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メディアグランプリ

「写真を撮りましょうか?」から「私たちの写真を撮ってもらえませんか?」へ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【2月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:葉田さつき(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
チリの南部とアルゼンチン南部、いわゆるパタゴニア地方を旅行した時だった。
 
日本と違って、葉が1枚1枚輝き、呼吸しているのが見えるような緑色の木々。道路わきには風に揺れて、咲き誇っている薄紫と黄色、ピンクの草花。空の色、湖の色、すべてが生き生きとして、日本と違う風景。アルゼンチンとチリの境にある真っ青に澄んだ湖は最高に美しかった。周りの木々や草花に加え、山頂に雪を頂いた山々が湖面に揺れていた。
 
国境を越える船のデッキの上で、冷たい風に震えながら私は夢中になってシャッターを切っていた。
他の人たちもみんな、寒そうに、風景や連れの人を入れた写真を撮っていた。
 
「写真を撮りましょうか?」
 
私は、そばで写真を撮りあっていた背の高い男性二人に声をかけた。
スペイン語を話していたし、アルゼンチンかチリの人かなと思った。
 
「お二人の写真を」
 
とカメラを指して言うと
 
「Gracias! ありがとう」
 
笑顔でカメラをわたしてくれた。
 
気取ったポーズやふざけたポーズを二人でとって、写真撮影終了。
 
「You、次はあなた」
 
と私のカメラで私の写真を撮ってくれた。ふつうのポーズしかとれない私に簡単なポーズ指導までしてくれて、とても楽しかった。終わったと思ったら、
 
「写真を撮らせてください。東洋人を初めて見たから」
「え? 私の写真?」
 
彼らのカメラで私の写真を撮り始めた。
 
南米を一人で旅行していると、時々、
 
「東洋人を初めて見たので、写真を撮らせてください」
 
と言われることはあるので、別に驚かなかった。勝手に盗み撮りされることもあった。
今回は、一人が撮影し、一人が私にジェスチャーで大げさにポーズを指導し、げらげら笑いながらの写真撮影になった。こんなに楽しい雰囲気で撮ったのは初めでだった。
 
「じゃあ、今度は私があなた方を撮らせてね」
 
彼らは二人で前にもましていろいろな表情、ポーズをとってくれた。
 
「Gracias! Hace mucho frio! ありがとう! とても寒い!」
 
私が覚えたての片言のスペイン語を言うと彼らは手をたたいて喜んでくれた。
 
チリに着き、観光バスに乗り換えた。いくつか観光地を回った後、彼らは終点の一つ手前の観光地で降りて行った。私は、終点のプエルトモンのホテルで泊まった。
 
翌日の昼、有名な観光地であるパイネ国立公園へ行くためにプエルトモン空港へいった。待合室には、なんと、彼らがいた。コードシェア便で会社は違うけど同じ便だった。
 
空港からパイネ国立公園の最寄りの町に行くお迎えの車やホテル、観光ツアー等はもちろん違ったが、宿泊する町や観光地は私が帰国するまですべて同じだった。
 
私は、日本で、自分でその地域ごとの1日ツアーを組み合わせて旅行を組み、チケットなどを予約していた。
彼らメキシコでツアーを予約していた。
でも、ほぼ 同一行程だった。正確に言うと、彼らは私が日本に帰った後1か月長くいるので、私の工程の部分が同じだった。
 
そのころには、観光ポイントや面白い目印があると、彼らがほかの人を呼び止めて、
「私たち3人の写真を撮ってもらえませんか?」
とよく頼んでくれていた。
 
彼らは、20歳と21歳のメキシコ人の学生さんのロドリコとガブリエル、二人とも身長190cmは超えていた。私、アラフィフの日本人、身長155cm。
 
3人並んで、よくお土産屋さんやレストランに行った。
190cmのヒスパニック系の彫りの深い顔のロドリコとガブリエルの真ん中に、155cmの平たい顔族代表の私。凹の形で3人並んで歩いているのを見て、みんながみんな、怪訝そうな顔をするのが3人の楽しみだった。
 
ロドリコとガブリエルはスペイン語しか話せず、私は片言の英語しか話せなかったが、私が持っていた電子辞書を仲立ちに話が進んだ。
 
ロドリコとガブリエルはツアーで英語の話せる友達を作ってきて、その友達に通訳してもらいながら一緒に夕食を食べたこともあったが、通訳の有無はコミュニケーションにあまり関係なかった。
お互いの言葉がうまく話せなくても、自然にコミュニケーションはとれていて、互いに一緒にいて心地よいというのが伝わっている感じだった。
 
「サキ(彼らは私をそう呼んでいた)、僕たち一緒にシャワーを浴びて言うと思っているでしょう」
「思ってるよ」
「残念でした。シャワーは別だよ」
「うそでしょう? さっきミルクは二人で飲んでたじゃない」
 
途中から二人はカップルだとわかった。でも、私がおばさんだったからか、ロドリコとガブリエルが私と一緒に食事をしたり、お店を回ったりするのが楽しいというのが伝わってきた。私も彼らとの時間を満喫した。
 
あれから約10年たった今、考えてみても、ロドリコとガブリエルの二人と一緒に過ごした時間は、パタゴニアの美しい色彩と空気の風景とともにとても大事な貴重な思い出だ。
 
「写真を撮りましょうか?」
の一言をきっかけにロドリコとガブリエルと仲良くなった。
 
この言葉は、旅先での「引っ越し挨拶の手土産」のようなものではないだろうか?
 
「写真を撮りましょうか?」
と声をかけても、その場で撮りあって終わってしまうことも多い。
 
でもロドリコとガブリエルの二人と仲良くなったように、「写真を撮りましょうか?」という「手土産を持って引っ越しの挨拶」にいったことがきっかけで、仲良くなることもある。
 
引っ越しした時でも旅先でも、
「こんにちは」
と話しかけて、意気投合して仲良くなれることもある。
 
引っ越しの挨拶は、自分が、相手に確実に受け入れてもらうために、喜んでいただけるように、手土産を持ってご挨拶をするのではないだろうか?
 
同じように、「写真を撮りましょうか?」という言葉は、「写真をとる」という相手の役に立ちたいという意味が込められているので、「こんにちは」より、仲良くなりやすいのではないだろうか?
簡単な言葉だけど、相手を思いやって、相手を心地よくし、友達もできる言葉だと思っている。
 
よく一人旅をする私は、旅先で友達を作るのも楽しみの一つである。
 
「写真を撮りましょうか?」
と、この言葉を大切に使って、呼び掛けて、相手の役に立ちたい。
そのことが友達作りのきっかけになれば言うことなし。
 
そして
「私たちの写真を撮ってもらえませんか?」
と、ほかの人に頼んでもらえたら、最高だ!
 
 
 
 
***
 
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2020-01-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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