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煩悩クッキング 道具は、やっぱりかたち編

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:谷中田 千恵(ライティング・ゼミ 平日コース)
 
ちょっとお恥ずかしい話だが、なんでも「かたちから入るタイプ」だ。
 
登山を始めた時は、軽い散策だっておぼつかないくせに、きいろの色みが気に入って、かなり本格的な登山リュックを真っ先に買い求めた。
ジムに通った時だって、入会手続きより早くウェアを全身揃えたし、茶道に至っては、買った着物を着たいがために、その門を叩いた。
 
そんなわけだから、一年前に「毎日、自炊をするぞ」と決めた時に、まずお気に入りの道具を買い揃えに走ったことは、言うまでもない。
 
ところが、厄介なのはここからで、「かたちから入る」くせに、ひどい貧乏性なのだ。
 
形のいいザルや、ボウルに、鍋、果てはフードプロセッサーまで揃えたくせに、もったいなくて、使えない。
せっかく気に入って手に入れたものが、傷がついたり、摩耗したりすることが気なるのだ。
お気に入りになればなるほど、引き出しの奥深くにしまわれてしまう。
 
もう、なんのための「かたちから入る」だったのかわからない。
かたちは揃っても、結局は入らない。
「かたちのみ入るタイプ」とでも呼べばいいのだろうか。
 
そんな、悲しい貧乏性に変化が訪れる出来事があった。
 
料理上手の友人を招いて、我が家で食事会をした時のこと。
初心者の私とは違い、お料理スーパーマスター級の彼女は、包丁からお鍋、器に至るまでセンスの行き届いた私物を用意してきてくれた。
 
「足りないものは、借りてもいいかな」
「もう、どの引き出しでも開けて、お気の召すままに」
ひれ伏すように答えてからは、もう、その手際に釘付けだ。
 
山のような野菜を、あっという間に刻んでいく。
鮮やかに、肉に切れ目を入れる。
包丁作業中なのに、オーブンや、お鍋の様子にも目を配る。
 
ものの、30分ほどで、続々と完成した料理が並ぶ。
そのどれもが、おいしそうなこと。
 
もちろん、その段取りや、手際は、私にはないものばかりで、横で見ているだけなのに、勉強になった。
火入れのタイミングに、調味料の使い方。
レンコンは、こんな風に切ると味がからむのか。
お肉って、高温で焼いちゃっていいんだ。
 
その中でも、一番の驚きは、私が、引き出しの奥に眠らせておいた秘蔵の道具を見つけ出し、迷うことなくガシガシ使い始めることだった。
 
あっ、とっておきの桜の木の木べら、炒め物に使ってる。
あのハンディミキサー、動いてるの見るの買った時以来だ。
 
しかも、散々悩んで買っただけがあり、そのどれもが、とても使いやすそうだった。
 
あの鍋、揚げ物に使うとあんまり火力が必要ないんだな。
えっ、このミキサーこんなに早く泡立つの!
木べらに、油がのって、ツヤが出てる。
 
まさに、目から鱗の体験だった。
やっぱり、道具は、使ってこそなんだ。
全くもって、当たり前のことなのに、目の前で起こると説得力が違った。
 
次の日から、とっておきの道具たちを次々と、引っ張り出す。
実際に、自分で使い始めると、驚きはひと塩だ。
なんで、今まで使わなかったのかと、自分を責めたくなる。
 
特に、ホウロウ製の鍋の使い心地に驚いた。
ストウブというメーカーの、その重たい鍋は、ちょっとおしゃれな料理本には必ず登場をしていて、完全に見た目だけで購入を決めた。
これが、とにかく秀逸だ。
 
鉄できた重たいフタは、ぴっちりと鍋の中を密封状態にしてくれる。
そのため、煮物や、鍋物、カレーなどが、水を入れない状態で調理ができる。
野菜をたっぷり入れて、火にかけると、野菜の水分だけがどんどん集まって、スープが出てくる。
このスープが、もう、おいしい。
野菜の味が、何にも薄められておらず、甘さや、旨味がぎゅっとつまっている。
これで作る、カレーの味の深いことったらない。
煮物だって、お出汁を入れなくてもいいほど、旨みが濃い。
 
また、揚げ物に使ったって、すばらしい。
分厚い鉄は、しっかりと熱を保ち続ける。
そのため、油の温度が、下がりにくいのだ。
具材を、うっかり入れすぎても、さっくりカラッと揚がる。
私のような、素人にも安心、安心。
 
そのうえ、見た目がいいときているのだから、もう言うことはない。
残った料理が入ったまま、コンロの上に置いてある。
もう、それだけで、なんとも素敵なのだ。
用事もないくせに、ふらふらとキッチンに入り、鍋に触れたりしてしまう。
 
私、ストウブの鍋を解禁してから、確実に、キッチンが好きになっている。
 
料理の腕が上がるわけではないので、作るメニューは、以前の簡単ご飯のままだ。それでも、料理が楽しくなっている。
キッチンに立つ、楽しみが増えている。
 
使いたい道具は、まだまだ引き出しに眠っている。
 
今度は、フードプロセッサーにも挑戦せねば。
 
木べらにも、もう少し、油をのせたいな。
 
この前買ったあの器、サラダをのせたら、きれいかもしれない。
 
なんだ、こんなに楽しみがあるのなら、かたちから入ってみるのも悪くない。
 
 
 
 
***
 
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2020-01-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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