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メディアグランプリ

「調整型」は自己主張をしない代わりに、遺伝子を残す(のか?)


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:青山二郎(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「部長、もう、いいっすか? 一斉メール送っちゃいますね?」
「いや、ちょっと待って。まだ〇〇市さんと△△市さんと電話で話せてないから」
 
「え? でも、メールは送ったんですよね? 上も『もう送っていい』って言ってますし」
「もちろん、メールは送ったけど、電話でもフォローしないと……」
 
ある日のオフィスでの部下との会話である。
 
うちの会社は、毎年、全国100か所ほどの自治体に参加してもらうワンデーのイベントを実施している。各自治体は、その日、自分たちの住民が体を動かしたり踊ったりするプログラムを企画して実施し、その成果をネット上で報告し合う。
 
コロナウイルスの影響で、このイベントも昨年は中止した。今年は実施の予定だったが、ウイルスの感染拡大状況が不透明だったので、延期にすることにした。そのアナウンスを一斉メールで送りましょう、という部下の申し出に、いつもこのイベントに参加してくれている7~8か所ほどの“常連自治体”の担当には事前にメールと電話で根回ししておきたい、と主張したのが私だ。
 
ただ、こうした私の根回しや事前調整を重視する姿勢を、面倒に感じる部下は少なくない。
 
「わかりました。もう文案も決まっていますし、いつでも出せる状態なので、お電話が終わったらすぐゴーサイン出してください」
 
あからさまな態度は示さないものの、電話越しの声には「なんで?」という疑問のトーンが感じられる。
 
コロナの影響で在宅勤務の頻度も増え、直接コミュニケーションの機会も少なくなり、電話やオンライン会議でいろいろな案件がサクサク片付いていく。それ自体は悪いことではないし、むしろ、余計な感情を介入させずにスムースに済ませられる事案が増えることは歓迎だ。
 
ただ、ちょっとした言葉の丁寧さや気づかいの欠如で、相手の心証を害することはままある。
 
どうせ、あとで一斉に知ることになるが、長年、この企画にコミットしてくれてきた相手には、他よりちょっとだけ丁寧に説明しておくことは、のちのクレームリスクを未然に防ぐことにもつながると思うのだが……。
 
「いやいや、それは気にしすぎですって! 相手は意外とそんなこと、気にしてませんから! 万が一、それで相手が『一本、事前に連絡入れておいてよー』なんて文句言ってきたら、謝ればいいだけじゃないっすか!」
 
コロナが流行する前のある日、別の後輩と飲みに行った際にそう言われて以来、私も自分が「めんどくさいオッサン化」しているような気がして、そういうことを指摘するのをためらうようになった。
 
よくよく考えると、こうした私の「リスクヘッジ癖」は、社会人になってから身についたものではない気がする。高校、大学とラグビー部に所属したが、高校ではキャプテンを務め、大学では4年次にマネージャーに指名された。立場はキャプテンとマネージャーで異なるが、基本的に私のチームメイトへのスタンスは変わらなかったように思う。
 
ラグビーというスポーツの特性に、1チームにプレーヤーが15人も存在するという点がある。しかも、自己主張が激しくなった思春期の個性あふれるラグビー選手たちをまとめていくには、相当の腕力とカリスマ的リーダーシップが必要だ。残念ながら、私にはそのどちらもなかった。
 
単純に、「こいつをキャプテン(あるいはマネージャー)にしておけば、皆をなんとなく調整してくれるだろう」という、卒業していく先輩たちの安易な発想と指名による産物だった。
 
その結果、「調整型リーダーとはこういう人のこと」と教科書に出てくるようなキャプテン(マネージャー)が生まれた。よくある話といえば、よくある話だ。
 
「調整型」の癖は、社会人になってもなかなかぬぐえず、常に意見が対立する場面や、あるいは「対立の芽」が見え始める場面では、なるべくもめないように、落としどころを探すようになった。常に双方がうまく着地できるように、事前にどちらか、あるいは双方に根回しするようになった。
 
こうやって改めて書くと、自分のことながら、いかにもわずらわしい。
自分の上司が、なんでもかんでも対立しないように、とか、相手を怒らせないように、とか気を使って根回しにばかりしていたら、イライラもするだろう。そこは大いに反省するところだ。
 
先日、うちの3人の子供たちが、妻が目玉焼きに添えて出したソーセージのことでもめ始めた。冷蔵庫に残っていたソーセージは7個しかなかったらしく、妻は、最年長であり、2人の弟に全くお姉さんらしい振舞いの出来ない長女(高2)に3本与えた。
 
どうしても2本では納得がいかない末っ子の次男(中1)は、食事が始まってからずっとぶつくさと、その不公平さに不満を述べていた。
 
その時、長男(中3)が、さっと自分のソーセージを一本、弟に差し出し、「いいよ。俺、1本でいい」と言った。
そして「だって、めんどくさいんだもん。ずーっと、B太郎(仮名)の愚痴聞くの」と付け加えた。
最後は、その長男の行動を目の当りにした長女が、自分のソーセージを1本、半分に切って次男に差し出して、その場を収めたのだが、一連のやり取りの間、私は一言も発しなかった。
 
ただ、そのときの長男の行動に自分が少し励まされたような心持ちがして、心のなかで小さくガッツポーズをした。
 
 
 
 
***
 
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2021-02-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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