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心が軽くなる 魔法の言葉


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心が軽くなる 魔法の言葉
 
記事:さくらしおり   (ライティング・ゼミ5月開講通信限定コース)
 
 
「それは大変でしたね。お大事にしてあげて下さい」
 
知り合いのお父さんが、足を骨折して、リハビリ中だという。
足を滑らせて転んだことが原因だと聞いたので、「頭を打たれなかったのが、不幸中の幸いでしたね」と付け加えた。
 
私は、「幸い」という言葉を使ってよいものか、この言葉を発する前に、少し慎重になった。
人によっては、「幸いだなんて!」と、気分を害する人がいるかもしれないと思ったからだ。
けれども、あえて、この言葉を使いたいと思った。
 
足が思うように動かないと、日常生活も困るし、リハビリも大変だろう。
ご高齢なこともあり、完治するまでに、時間もかかるかもしれない。
 
だとすると、これは、不幸な出来事だ。
なのに、なぜ、「不幸中の幸い」という言葉を使いたかったのか。
 
私は、この言葉を使う心理について、考えてみた。
 
すると、あの出来事が思い出された。
今も忘れられないあの日の出来事・・・・・・。
 
あれは、私が18歳の頃だった。
 
バイクで信号待ちをしていた父に、前方不注意の車が追突した。
父は、その衝撃で、数メートル先の道路に、投げ飛ばされた。
 
そこへ偶然、搬送帰りの救急車が通りかかり、父は、その救急車で病院へ運ばれたという。
 
その事故によって、父は骨折したが、母が、慌てて駆け付けた時には、その処置は終わっていた。
母は、命には別状がないと知り、一安心したそうだ。
 
けれども、安堵したのも束の間・・・・・・。
 
父は、病室で、大量の血を吐いた。
母が、洗面器がいっぱいになる程だったというのだから、相当な量だったのだろう。
 
検査の結果、父の体にあった動脈瘤が、事故の衝撃で破裂したのだと分かった。
同時に、父が病に冒されており、その病状が芳しくないことも・・・・・・。
 
追突事故にあったこと、骨折したこと、大量の吐血をしたこと、動脈瘤があったこと、病だと分かったこと、病状が良くないこと、入院のため仕事が出来ないこと・・・・・・。
 
たった1日の間に、これだけのことが起こった。
不幸のオンパレードで、良いことなんて何一つない。
なんて日なのだろうと思う。
 
突然、交通事故に見舞われ、怖い思い、痛い思いをした上に、自分が病気に罹っているなんて、露ほども思ってもいなかった父は、その事実に、相当なショックを受けただろう。
当時の父の思いを想像すると、今も、胸が痛い。
 
父は、骨折が完治した後も、病気の治療のため、入退院を繰り返した。
薬の服用は欠かせず、お酒が飲めない、無理が出来ないなど、生活上の制限もあった。
以前よりも、疲れやすく、横になっている時間も増えた。
 
けれども、体調が良い時は、無理のない範囲で仕事をしていたし、野球中継を見ながら寛いだり、愛犬とじゃれあったり、私と馬鹿な話をして笑いあったりして、生活を楽しんでいた。
 
亡くなる直前は、傍で見ているのも辛かったが、父は、最期まで、人に当たることもせず、弱音という弱音を見せることもなかった。
 
すごいなと思った。
自分であれば、そんな状態でいられるか、自信がない。
いや、きっと無理だろう。
 
そんな8年間の闘病の後、父は、56歳で帰らぬ人となった。
 
とても悲しかったが、病気からやっと解放されて、父は楽になったのだと思うようにした。
そう思わなければ、もう父に会えないという、悲しさに耐えられなかったから。
 
父が、交通事故に遭い、病気が発覚した当時。
私たち家族は、「これからどうなるのだろう?」という大きな不安と悲しみ、絶望の中にいた。
 
しかし、こんな話もしていた。
 
「偶然、空の救急車が通りかかって良かった」
「すぐに病院に運んでもらえたのだから。そうでければ、もっと時間がかかっただろう」
 
「吐血したのが、病室で良かった」
「適切な処置が、迅速に受けられたのだから。1人の時だったら、命が危なかったかもしれない」
 
「追突事故があって良かった」
「病気に気づけたのだから。事故がなければ、もっと進行するまで、気づかなかっただろう」
 
それらは、「不幸中の幸いだった」と・・・・・・。
 
第三者が、こんな会話を聞いたら、「この状況で何を言ってるんだ?」と思ったかもしれない。
 
ただ、私たちは、今でも、「骨折だけで済んだあの事故が、父の寿命を延ばしてくれた。不幸中の幸いだった」と思っている。
 
「不幸中の幸い」という言葉を使う時。
 
人は、悪い事ばかりと思える中にも、良い事がなかったか、探そうとしている。
不幸という暗闇の中に、僅かな光を見出そうとしている。
 
現実に起きている出来事は、何ひとつ変わらない。
 
けれども、不思議なことに、この言葉を使うと、「悪い事ばかりでもない、良い事も少しはあったじゃないか」と思えたりする。
 
人は、辛い時、そうして、平常心を取り戻そうとするのだと思う。
自分の心に折り合いをつけ、精神のバランスを保とうとするのだと思う。
 
そして、挫けそうになりながらも、前に進んでいく。
 
「不幸中の幸い」
 
気休めに過ぎないという人もいるかもしれない。
けれども、その気休めに、あの頃の私たちは、とても救われた。
 
「不幸中の幸い」
 
これは、暗闇に光を灯す言葉。
辛い時、良くないことが起こった時に、心が少し軽くなる魔法の言葉。
空を飛ぶでもない、変身するでもない、誰にでも使えるとても簡単な魔法。
 
この言葉を使うような不幸など、起こらなければいい。
起こらないことを願っている。
 
けれども、もし、あなたや、あなたの周りの大切な人が辛い時。
この言葉のように、見る角度を少し変えてみれば、心が軽くなることもあるのでは?と思うのです。
 
 
 
 
***
 
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2020-09-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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