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メディアグランプリ

幸せな気持ちにする黄色のカーテンはあなたを待っている


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:成田陸(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
道を曲がり、門をくぐると黄色カーテンが広がっていた。
思わず車を路肩に寄せて、道路に降りる。
「うわぁぁ……!」とため息をこぼすようにわたしの口から言葉がもれる。すぅっと、吐いた息を取り戻すように息を吸うと空気が美味しい。疲れていた身体が一息で回復するような空気だ。深呼吸して、上を見上げると、雲ひとつない澄んだ青空だった。カーテンに近寄ると、ウメノキゴケがあるのがわかる。ウメノキゴケは周囲の環境汚染度を測るコケにもなっており、本当に空気がきれいな場所でしか生息しないことで知られている。
 
「あぁ、ホントにきれいなんですね。景色も空気も」
助手席から遅れて降りてきた現地の案内人は笑顔で、「成田さんは運がいい。今日はシーズンで一番きれいな天気ですよ。最近はずっと雨が降っていて、ようやく晴れたのですから。それに黄色もピークですね」と、教えてくれる。
「それに成田さんがそんなに嬉しんでくれて、わたしも嬉しいです」
案内人の言葉の通り、わたしは手をブンブン振ったり、スキップしたりと目の前の光景を楽しんでいた。わたしは4年前のとあるシンポジウムでみた、この目の前に広がる光景に片思いしていたのだから! 興奮するなと言うほうが無理難題だ。
 
「いやぁ、これだけきれいな光景が見れて幸せだなぁ」
「成田さん、まだ入り口ですから、車に乗って先に行きますよ。これより、きれいな場所を案内しますから」
「本当ですか!?」テンション高めに言いながら、車に乗り込む。
 
そこは、日本で一番高い場所にあるJR小海線野辺山駅(1,345.67m)を降りて、主要産業であるレタスや白菜などの高冷地野菜の畑を車で通りながら、およそ200m登った場所になる。
八ヶ岳高原ロッジ。八ヶ岳の麓にあり、日本の中でも高い場所にある別荘地だ。今日はとある取材で来ていた。ここは戦後に牧場として栄えたが、北海道の畜産業に押し負け、60年ほど前から高冷地野菜の畑とカラマツを植えた土地になる。ロッジはカラマツ林の中にある。
 
わたしを出迎えた黄色のカーテンはした“カラマツ並木”だ。
 
カラマツと聞いて、アニメ「おそ松さん」に出てくる革ジャンを着たサングラスキャラを想像したかもしれないが、全く違う。スギに続いて日本で2番目に多く植えられている樹種で、主に、長野県、北海道、岩手県に分布している。もっとも北海道のカラマツは、野辺山駅がある南牧村の隣にある川上村、佐久地域から持ち込んだものだが。
 
カラマツの主な用途は土壌改良材。いわゆるビルなどの基礎工事時の前に、地面に打ちこむ杭だ。杭を打つことで地面が安定化する、建物を下から支える。文字通り“縁の下の力持ち”だ。また、16mぐらいの長い丸太であれば、東京湾で遊覧している屋台船が停まる用の柱として、海に打ち込まれる。このほかに、丸太を大根のようにかつら剥きにして、接着剤で貼り合わせる合板の材料として使われたりする。
 
ただ、目に見えるところに使われることはあまりない。
なぜか?
マツ類は触ると手がベトベトするヤニが多いほか、時間が経過すると曲がったり、反ったり、割れたりなど加工が難しい材だからだ。それに加工する前の丸太も、曲がっていることが多いので、山から伐って持ってくる業者も顔をしかめることが多い。
 
しかし、カラマツはいま少しずつ見直されている。
 
加工が難しい材も60年生とまだ若い木だからで、70年を超えてくると材の曲がりなどの変形が少なくなり安定した加工が可能になる。また、木材を乾燥する技術も上がり、より材が加工しやすくなっている。
いま、社会に出回っている家具は、使えば汚くなるものがほとんどだろう。使えば、使うほどキレイになる家具なんてものはあまりないだろう。
だが、80年とか経ったカラマツから作られた机は、手入れをしながら使えば、使うほど綺麗になっていく。はじめは橙色に近かった赤色の材は、時間が経てば経つほど、夕焼け色のように深い鮮やかな赤になっていく。時間が経つほど、人とともに成長する“生きた家具”は探してもあまりないだろう。
 
そして、今回わたしが楽しみにしていたのは、カラマツの黄葉だ。カラマツは日本で唯一、葉を落とす針葉樹だ。針葉樹とは、文字のとおり、葉が針のように尖がっている樹木で、ほかには花粉症の原因になっているスギがある。スギなどは一年中、緑の葉をつけているが、カラマツは違う。カラマツを漢字で書くと落葉松、葉を落とす松なのだ。そして、葉を落とす前に、葉が橙色に近い黄色に色づく。葉が役目を終えて、ほんの一瞬深い黄色をみせるのが11月上旬だ。埼玉県の秩父などで、様々な赤色がみえるカエデの紅葉を見るのもいいかもしれないが、ぜひ一度、八ヶ岳の麓に足を運んでみてほしい。遠くから見ると、真っ黄色の絨毯に見えて、近くによると黄色のカーテンになるカラマツの黄葉。一度見てみたら、惚れるに違いない。
そして、奥でわたしが見た絶景もみてほしい。あなたも足を運んでみたら、幸せな気分になるだろう。
黄色になったカラマツはあなたを待っている。
 
 
 
 
***
 
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2020-11-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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