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メディアグランプリ

iPhoneという表現


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:伊藤朱子(ライティング・ゼミ超通信コース)
 
 
その「iPhoneフォト講座」を受けようと思ったのは単なる好奇心からだった。そのキャッチーな講座タイトルに惹かれて、「ちょっとやってみようかな」そんな軽い気持ちだった。
 
「スマホ1台で撮影から編集まで3分で仕上げる」
たった3分であんな素敵な写真にできるのなら、お金を払ってもその方法を教えてもらいたい。
講座のお知らせであげられている写真はとても魅力的だった。
 
ちょうど2ヶ月ほど前、iPhoneを買い換えていた。欲張ってレンズが3つついているモデルにしたが、その機能もよくわからず、明らかに使いこなせていない。きっとこの講座を受ければ、電話としてだけではお高いその機械を、ちゃんと使いこなせるようになるにちがいない。
 
オンライン生配信だった講座を当日は見ることができなかったが、一週間後、ようやく動画を見る時間が取れた。iPhoneを片手に準備万端だ。この高い機械を今より活用して、素敵な写真を生み出すカメラに変えるんだ。そんな期待感を抱きながら、動画を見始めた。
 
講座を見終わった後、私は早速、自分のiPhoneをいじってみた。講座の中での言葉を思い出しながら、写真編集をするアプリを使ってみる。
 
この写真の中で、どこに人の目を惹きつけたいのか、何を表現したいのか、そんなことを考える。
アプリの扱いは思ったより簡単で、その効果は劇的だった。写真の変化に驚き、そして、どんどん編集することが楽しくなっていく。「写真を撮って、編集する」を繰り返してみた。
 
今まで撮ってきた写真を眺めてみると、何ともぼんやりとしたものに見える。iPhoneはよくできた機械だ。だから勝手に補正して、綺麗に写してくれる。何となく撮った写真もそれなりな感じに、綺麗に見えた。しかし、そこには何も語りかけてくるものはない。私がその時感じていた何かを、ちゃんと残しているような感じがしなかった。
もちろん、どこか旅行に行った時の写真であれば、その時のことを思い出すきっかけにはなる。でも、それは、その時私が感じたことを人に伝えるものにはなっていない。
今まで、私はこんな写真に満足していたんだ。そう思うと、せっかく、その瞬間に心を動かされて写真を撮ったはずなのに、少し色あせて見えた。
 
そこに意図のない写真はつまらない。
写真がただの記録として撮られたものでないのであれば、一つの表現になるはずである。考えて見れば当たり前のことだが、意図のない表現なんて、面白いはずがない。
漠然と「きれい」だと思って風景を撮ったりしていた私には、このあたり前の視点が抜けていたのだ。
 
なんで「きれい」だと思ったのか、
なんで写真を撮りたいと思ったのか、
なんで写真を撮るのか。
 
その気持ちにフォーカスしなければ、撮った写真の編集もうまくいくはずがない。
シャッターを押したその瞬間、撮り手の意図が全て現せれば、編集はいらないのかもしれない。でも、編集はその意図をより明確にするためにも必要なことなのだ。
 
そういえば、小学校の修学旅行で行った福島県の五色沼があまりにきれいで、たくさんの写真を撮って帰ってきた。その写真を見て、父が「みんな同じじゃないか」と言ったことを思い出した。あんなに感激して写真に撮ったのに、フィルムを紙に焼いてみたら、みんな同じように見えた。私はシャッターを切りながら、その都度、違う気持ちでいたはずだった。しかし、その違いは表すことはできず、あの感動はうまく写真に撮ることができなかったということだ。
 
写真とは、気持ちにフォーカスするものなのだと思う。被写体を設定して撮っているけれど、本当はその時の気持ちを写しているものなのだ。
 
自分の意図を明確にすることが楽しくて、時間を見つけては、過去に撮った写真も編集してみた。何度もそんなことを繰り返しているうちに、一つの写真をいじりすぎて、なんだか自分の意図がどこにあったのか、わからなくなってしましった。
 
私が写真を撮りたいという衝動にかられる時、それは心が動いている時である。過去の写真を編集していて、なんだかわからなくなったのは、私が心の動きと関係なく、「メリハリをつけよう」とか「インパクトがある感じにしよう」というような、小手先の編集をしたからに違いない。だから、編集はその自分の心が新鮮なうちに行った方が良い。心のままに、感じたことを直感的に編集で表現した方がいいのだ。
 
そんなある日、私は観葉植物の足元から、キノコが生えていることに気がついた。夜、お風呂から出てきて、リビングに入った瞬間だった。私は目を疑った。
「なんでキノコ? なに、このキノコ!」
私は驚き、そして気持ちが悪いと思った。
 
だから、そういう気持ちで写真を撮り、編集をした。そのキノコの細かい表面のポツポツしたところもわかるように、ちょっと輪郭がはっきりするように。いかにこのキノコに私がびっくりして、ぎょっとしたかを伝えたくて編集をした。
 
ところがその写真をSNSにあげると、その反応は私の予想に反したものだった。「キノコ、かわいい」、「キノコ、作り物みたいでキレイ」という、私が意図した表現とは違うコメントが寄せられた。私が感じた驚きと気持ち悪さは、あまり伝わらなかったということだ。私はその反応に戸惑ったが、これが現実ということだ。まだまだ、撮り手の意図が伝えるには未熟だということだ。
 
一方で、同じものを見ても、感じ方は様々であるとも言える。あのキノコを「キレイ」と感じる人もいるということだ。試しに母にその写真を見せてみた。母は「いやだ、気持ちが悪い」と言った。私は少しほっとした。私の意図を感じてくれる人もいるのだ。
 
みんなが使いこなせるいい機械は、無個性なものを生み出す可能性が高い。意図なく機械を使い、機械に修正してもらったら、結果は平均化されたものになる。
いい機械だからこそ、自分の意図を持っていないと面白く使えないのかもしれない。
 
講座を受けて、平均化されたものではなく、意図を表現する手段を身につけたのだから、これからもっと、自分の感情にフォーカスして、その瞬間を切り取ってみようと思う。
 
いつでも自分を表現できる手段は、こんな身近にあったのだ。
 
 
 
 
***

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2021-06-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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