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人生の正しい選択とは。

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:ふるはしゆうこ(ライティング・ゼミ7月開講通信限定コース)
 
 
あなたは、リストラの対象になったことはあるだろうか?
 
忘れもしない、7月1日。明日は本社に出張の日だ。
いつものスケジュールだと、朝7時ピッタリに娘を保育園に預け、その足で新幹線へと急ぎ、東京品川の本社へ向かい、夕方また新幹線に飛び乗って保育園の最終のお迎え19時に娘をピックアップする。いつもの金曜日を過ごす予定だった。
 
その日の夕方の保育園からの帰り道、上司から連絡があった。
「ガマちゃん。(私はこう呼ばれていた)明日ね、とりあえず来なくて大丈夫。んで、しばらく自宅待機だって。私もよくわからないけど、また月曜日ね」とのこと。
 
何かあったのかな。
お、ということは3連休か。とりあえず、明日はモーニングに行こう。そう、のんきに過ごし、そして月曜日を迎えた。
 
会社からの指示はこうだ。事務所に置いてあるパソコンのデータをすべて消して、本社に送り返すように。そして会社から声を掛けられるまで自宅待機。とのこと。
どうやら本社の人員を大幅に削減されるらしい、と事務所の人から、噂として聞いた。
そんなことより、パソコンのデータを全部消して、あしたから仕事どうするの? そっちの不安ばかり気になっていた。
 
まさか、私がリストラの対象になるとは。
私は、その大幅に削減される人員の一人だったのだ。
 
数日後、大阪の支社に面談に来るように言われた。
面談の場で言われたことは、現場経験のある人は、現場に戻るか、早期退職で辞めるか。どちらかを選んでほしいという事だった。
面談をした人事のKマネージャーは、新卒からお世話になっている、面白い関西のおっちゃんだ。そのKマネージャーは、いつもの関西色の面白さを一切消し、事務的に、淡々と連絡事項を説明した。
 
「最後に、なんかあるか。すがま」
ずっとお世話になっていたマネージャーから、声を掛けられ、私はぐっと息をのんだ。いろんなことが頭の中を駆け巡った。新卒でこの会社に入り、現場では新店舗のオープンに携われ、本社に行ってからは採用や研修で全国の支店に行かせてもらった。たくさんの上司や同僚、仲間に恵まれた。それが全て無くなるのか?
 
その頃、私がいた部署は品質保証部といって、スタッフのサービス向上のサポートをする部署だった。ちょうど、プロジェクトチームを立ち上げ、7月から新しい施策がいざスタート、という時だった。私は、マネージャーを任命され、部下もいて、やる気満々で、毎日がとても充実していた矢先だった。
涙がこぼれ落ちないように、止めるのに精一杯だった。
 
「わたし、なにか悪いことしましたか?」
涙をこらえて、でも涙声で、それしか、言葉が出なかった。
いつもニコニコの、Kマネージャーの顔は、口を一文字にし、しばらく目を合わせず、そして静かに
「いや」
と首を横に振った。
 
それから一か月ほど、自宅待機を命じられた。その間に、現場に戻るか、早期退職で辞めるかを決めなければならなった。
普段、嫌なことも一晩寝てしまえば忘れてしまう私だが、この時ばかりは、寝て起きても忘れることができず、何日も悩んだ。
 
今から、一から現場に戻ってやれるのだろうか。
いや、もう、会社に必要とされないんだったら、辞めたほうがいいかもしれない。
いやいや、辞めて再就職できるか? 小さい子供がいて同じお給料や同じやりがいの仕事が探せる?
正社員を辞めていいのか。
 
自問自答の日々だった。
これだ! という答えが見つからないまま、回答期限の日が来た。
朝から、リビングの机の周りを何度もぐるぐるまわっていた。気持ちを落ち着けて、会社に電話をかけた。
 
私の出した答えは、正社員を辞めない、ということだった。
同じ、部署にいた仲間は、ほとんど辞めた。
悩み抜いた、この結論で本当によかったのだろうか。答えを出した後も、ずっと答えは出ていなかった。
 
結局、現場に戻ったが、会社への熱い想いは消え、現場では一人浮き、私の口からはため息しか出てこない。心はもう壊れる寸前だった。
結局、第二子を授かったのと、いろんなことが重なって心が疲れてしまい、現場に移動してしばらくして、辞めてしまった。異動先には、本当に迷惑をかけてしまった。
 
これでよかったのだろうか。
異動先に迷惑をかけてしまった。辞めてからも自分を責める日が続く。
大きなおなかを支え、保育園に行く娘の手をつなぎ、涙が頬を伝う。
最後に配属された店がある駅は、電車で通るだけで胸がきゅっと苦しくなった。
 
人生は選択の連続だ。果たして、私はこの選択が私にとってよかったのだろうか。
 
今、あれから10年の月日が流れた。
子育てに追われ、でも以前のように働きたいと心の底で思い、でも動けないもどかしさを感じながらも、ベビマの先生の資格を取得したりと、いろんなことに手を出した。
パートも色々した。私立高校の就職課のおばちゃんになったり、ハローワークで臨時職員として働いたりもした。
 
会社を辞めた当時は、全て失った気がした。
もう、責任ある、やりがいのある仕事になんか就けるわけがない、と。
 
でも、意外とそうでもなかったのだ。
会社にいたときは、会社の中が私の世界だった。私立高校の就職課で働いた時、ハローワークで働いた時、ベビーマサッサージ先生になって、個人事業主として働いた時。その場所場所は、それぞれ今までいた世界とはぜんぜん違う世界だった。そしてそれぞれ、ちゃんとやりがいをもって働けていたのである。
ああ、私は本当に小さい世界でもがいていたんだ、と気づかされた。
いろんな場所を、いろんな世界を見ることで、私の知見も大きく広げることができたのだ。
 
そして、私は会社を辞めたけれど、全て失ったわけではない。ずっと、繋がっているものもある。
前職の上司や同僚、仲間との繫がりだ。
今はFacebookのお陰で、会社を辞めても、前と同じように繋がることができている。むしろ、会社を辞めてからのほうが、皆さんのそれぞれの活躍が見られ、私自身たくさん刺激を受けている。
 
会社を辞めることは、ライフステージが変わる、大きな転機だ。
人生は選択の連続である。
その選択をした結果、プラスに転ぶか、マイナスに転ぶか。
 
狭い視野で自分の人生を見るのではない。
俯瞰して人生だけでなく、大きく取り巻く環境にも意識を向けて見る。
自分自身の心の持ち方で大きく変わってくるのかもしれない。
 
ちなみに私は、プラスに転んだかな。
前の会社を辞めて10年。
今の私は自信を持って、そう言おう。
 
 
 
 
***
 
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2020-10-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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