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サボることの魔術的効果


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:安藝 森央(ライティング・ゼミ集中コース)
 
 
私はサボり魔だ。学生時代は宿題を最終日までしなかったし、テスト勉強はお尻に火がつかないとやらなかった。書類は締め切りギリギリまでなかなか書ききれない。部屋の掃除は誰か来る前に必死にするだけだし、たまにそれでも間に合わず15分くらい友人を外で待たせることもある。致し方のないサボリ魔だなぁ、と、自分でも思う。
 
サボリ魔は、自身の怠惰なスタイルを正当化するために、ここに言い訳を並べる。「そうは言ってもさ、いまやらなくても、後でやればなんとかなるものなんだから、必死に今したってしょうがないんだよ」と。こういうことばっかり言ってるから、友人や家族からは呆れられている。
 
私は今日、「サボリ魔は良いぞ」という、このサボリ魔の主張をさらに固めるつもりだ。悪魔として、あなたの足を引っ張り、サボり沼に沈めるつもりなのだ。しかし、今から述べるものは、上記したような単なる詭弁ではなく、あなたに健康を与えるであろう主張だ。
 
私は、実は精神科医である。精神科医の仕事は、たくさんの人の悩みを聞き、苦しみを共有し、そしてそこに少しアドバイスをして、イライラや不安を減らすことだ。そこにサボリ魔の魔術が効くのである。
 
私の診察室にいらっしゃるクライアントたちは、仕事が手につかない、家事ができなくなった、人に辛くあたってしまう、その根本にある悩みは、こんなだとおっしゃる。
 
「これから先、また自分は調子が悪くなって病院に来るんじゃないだろうか。そうしたら仕事もできないかもしれない、やめなきゃいけないかもしれない」
「彼がああ言ったのは、自分のことを気持ち悪いと感じているからじゃないのか、だとしたら彼からは嫌われて、どんどんと距離が離れてしまうんじゃないだろうか」
「子供がゲームをしすぎている。このままだと受験もできず失敗し、この子の生活は散々なものになるんじゃないだろうか」
 
この世の中に過ごしている以上、悩みというものは避けられない。将来にある様々なリスクについて、どうしても想いをめぐらしてしまうことはある。特に、2020年に入りコロナが流行してからは、人生がどう転ぶかわからないように思われる。
 
友人と会ってべちゃくちゃと話をすることもできなくなった世界では、多くの人が悩みを抱えていても、言葉にせず、自分の頭の中でずっとグルグルと考え、気分が落ち込み、しんどくなってしまう。不幸にもここで精神科医にかかる、という選択肢を選べなかった人は、苛立ちをパートナーにぶつけたり、家族にぶつけたり、行き場なくものに当たってしまったりする人もいる。
 
精神科医は、こういった悩みを聞いた時に、直接アドバイスを与えはしない。気づきを与える。
「そうか、そういう悩みがあって、気持ちが落ち着かず、いろんなことに手がつかなくなってしまっているんですね」
そうやってクライアントの気持ちを言葉にしてあげていると、自然と、こんな言葉が出て来ることがある。
「そうなんですよ。今考えたってしょうがないことなんですけどね」
これが答えであり、サボリ魔の魔術が効くところなのだ。合いの手を、こう入れる。
「今考えても意味ないから、今は仕事して、心配はうまく後回しにしていけたらいいな、って、思ってるんだ」
 
現代の悩みの多くは未来のリスクについてである。確かに発生する可能性はあるけれど、それ以外のことが起きる可能性も多々ある。「調子が悪くなっても病院に来るほどじゃないものである」可能性も、「気持ち悪いと思われていない」可能性も、あるいは「ゲームをしても合格する」可能性や、「ゲームで身を立てていく」可能性すらある。同じ状況を違う人が見れば、違った風に考えることもある。しかし、本人は、どうしてもそのnegativeな方向に思考が向いてしまう。つまり、未来に向けた悩みとは、あくまでその人の「思考の産物」なのである。
 
だから、気持ちを和らげるためには、サボるのである。
 
「今考えすぎても仕方ないな、って気づけたら、ちょっと、考えるの、サボってみましょうか。後から考えればいいことは、後に考えて、今は少し違うことしてみましょ。ほら、ちょっと一緒に体でも動かしましょうよ。意識をしっかりと動いている腕や伸びている筋肉に向けて。気持ちいいですね。頭にまたその悩みが出てきたら、考えるのサボって、手放して、もう一度伸びてる筋肉を意識して。何度頭に浮かんできても、脳みそってそうなっちゃってるから仕方ないな、って思いながら、サボる。積極的にサボって、体に意識を向ける。ほーら。ちょっと心の重荷が今は軽くなったでしょ」
私の診察室はだいたいこんな感じである。サボり魔の診察室は、時に診察をサボっているのではと思われてしまうが、これも立派な精神療法である。(と信じている)
 
ちなみに、これを少し言い換えると「マインドフルネス」という技術に近づく。
過去の後悔や未来の不安は、思考によって起きることが多く、一旦それを手放し、今自分が感じている身体感覚に目をむけて集中する、というのがマインドフルネスの技法である。
 
日々、黙々と過ごす中で、どうしても悩みって浮かんでしまうもの。でも、もしそれが「考えたって答えは出ないことなのに、囚われてしまっているな」と感じるような悩みなら、サボリ魔の魔術を思い出して欲しい。「考えるの、サボってみよう。体でも動かして、ちょっと頭から手放してみよう」魅惑的で暖かな沼が、あなたの心を癒しますよ。
 
 
 
 
***
 
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2020-11-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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