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そうだ、金髪にしよう。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:かのこ(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「そうだ、金髪にしよう!」
 
思い立ったが吉日。ある休日の朝、わたしは美容院に電話をかけた。
 
先に断っておくと、わたしは金髪が似合う顔ではない。むしろ黒髪がいちばん似合う地味顔だ。ずいぶん昔には暗めの茶色に染めたこともあるけれど、あまりの似合わなさに居ても立っても居られなくなり、1ヶ月も経たないうちに黒染めをお願いしたぐらいである。
 
しかし、さかのぼること数年前。
突然金髪になった友人Bちゃんが放った、「いろんな人から変な目で見られるようになってん! 髪色変えただけやのにな、めっちゃ面白くない?」という言葉が忘れられなかった。なんでも、金髪にしただけで、まともな職に就いていない人だと憶測されることが増えたらしい。当時は「えっそんなことある?」と笑ったし、それ以来、金髪の人とすれ違うたびに「ほんまにそんな面白いことある?」と思い続けてきた。
 
もちろん、友人の言葉が直接的なきっかけになったわけではない。むしろ直接的なきっかけはたくさんある。たとえば、すごく楽しみにしていたイベントが台風ですっとんだこと。更新した運転免許証の写真が微妙だったこと。先輩に美容院50%オフの紹介クーポンをもらったこと。最近男性に地味顔を笑われたこと。さまざまな偶然が重なって、その休日の朝に「そうだ、金髪にしよう!」と思い立ったのだ。
 
でもずっと、友人の声が頭に残っていたのも事実だった。
 
「いろんな人から変な目で見られるようになってん! 髪色変えただけやのにな、めっちゃ面白くない?」
 
***
 
「ブリーチとカラーとカットをお願いしたいんですが……」と美容院に電話したとき、わたしはここ数年で一番緊張していたように思う。“髪の色を抜く”という行為自体が、わたしにとっては一世一代の賭けみたいなものだったのだ。そんなわたしの心情なんて知る由もなく、美容師さんは慣れた手付きで「じゃあブリーチしますねー」とちゃきちゃき作業を進めてくれた。
 
3時間以上かけた仕上がりは、自分で言うのもなんだけど、わりと良かった。
 
頼んだのはアッシュの6mm刈り上げショートヘア。まるきし日本顔のわたしが頼むものではないだろう。でもずっとやってみたかったのだ、似合う似合わないはやってみてこそわかるものだから、やったことがないのに「似合わない」と決めつけるのも違うと思って。
 
やってみて分かったのは、似合うわけでもなければ、似合わないわけでもないこと。でも中途半端な茶髪よりははるかに似合うものだということ。そして、必要以上に視線を感じるようになったこと。そのくせ、そちらを向けば逸らされる回数が増えたこと。
 
たしかに友人の言う通りだった。
黒髪だった頃に比べれば、変なおじさんに声を掛けられることもなくなったし、明らかに「舐められるようなこと」を見知らぬ人から言われる回数が減った。そして代わりに、すれ違う人からの視線を感じることが増えた。スーパーに行ったら「ご年配の方」と「自分と同年代ぐらいの女性」にじろじろ見られることが多くなった。ご年配の方からしてみればわたしはヤンキーと大差ないのだろうし、同年代の女性からしてみれば(ここ田舎なのに?)みたいなところがあるのかもしれない。
 
でも、ぼんやりした地味顔のわたしにとっては、この反応は一種の「救い」になったのだ。人を見た目で判断する人を、一瞬で見分けられるようになったから。そして、わたしが何らかの行動をとらずとも、彼らがわたしに近付かなくなったから。――どれだけ化粧を濃くしても、どれだけパンキッシュな服装をしてみても、一切効果がなかったのに!
 
自分の人生を、自分の生きたいように生きる。今まで阻害されていた当たり前は、「地味ルート」を外れてみただけで、こんなに手軽に手に入れられるものだったとは。ちょっと拍子抜けしたけれど、今はただ、自分の置かれている状況がなんだかおかしくて、たのしい。
 
友人Bちゃんにこの話をしたら、げらげら笑ったあとに「プリンになってからがまた地獄よ」と返された。きっと何度もブリーチしなければならないんだろう。そういえばブリーチは意外と頭皮に沁みて、痛かった。
 
でも、得たものはたくさんあった。
人との関わり方、人を見た目で決めつけることのばかばかしさ、自分の人生を邪魔されることのない安心感。ただ髪の色を抜くだけで、とっても生きやすくなるらしい。
 
地味顔でやたら絡まれる人生を送ってきたあなた。茶髪が似合わなかった、そこのあなた。
騙されたと思って、一回金髪にしてみませんか?
 
 
 
 
***
 
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2020-01-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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