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「タンス預金 過去最高額 10兆円突破」 ~あなたはキャッシュレス派、それとも現金派?~


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:月之 まゆみ (ライティング・ゼミ 平日コース)
 
 
私には月に一度、迫りくる緊張感をおさえて現実と向き合わねばならない日がある。
それはクレジットカードの明細書が届く日だ。
近頃、エコ推奨で明細書のWEB化が進むなか、私はいまだ郵送にこだわっている。
届いたいくつかの明細書をこっそり自室に携えて、ペーパーナイフでうやうやしく封を切る。
そして一度、息を吸い込んでから、三つ折りの明細を開きながら深く息を吐く。
 
もちろん予め利用予想額をたてているので大きく外れることはないが、月の利用額を総額で見ると……。やはりインパクトは大きい。
 
第一声の「嘘でしょう……」はソプラノであったり、時にピアニッシモでうなるようにつぶやいたりするのが、今や私の既読スタンプだ。
 
そして記憶から抜け落ちたひと月の消費行動の足跡をたどるのである。
 
明細には生活費とは別の自分の衝動消費というケモノ道に足跡が記されている。
たどるその先に隠れているのは自分の計画性のなさや大いなる探求心、好奇心。そして損失回避のためのセール品への心の動きなど実に興味深い。
 
私は働き始めてすぐにクレジットカードを作った。
80年代後半、外国資本のカードを持つことは私にとって自立の象徴を意味していた。
 
毎月の支払ときっちり折り合いをつけることは、時に綱渡りのような危ないシーンも経験することになる。しかし一方で長年のカードホルダーとしての実績は社会的な信用につながった。
 
現在、ネット情報なくして海外旅行がなりたたないのと同じくらい、90年代以降はクレジットカードなくして個人旅行はなりたたなかった。
クレジットカードは海外で現金や小切手を持ち歩くリスクや手間を省いたし、国境を問わず信用を提供してくれた。またカードの種類によって無条件に優待が受けられることもあった。
 
そうしてクレジットカードもしくは現金の二択の決済スタイルしかなかった私の生活に、今、電子マネーの新しいライフスタイルが近づいてきている。
 
オンライン決済サービスのPayPayなど、コロナ禍のキャッシュレス思考を一気に加速させており、街中で「ペイペイ」という軽やかな決済音を耳にしない日はないし、各社、新サービスを提供している。
 
しかし私は戸惑っている。
これ以上、キャッシュレスの生活を受け入れてしまったら、もはや収入も支出も全てはただのナンバーでしかなくなるのではないかと警戒している。
 
クラウド上でナンバーは増えたり減ったりしながら私たちの手を素通りして、消費生活を円滑に支えてくれるだろうが、それだと稼いだ感覚も消費した感覚も鈍るのではないかと考えるからだ。
 
人間の脳はそこまで優秀なのだろうか。
私は自分の脳の収支バランスの感覚をそこまで信じられない。いやむしろ信用していない。
 
自身の経験から持っている株価が上がり利益を数字でみても、その半分の現金を手にした時の喜びと感じないからだ。
コンビニで何か買った時、キャッシュレスで決済するより、千円札や硬貨を財布からわざわざ取り出して店員に渡す瞬間、「結構、使っちゃったな」とか「今週は現金の減りが早いな」とか目で確認することで現実に戻れるからだ。
 
財布のなかをごそごそと小銭を減らそうとかき集める自分の姿は、きっと周りからみるとアナログに見えるのだろうと思いながら、支出傾向の高い私には、この行動パターンで浪費を警戒する感度を高めている。
 
1万円をゼロ4桁のナンバーで捉えよりは、サイズ160㎜×76㎜ 重さ1.05gの実態のある1万円札の現物が、価値あるものに思えるのは、私が古い世代の人間だからかもしれない。
 
いずれも収支管理は自分の一生についてまわる。
生涯ついてまわる収支管理だからこそ、自分の自由を追い詰めるような結果にしたくない。
 
私の父は生涯、現金主義を貫いた。職人だったので給与振り込みに馴染みが低かったこともあるが、最後まで自ら銀行口座を作らなかった。
そして本人の本望である「生涯、借金ゼロ」の自由な人生を全うした。
 
その娘の私はクレジットカードの明細書を手に請求額の一つ一つの項目を見直すのを楽しみとしている。
よくもまぁこんなに使ったなとあきれたり、この買い物は本当に価値ある買い物だったと得心するのを繰り返している。
 
明細書を並べながらある時は自分の消費行動への罪状として、またある時は報奨として項目を黙読する行為は、目を滑るWEB明細ではできない醍醐味である。
 
今後、キャッシュレス決済は政府の後押しもあってどんどん一般化していくだろう。
 
若年層はキャッシュレス決済の割引メリットと利便性を取り入れて、どんどん現金離れするだろう。一方、高齢化の進む日本で、キャッシュレスのシステムから取り残された、もしくはシステムを信用できない人たちの現金のタンス貯金も進み、大きく二分化されるのかもしれない。
 
ちなみに私もタンス貯金なるものを時々、試みるが、家族に見つからないようにと隠し場所に凝りすぎたあげく、最後は自分でどこに隠したか忘れてしまい大慌てになる。
 
自分で自分を欺いてしまう結果になるとは実に情けない。
 
結局、手持ちの現金でさえ十分に管理ができない私に、オンライン決済を使いこなすことは当面無理かもしれないと思う次第である。
 
「タンス預金」増え、個人保有の現金初の100兆円突破…前年比5.2%増 過去最高」
 
と2020年の暮れに日銀は発表した。
 
政府がキャッシュレスを推し進めるほど、どうやら国民は現金を信じるようだ。
 
さて、この傾向をあなたはどう読み解くだろうか……。
 
 
 
 
***

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