への気合を入れられる、清々しいい達成感と共に迎えたお正月。
 
いつもとは違った一年のスタート。
 
適当に過ごしていたお正月よりも、何倍も良い時間を過ごせたと実感している。
 
今年は、ふとしたタイミングで手間をかけ、ちょっとした特別を作っていける一年にしようと思っている。
 
その方が、なんとなく過ごし続ける日々よりも、幾分か楽しくなりそうだから。
 
 
 
 
***
 
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2020-01-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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