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メディアグランプリ

あなたは刃物です。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:平山いずみ(ライティング・ゼミ特講)
 
 
「あなたは刃物です」
え……? 刃物?! 私が?
 
私は何処にでもいる普通の主婦だ。
朝、旦那さんと子供達を「いってらっしゃい」と見送り、パートに出かける。
 
今年41歳。
もう人生も折り返し。
ふと考える。
私の生きる意味ってなんだろう……。
 
25の時、大学の同級生だった主人と結婚して、二人の男の子に恵まれた。
主人の転勤で、地元からは遠く離れ、孤独の中、子育てが始まった。
育児書片手に必死だった。
夕暮れにベビーカーを押しながら、誰もいない公園で、赤ちゃん連れのお母さんは、みんなどこにいるんだろうと途方に暮れた。
孤独に耐えかね、保育園を見つけ、仕事を始めた。
 
家事と育児と仕事に追われる毎日。
そばに頼れる人がいないから、子供が熱を出したら、仕事を休まなきゃいけないのは私。
パートしか、選べなかった。
頑張って働いても、少しのお金にしかならなくて、結局保育料で消えて行ってしまう。
残るのは経験や技術よりも、圧倒的に、睡眠不足と疲労感、そしてちゃんと子供たちに向き合えていないんじゃないかという罪悪感だった。
 
だがそんな私の気持ちは置き去りのまま、慌ただしい30代はあっという間に過ぎて、ふと気づいたらもう40だった。
40になったら急に、死がそう遠くないと、私の本能が感じた。
急にサイレンがなりだしたような、よくわからない焦り。
長生きできても、あと半分。
老後は思うように動けないから、実質あと何年私には残されているのか。
 
パートでお小遣いを稼ぎ、友達とランチしながら、子供と旦那の愚痴話。
そしてたまに英会話やジムへ行って、自分磨き。
あぁ、なんて絵にかいたような典型的で幸せな主婦生活。
子供達が小さかった数年前まで、それが欲しくて欲しくて、たまらなかったはずなのに。
どうしてだろう……。この空虚感は。
 
これって幸せ?
私、何のために生きてるの?
私らしいってなんだろう……。
漠然と、でもずっと考えていた。
 
でも私には人より秀でた何かもなければ、夢中になれる何かもない……。
いろんなことに手を出すけど、どれも中途半端で、何ひとつ物になってない。
 
自信がない。
勇気がない。
覚悟がない。
……このまま私の人生終わっちゃうのかな。
 
そして私は、友達に紹介され、興味本位で、今まで全く信じていなかった『占い』をやってくれる先生に、生まれて初めて会ったのだった。
 
彼女は当然のように言った。
「あなたは刃物です」
刃物……?! 私が?
とんでもない!!
 
私はいつも傷つくのが怖くて、嫌われたくなくて、本心が言えないのだ。
何か意見した時は、相手を傷つけてしまったんじゃないかと、いつまでもグジグジ考えているような臆病な人間のはずだ。
その私が刃物?
 
あなたはもっとバサバサと人を切っていきたいはずよ。
それは決して悪い意味だけじゃなくて、そのあなたの本質を生かさないともったいない。
そしてあなたはもっと人の前に出て輝く人よ。
今のあなたは本来の自分を大事にできてない。
 
あまりに自分の予想と違ったから、少々面食らった。
やっぱり占いなんて当たらないじゃないか。
そうだ、誕生日なんかで全部わかったら、たまったもんじゃない。
 
そう思っているのに。
あれ? なんで……?
頬を涙がつたっていた。
 
あぁ、だから生きづらかったのか……。
だから今、なにかが違うと焦っているのか。
そう感じている自分に驚く。
なぜだろう。
なんとも言えない安心感がフツフツと湧きあがる。
私が、誰でもない私自身に、理解してもらえたという安心感……とでも言うべきか。
 
確かに、私はずっと自分のことを後回しにしてきた。
子供のこと、旦那の機嫌、旦那の実家。
……いや違う、もっと昔からだ。
 
思い返せば、幼い頃、私は目立つことが好きだった。
でもそれが目についたのだろう。
私は、中学生の時にいじめにあった。
それからの私は目立つことを悪だと思ってきた。
自分の意見は聞かれたときにしか言っちゃいけない。
 
そして私はいつの日か、私がどうしたいかを感じるより前に、「私がどうあれば周りが平和か」を考えるようになっていた。
それがもし私の「したいこと」ではなくても、周りが穏やかなら、私にとって、それが正しかった。
 
私が今感じている焦りや不安は、今まで疎かにしてきた自分が、もうそろそろ限界だと、悲鳴をあげているということかもしれない。
 
私の感じる、嬉しい、楽しい、悲しい、苛立ち……。
そういうの全部。
まずは、自分が感じ取ってあげなくては、いったい誰が受けとめてくれるのだろう。
今、何が起こったのかよりも、
今、私は何を感じたか。
 
こうあるべき私ではなく、
本当の私はどうしたいか。
 
やらなきゃ、行かなきゃじゃなく、
やりたいこと、行きたい場所、そして会いたい人は誰なのか?
 
その一つずつに丁寧に向き合おう。
 
そうしていけば、私の生きる意味が少しずつわかるだろうか。
本来の私がわかるだろうか。
 
もう41だけど。
まだ41って言っていいかな。
私の生きる意味。
私の使命。
果たして死にたい。
 
 
 
 

***
 
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2020-01-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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