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結婚はいつか裏切られるもの


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:布施 京(ライティングゼミ・平日コース)

 
 

「結婚はいつか裏切られるもの」

 

これは、心理学のセミナーでペアワークをしていたときの私の答えだ。

 

相手の質問はこうだった。

 

「あなたの思い込み、もしくは、自分を制限しているものは何ですか?」

 

私は、心に浮かんだ言葉を素直に言葉にした。
「結婚はいつか裏切られるもの」、つまり「結婚したら裏切られる」、これが私の思い込みであった。
 

次のお題は、その答えから、自分で肯定的意図を探すことだった。

 

だが、「結婚したら裏切られる」ことから、肯定的なことは何一つ見出だせなかった。

 

なぜ、「結婚はいつか裏切られるもの」が心に浮かんだのか。

 

それは、私の周りの環境が大きく影響を与えていた。

 

まず、一番身近な両親は、いつも喧嘩が絶えず、ダブル不倫をしていた。
それだけでも、大きな要因となっていたはずだが、素敵な父親、素敵な旦那様、と思える人ほど浮気や不倫している率が高いと経験上知ったことも大きかった。
 

例えば、新卒で働き出した中学校で、講師をしていたとき、生徒から人気のある社会科の先生がいた。飲みに誘われ、居酒屋へ行くと、そこで、先生は、奥さんの他に好きな人がいて、その人と付き合っていることを話し出した。「本当に好きだから、『不倫』とは言わない」とほざいていて、幻滅した。

 

同じ職場の体育の先生は、厳格だけれど、ユーモアがあって、同僚からも生徒からも信頼され、私も尊敬していた。が、ある日、生徒の間で噂が広まった。

 

「英語の先生と不倫しているらしい」

 

生徒が、その二人が放課後の教室でキスしているのを見たという。

 

「教室で、教師が、まさかそんなことをするわけないじゃないか」と、ただの噂にすぎない、と思っていた。が、甘かった。その2年後、体育の先生は離婚し、英語の先生と交際していたのだ。

 

その後、日本語教師をしていたときのことだ。
会話のクラスを担当していたので、仕事で日本語を使う外国人エリートたちがよく学びに来ていた。
 

「先生は日本人だから、話しやすい」

 

と言って、学生たちはいろいろな話を私にしてくれた。
その中で、私に「僕は不倫をしています」と告白してきたアホは、5名だった。
その人たちは、社会で地位を築き、「家庭を大事にしています」的な、「いい父親でありいい夫」風であった。
 

「いったい、男どもは、なんなんだ」

 

20代の私は、憤りと情けなさで、そんな男たちを見下していた。
結婚願望は、もはやこの時、すでになかった。
 

心理学のセミナーで、私の「結婚はいつか裏切られるもの」という回答のせいで、ペアワークが成り立たなかった。
そこで、先生に助けを求めた。
 

「肯定的意図を見出すことができないんですけど……」

 

すると、先生が私に質問をした。

 

「あなたの思い込みは何だったんですか?」
「『結婚はいつか裏切られるもの』です。」
「それは、『離婚』が結婚の前提になっているってことじゃない!」
 

会場で笑いが起こった。
私は、なぜ笑いが起こるのかわからなかった。
「離婚が結婚の前提」というのは私にとって当たり前のことだったからだ。
 

私の母は専業主婦だった。
「子どもたちのために離婚はできない」というのが、口癖だった。
だから、私が結婚することになったとき、「働かない」という選択肢はなかった。
「いつでも離婚できるように、働いていなければならない」というのが私のモットーだった。
 

それを伝えると、

 

「それじゃあ、いつまでも離婚を繰り返すことになるわ」と言った。
先生は鋭かった。
私はすでに2回繰り返していたからだ。
 

先生が質問を続けた。

 

「あなたが、『結婚はいつか裏切られるもの』と思うことで、得たものはありましたか?」
「……常に、慎重になりました」
「そこから得たものは?」
「……自分で判断できるようになった……と思います」
「そこから得たものは?」
「……自分の道を進むこと……」
 

先生は、続けてこういった。

 

「あなたは、『結婚はいつか裏切られるもの』と思い込むことで、自分で判断できるようになったし、自分の道を進んで来られた。だから、これまでは、その思い込みが、あなたには必要だったの」

 

たしかに……そうかもしれない。

 

「だけど、この思い込みを捨てないと、離婚を繰り返すことになる。
だから、認めてあげるの。今までは、それが必要だったって」
 

そうか。
私には、必要だったのか。
両親の不倫も、ふしだらな男どもとの出会いも、私が自分の道を進むために必要だった。
単純だが、そう思ったら、ストンと腑に落ちた。
 

正直、両親のことは、幼少時代からとてもつらいことだった。
大人になってからは、気にしないようにしていたが、いつまでもずっとわだかまりがあった。
でも、「自分には必要だった」と思うことで、それを許すことができた。
心の奥の、長い間黒く凝り固まっていた異物が、シュワシュワと小さなやさしい泡になって溶け出していったようだった。
 

すべてのことには意味がある。
どんなに辛いことにも、きっと肯定的意図が、ある。
そう思えた瞬間だった。
 

そして、『結婚はいつか裏切られるもの』という思い込みには、さよならをする。
今まで、私を導いてくれてありがとう。
 

でも、もう大丈夫。
どんなことがあっても、必ず肯定的な意図を見つけて、進んでいけるから。
 

そう思って、今も、乗り越えていけるから。

 
 
 
 

***
 
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2020-04-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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