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「意識高い系」のすすめ


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記事:安井美貴子(ライテイング・ゼミ日曜コース)
 
 
意識高い系。
一般的に、インターネットにおいて、「意識が高い」活動へ従事する姿を積極的に発信することを揶揄する言葉。主に血気盛んな大学生を指す場合が多いが、どの世代においても、自身の真面目な側面を発信することで、奇特な人物だと表現される風潮はあると思う。
 
「そんなに一生懸命になれるなんて、すごいね。やりたいと思ったこともなかったよ。」
「批判するつもりはないけれど、ちょっと良いひとぶっているイメージ? だって自分のためにならないことなのに、なんでするの?」
 
わたしは、大学4年間、災害ボランティアの後方支援を行うNPO法人で活動をしていた。さすがに面と向かって揶揄される場面は、そう多くはなかったものの、明らかに奇特な存在と見られている意識はあった。テスト前に「全然勉強していないよ」と言えず、「昨日はめちゃくちゃ勉強した!」と言ってしまう学生だったのだ。
 
きっかけは、さかのぼること9年前。
東日本大震災の翌月、わたしは、大学の入学式を迎えるはずだった。発災当日、わたしは日本にいなかった。家族旅行で訪れていた滞在先のホテルで、テレビ画面を通じて、津波に飲み込まれていく街並みを目の当たりにした。離れて暮らす祖父母や親戚からは、心配の着信が止まらなかったし、ペットホテルに預けていた愛犬は、揺れのショックで気絶をし、一時的に心肺停止状態になった。とんでもないことが起きた。その事実はすぐに把握したが、自宅へ飛んで帰ることもできない。自宅がどうなっているかわからない状態で、旅先で楽しい想いをするわけにもいかない。悶々とした想いの中、次第に、当時流行していたmixi(ミクシー)上で、自身のハンドルネームに、手を左右に横に広げた様子を表す「⊂⊃」という記号を加え、繋がりを表す記号を入れる活動が広まり、困難を乗り切ろうとするための一体感が醸成されつつあった。
まだガラケーの時代。携帯画面を通じて、繋がりを深めていく友人たちに対し、わたしは、なんとなく蚊帳の外な感覚であった。同じ体験をしていないということで、繋がりを持とうとすることすら否定されているような想いだった。実に単純な、「⊂⊃」という記号によって繋がる輪は、コミュニティを超えて、超えて、どこまでも大きく広がっているように思えたが、その輪のどこにもわたしが入れる隙間はなかった。
 
3.11をリアルに体験しなかったわたしは、自分なりの実体験を求めるようになった。入学直後から、ボランティアの後方支援にかかわり、自身も何度か現地へ訪れた。1年経ち、2年経ち。震災直後のフェーズを終えても、当日得られなかった実体験を追いかけて、取り返すかのように、結局4年間通じて、活動にかかわりつづけた。
がむしゃらに関わりつづけ、大学生も後半になったころには、少しずつ、自分だけの実体験を得た感覚になることができた。そのころから、友人らとの会話やSNSなどを通じて、その実体験を紹介するために、団体や自身の活動について発信しはじめた。
 
時を同じくして、冒頭の揶揄の言葉を向けられるようになった。同時に気づいたことがあった。単発でボランティア活動に参加した多くの同世代は、発信に対して消極的だった。
「震災ボランティアに参加したというだけで、自分の時間とお金を真面目な活動に費やした痛い奴と思われるのがいやだ。」
自らの意思でボランティア活動に参加する真面目さを発信することで、「変わった奴だ」と言われるリスクを避けるため、日頃のコミュニティにおいては、その経験は隠すべきものだと言うのだ。
 
どうもその「意識高い系」という表現は、さまざまな活動へ挑戦する意欲を削ぎ、躊躇させる影響力が強すぎるように思う。たしかに、日本人にとって、自身の頑張りを隠してこそ美徳とする文化が存在する。「全然勉強してないよ」と言いながら、テスト勉強に励むのと同じように、真面目さをうまく隠すことは、スマートな印象を与え、真面目さを漏らすことは、スマートでない印象を与え、揶揄の対象とされるのである。
 
ただ、わたしとしては「震災支援に取り組む真面目で意識高い奴」と言われることは、むしろちょっと誇らしくもあった。たしかに、どんなに活動に全力を注いでも、まぎれもなくわたしは震災当日を経験していない。東北に縁があったわけでもない。きっかけも、心から東北のために、というわけではなく、あくまで震災という文脈に実体験が欲しかったから。中身が伴っていないと言われても仕方がないかもしれない。
しかし、ようやく実感できた実体験は、まるで自分のアイデンティティのように感じられ、発信することで、それはより強固になっていくような感覚すらあった。
 
実際、個人的に「ボランティアに行きたい」という相談を受けることが増えた。(そして決まって、それを仲間になるべく知られたくないと言われる。)皆、こうしたわたしの姿を揶揄しつつも、「東北支援にかかわるひと」という印象は持ってくれていたのだ。
 
「意識高い系」で結構。「○○なひと」という印象を得られるのであれば、どんどん発信していくべきだと思う。そうでなければ誰も気づいてくれない。
 
「意識高い系」と言われるのがいやで、自身の想いを発信できないひとへ。そんな言葉に躊躇するのはもったいない。まずは勇気をもって声に出すと、自分と、仲間の輪が、広がるはず。
 
 
 
 
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2020-03-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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