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断捨離は、心の部屋を一つ空けること


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:ひより(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「要らない物を処分して、空間を作りましょう。そこに、幸せがやってきます」
 
 
アラサーの失恋は、それはもう、もの凄く、痛かった。
結婚前提でお付き合いしていた彼と破局した直後、
藁にもすがる思いで辿り着いた先は、占いだった。
冒頭の言葉は、その時占い師に言われた一言である。
失恋のショックでぼーっとしていたのか、頂いた助言は正直ほとんど覚えていない。
それでも、この言葉だけはきらりと光って、耳に残っていた。
 
つまり、断捨離しなさいってことですね! と納得した私は、
早速特大のゴミ袋を調達し、やる気満々で部屋の扉を開けた。
そしてそのまま、30分は固まっていたと記憶する。
 
 
ただ、捨てるだけなのに。
要らない物をゴミ袋に入れるだけなのに。
「捨てる」という作業が、こんなにも苦しいものだとは。
 
 
元々掃除はまめに行う性分なので、ゴミや不用品はほとんどない。
だから、断捨離するものがあるとしたら、それは全部、元彼との思い出の品だ。
先程の占い師が言った「要らないもの」というのも、きっとそういうことだろう。
一緒に撮った写真、もらったプレゼント、デートでよく着た服(=二度と着たくない服)等々、捨てて良いものはいくらでもある。
いくらでもあるのに、何故かひとつもゴミ袋に入れられないのだ。
 
たっぷりと時間をかけ、えいっと捨ててはみたものの、
元に戻したくなる衝動と何度も戦った。
 
 
思い出が詰まった物はもう、ただの物ではない。
いつしか、思い出や絆そのものになっていたらしい。
捨てることが難しいのは、そのためだろう。
思い出を捨てる事は、2度目のお別れだから。
 
 
止めておけば良いものを、ひとつ手に取る度に
「これはあの時の……」なんて回想してしまう為、余計に辛い。地獄だ。
そんな具合で、気を抜くとすぐ旅に出てしまう心を必死で引き止め、
これは、未練と決別するための儀式なのだ! と言い聞かせ、
思い切ってどんどん捨てていく。
 
 
初めのうち、ひとつ捨てるのに15分はかかっていた。
それが慣れてくると5分になり、段々と即決できるようになっていった。
断捨離にも場数が必要らしい。
 
 
捨てる度に張り裂けそうだった心は、
いつしか捨てる度に息を吹き返すようになっていた。
「幸せな過去」に取り残されていた心が、
ようやく「今」に帰ってきたような感覚。
若干の寂しさは残るものの、それ以上に清々しい気分だ。
 
遂にはスマートフォンまで機種変更し、
2カ月ほどかけて、ようやく私の戦いは終わりを迎えた。
 
 
 
黙々と、要る・要らないを分ける作業の中で、
ずっと頭にあった言葉がある。
 
 
「許しとは、心の部屋を一つ空けること」
 
「あなたは大事な心の家を、そんなに憎んでいるお母さんに渡して、
家の外でブルブル震えてる」
 
 
これは、「私の頭の中の消しゴム」という映画の台詞だ。
自分を捨てた母親を、どうしても許せない恋人に対して、ヒロインがかけた言葉。
初めて映画を観た時もなるほどと思ったが、
断捨離をする中で、身をもって理解できた気がした。
 
怒りや未練を手放すことは、本来の自分を取り戻すことなのだ。
私はヒロインの恋人と同じように、「過去」に縛られていた。
かけがえのない「今」と、今を生きる自分を、大切に出来ていなかった。
本当に自分を苦しめていたのは、
いつまでも前に進もうとしない、弱い自分自身だったのだ。
 
だからこそ、断捨離には大きな意味があった。
勇気を出して、自分の手で環境を変えていくことは、
心にも良い変化をもたらしてくれた。
 
「今」の自分には必要なくなったものを手放し、
笑って生きているであろう「未来」の自分へ、
自由に使える空間をプレゼントする。
それが、私なりの断捨離の意義だ。
 
 
断捨離直後、スタンドライトしか無かった机の上には今、
色とりどりの花が飾られている。
フラワーアレンジメントや寄せ植えといった、新しい趣味が出来たことで、
ずいぶんと世界が広がった。そこから、素敵なご縁にも恵まれた。
夢中で土をいじりつつ、去年の今頃は、この世の終わりみたいな
酷い顔をしていた事を思い出し、笑いが込み上げくる。
一度乗り越えてしまえば、ただの懐かしい思い出になるものだ。
人間は案外、頑丈に出来ているらしい。
 
 
 
過去の宝物とお別れする作業は、本当に胸が痛い。
まさに、自分との戦いの連続だ。
しかし、ぽっかり空いた空間に、新しいお気に入りを飾る瞬間というのは
まるで心の穴が埋まっていくみたいで、何とも言えない達成感があった。
 
 
過去を乗り越えるには、まず、しっかり「お別れ」をすることから。
気持ちの上では清算したつもりでも、物が過去と自分を縛り付けてしまうことがある。
思い切って手放すことで、気持ちがすーっと楽になることもあるのだと学んだ。
 
何もない、まっさらな空間に、これからどんな幸せがやってくるのか。
過去ではなく、今に目を向けて、楽しみに待っていよう。
 
 
 
 
***

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2021-06-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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