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バックパッカーがカバンを捨てた日


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:大塚啓介(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
私は、毎日の大学の講義、二宮金次郎みたいに重い薪を背負いながら、というわけではないが、パンパンに膨れ上がって、「どこかのバックパッカーですか?」とか尋ねられてもおかしくないようなカバンを持って大学へ通っていた。
 
いったいカバンの中には何が入っているかというと、数百ページはあるであろう教科書が数冊、講義用のノート、講義で配られたハンドアウトの数々、部活用のスポーツウェアと靴、などなど。正直バックパッカーや登山者と何ら変わりはない。大学という山を登りに行っているようなものだ。ある時、砂塗れの靴が、人知れずカバンの中でひっくり返って、講義の資料が土まみれになったこともあった。カバンの中は、カオスと化していた。部活の道具はともかく、講義の資料のかさばり方にはうんざりしていた。毎度毎度配られるハンドアウトに付箋の数々。色鮮やかな付箋はもはや意味をなしていなくて、試験前はただの魑魅魍魎に見えたときもある。自分の脳内で整理することは不可能に達していた。かといって、家に帰ってから資料をちまちまとファイルにしまうなんて作業は面倒で、怠っていた。つまり、講義で配られたハンドアウトは、いったん私のカバンに入るとカオス、いや、ブラックホールへと吸い込まれていくのだった。
 
さすがに私は、その効率の悪さにしびれを切らした。何かこの状況を劇的に変えてくれるものはないかと。Youtubeとかで日常の様子を撮影してイケてる風に編集して投稿している人たちが使っているのは大体Mac book airやproだった。ただ、私自身ノートは手で書きたいという思いがあった。ラップトップを使うのは少しハードルが高かった。
 
そんなある日、ある友人が紹介してくれたのはiPad proというものだった。iPadは以前から持っていたが、だいぶ古いもので、化石と化していた。しかし、その従来のiPadとiPad proが劇的に異なっていたものは、「Apple pencil」の存在であった。友人が使っていたiPad proを実際に使わせてもらったところ、何となく慣れない感じがして、
「うーん、どうしよう」
と悩んでしまった。
しかし、
「絶対に買った方がいい! 少し高いかも知れないけど、それだけ払う価値のあるものだよこれは」
と強く推されてしまった。
信頼していた友人でもあったので、私は「えい」、と買ってしまった。
 
その時から、私の「バックパッカー」時代とは別れを告げることとなった。
 
次第に使っていると慣れてきて、紙にこだわっていたとは思えないほど順応していった。というのも、iPad proで実際にノートを取っていても、画面に貼るシートさえ選べば実際の紙のノートに書いているのと同じ感覚に陥るのだ。さらに、電子ノートの強力な長所として、「消しゴムが要らない」ということである。
Apple pencilを軽くダブルタップすれば、あら不思議、今までペンだったその棒は消しゴムへと変わる。もう一回ダブルタップすれば元に戻る。さらに、ノートの構成を間違えて、今まで書いてきた図や表の位置を変えたいとき。「投げ縄」の機能を使えば、自分が書いた文字を自由に動かすことができるのだ。この便利機能を今まで使ってこなかった自分に言いたい。「ばか! 早くiPad proとApple pencilを買え!」
 
字が極端に汚い人の場合は定かではないが、自分の書いた文字さえも認識してくれて、検索をかけることだってできる。「胸鎖乳突筋」と検索をかければ、解剖のノートからどこの筋肉だったか、一瞬で辿り着けるのだ。
 
iPad proの魅力は、もちろんノートアプリのみではない。現にこの原稿を書いているのはiPad proである。時には動画編集をすることだってできるし、Youtube、Amazon primeといったエンターテインメント、「荒野行動」といったゲーム、パワーポイントでのスライド作り、など。絵だって描けるし、書道もできてしまう。PDFリーダーアプリのおかげで何十冊の教科書が、今や一枚の板の中に入っている。まるでポケモンボールのように収納できるのだ。
今まで紙という「質量」を背中に背負ってきた古き自分。しかしこのデバイスによって質量はデータへと変わった。次元が変わったのだ。ドラえもんでいう四次元ポケットならぬ、四次元パッドなのだ。
 
さて、ここまで書いてきて私が言いたいのは、もちろんiPad proをお勧めしたいということであるのだが、困ったこともあった。この便利さに慣れてしまったがゆえに、従来の紙とペンで戦わないといけない時に若干感覚が鈍る。
インターン先へお礼の手紙を手書きで書いていて、誤字をしてしまった時、無意識にボールペンをダブルタップしてしまった。ボールペンで誤字をしてしまえば、もちろん最初から書き直しである。その日は何度書き直したことかわからないが、腱鞘炎になりそうだった。
また、依然として大学の講義で、紙の資料をもらったときはストレスだ。いちいち、スキャンして取り込まないといけない。PDFで配布してくれ、と何度心の中で嘆いたことか。ただ、そんなストレスは「旅」をしていた時とは比べものにならないくらいどうでもいい。
 
「バックパッカー」だった私が「カバンを捨てた」日。それはまさしく、iPad proを購入した日だ。紙にこだわりがある人でも、新しい時代の「紙」に魅了される日が来るかも知れない。かつての私のように。
 
 
 
 
***
 
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2020-10-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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