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たかが頭痛と思っていたのに、まさかこんなに大事になるとは……


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:濱守栄子(ライティング・ゼミ夏期集中コース)
 
 
「命の危険があるから、即入院してください」
黒縁眼鏡をかけたかかりつけの医者は、聞き分けのない子供を諭すかのようにそう言った。
何かの間違いでは? 夢を見ているだけでは? そう思ったがどうやら現実のようだ。車椅子に乗せられ、動かないようにと命じられた。
たかが頭痛と思っていたのに、まさかこんなに大事になるとは……。
 
事務所を辞め、新天地の岩手県盛岡市でフリーランスとして音楽活動をスタートすることになった私。一人で活動することで、業務時間や服装、環境など、全て自分で自由に決めることができるようになった反面、自分自身に全責任がのしかかり、誰も守ってくれない環境になった。
 
東京時代から応援してくれているファンが、コンサートの度に岩手まで来てくれることもあったし、岩手でも徐々に応援してくれる人が増えてきて、とてもありがたい気持ちでいっぱいだった頃。最初は純粋に応援してくれていた一部のファンから、過剰に干渉されるようになった。
コンサートを告知すると「その日は、僕は仕事で応援に行けないから、コンサートの日程を変えてよ」と言う人もいたし「濱ちゃんと一緒に住むために家を買ってスタジオを作った」と言う人も……。「濱ちゃんのCDこんなに買ってあげたんだから、ご飯くらい付き合ってくれるよね?」とプライベートな時間を強要する人もいた。
 
しっかりと断れば良かったのに、誰にでも良い顔をしていた私は、何度か言われるがままに食事に行ってしまった。すると、さらにエスカレートした欲求をされ、ついに私の心が悲鳴をあげてしまったのだった。
 
このままでは悪い方向に行ってしまうと思い、直接本人に「やめてほしい」と話したこともあったが「濱ちゃんのためにやっているんだよ」と言われ、私の気持ちが伝わることはなかった。望んでいないことを次々に提案してくるようになり、一種のストーカーのようになってしまったのだ。
 
初めは心から応援してくれていたはずだったのに、なぜこうなってしまったんだろう?  私の何がいけなかったんだろう? ファンとの距離感をつかめなくなってしまった私は、毎日頭を悩ませていた。そんな矢先のことだった。
 
私は、研修合宿のため東京にいた。夕飯を食べていると突然、頭痛と吐き気に襲われた。吐き気はすぐに収まったものの、頭痛は酷くなるばかり。耐えながら研修を受けたが、そのうち立っていられない状態になった。ソファーで横になったり、宿泊先のホテルで頭痛薬をもらって飲んだりしたのだが、一向に回復が見られない。
 
関西人でもないくせに「もうアカンわ」と言いながら病院に駆け込んだ。偏頭痛と診断された。薬を処方してもらい「これを飲めばやっとこの痛みから解放される……」と、薬を飲んで眠りについた。ところが症状は一向に改善せず、強い痛みでなかなか眠ることができない。小さな子供のように涙きながら朝を迎えた。
 
再度、病院に行くことにした。医者に症状を伝えると「片頭痛ではないかもしれない」と言われ、大きな病院へ紹介状を書いてもらった。
レントゲン、MRI、血液検査。大した検査はしていないのに、時間だけがやたら長く感じる。
そして告げられた病名は、偏頭痛とは大分かけ離れたものだった……。
 
「左椎骨動脈解離」
 
血管の内側の膜が破れてしまう病気。血管が裂けきってしまうと「くも膜下出血」、血栓が血管を塞いでしまうと「脳梗塞」になるという、最悪死に至る病気だった……
 
たかが頭痛と思っていたのに、まさかこんなに大事になるとは……。
 
初めて「死」を意識した瞬間だった。まだ30代でこれからやりたいことも沢山あった。本も書きたかったし、岩手で一番大きなホールで歌を歌いたかった。親孝行もしたかった。しかし、心の準備もないままに、もしかしたら明日目が覚めないかもしれないという現実を突きつけられてしまった。しかし、それが転機となった。
「明日、目が覚めないかもしれない」という現実は、私の人生に大きな変化を与えたのだ。
 
振り返ると私は、事務所に依存していたし、誰かが何とかしてくれると思って生きてきた。言ってみれば、他力本願だったのだ。気が乗らない仕事も上手く断れずに引き受けていたし、ファンの過剰な干渉も「断ったら嫌われる」という思いから、全て受け身だったのだ。
 
つまり、自分軸ではなく他人軸で生きていたのだ。いつも自分に自信がなく、自分に足りないものを他人で補おうとしていたのかもしれない。
 
幸いにも入院中は時間的な余裕がたくさんあり、今までの「自分」を見つめ直すことが出来た。
 
「なぜ私はこんなに人間関係に悩まされるんだろう?」
「どうしていつも騙されるんだろう?」
「私の何がいけなかったんだろう?」
 
その時、私はラッキーなことに、答えを見つけることができたのだ!
 
私は今まで、人の目を気にして生きてきた。人に嫌われないために本心を言えなかったり、我慢することも多かった。色んな人にペコペコして、少しでもチャンスがあるなら! と自分を押し殺していたのだ。
 
どれくらい我慢していたかと言うと、例えば、カフェで飲み物をオーダーするとき「コーヒーでいい?」と聞かれて、本当は飲めないのに「はい」と答えてしまったり。飲み会では、「ビールでいい?」と聞かれると、「梅酒が良いです」と言えなかったり。こんな小さな
自己主張すらできず、相手にも、そして自分自身にも無意識に嘘を付いて生きてきたのだ。
 
相手は「合わせ鏡」と言う。
 
自分に嘘を付いて生きてきた結果、私の周りに嘘を付く人が集まるようになって、一時期、人間不信になることが続いたのだ。全ては、私のマインドが引きよせていたのだと、明確に気が付くことができたのだ。
 
同時に「私って誰のために生きているんだろう? 誰の人生なんだろう?」と思い立ち、嘘を付くことをやめ、本当に自分のやりたいことを選び、やらないことを決めて生きることを決断したのだ。
 
「もう自分をごまかしながら生きたくない」
 
大切なことは、「他人からどう見られるのかではなく、自分が何をしたいのか」であり、今の私に必要なことは「自分に素直になる生き方」なんだと。
 
あれから4年の月日が経った。自分軸で生きるようになった私は、「コーヒーは苦手なんです」と言えるようになったし、飲み会の席でも「梅酒が飲みたい」と言えるようになった。
 
たかが頭痛と思っていたのに、まさかこんなに大事になるとは……。
 
 
 
 
***
 
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2020-08-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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