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5人目の男を選んでくれてありがとう


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 記事:諸星 久美さま (ライティング・ゼミ)

 初めて彼女に会ったのは、3月7日(月)に開催された夜ファナティック読書会。
 平日の夜に集まった大人たちを相手に、緊張気味に司会を務める彼女は初々しく、何よりも美しかった。

 その日のファナティック読書会のお題は、「狂」。
 そのお題をもとに彼女が選んだ本は、角田光代の『紙の月』。
 2014年に、宮沢りえ主演で映画になった作品だ。

「宮沢りえが、めっちゃ綺麗で……」
と、文庫本を掲げて話す彼女に頷きながら、「いやいや、貴女も十分綺麗よ」と、私が胸中でつっこみを入れていることなど露知らず、彼女は、おっとりとした口調で、自分の想いを言葉で発信していた。

 相当若いだろうに、自分よりも年長者ばかりのこの場所で、偉いな……と、私はどこか母親目線で思っていた。

 そんな彼女の前で、私は持参した本を捲りながら、「傷心の男が泣き言と一緒に食べる乳房型リゾット」とか、「この不死鳥の串焼きの目の部分は、バイアグラで……」などと、お下劣発言連発。

「清楚な彼女を目の前にして、私はなんて、ちんちくりんなんだ……」
と、僅かに胸が疼くも、40年生きてきた中で培った、「人は人、私は私」という、慣れ親しんだ呪文を持ち出し、私は誇らしげに持参した素晴らしき本の紹介を続けた。

 そんな、楽しき夜から一か月後。
 私は、ライティング・ゼミの記事の中に、彼女の名前を見つけた。

あの子が書いた記事だ!とウキウキ気分で閲覧した私は、数分後に放心していた。
「WOW!」と感嘆し、「ふ~」と頭を振り、「20歳ほど歳下の彼女が、これだけのものを書くのなら、私が同じ土俵で戦えるとは思えない……」と肩を落としていたのだ。

 けれど、その数分後には、私の意識は別の場所にたどり着いていた。

 子どもを育てる母親の心や、かつて、幼稚園や保育園で、幼い子どもたちと関わっていた頃の私の心がムクムクと立ち上がり、
「なんて、豊かな可能性を秘めているのだろう! 素晴らしいな~」
と、若くまっさらなエネルギーを嬉しく感じていたのだ。
 
 彼女を、我が子や幼き園児と重ねるのは申し訳ないけれど、私は頑張り屋さんが大好きなのだ。
 しかも、あーだこーだと、自問自答を繰りかえしながら、何かを掴み取っていく姿に触れることも、大好物。

 そんな彼女の姿は、いつかの私に繋がるよう。
加えて、中学生の私も、そこそこ強いバレー部のキャプテンで、成績もそれなりに優秀。読書家でクールに見られがちだけど、友だちはいる。
 突然金髪にして登校したり、バイクに乗ったりと、破天荒な中学生だったことは、別の記事に書くとして……。
とにかく、彼女の記事に出てくる私(彼女)や夏海ちゃん(なれなれしくてすみませぬ)が、中学生の頃の自分と重なった私は、記事の中にするすると引き込まれながら、画面をスクロールしていた。

そして、
WOW! & ふ~&ガックシ& ファンタスティック!
と、感情が大きなふり幅で動いた先で、私は彼女に手紙を書こうと思いたったのだ。

以下は、夏海ちゃん(またまた、なれなれしくてすみませぬ)と彼女の間に、中年女が勝手に割り込むような、ラブレターのようなものだ。
 
 *

彼女こと、野呂美紗貴ちゃん へ

 こんにちは。
 3月7日(月)の、夜ファナティック読書会に参加した、諸星久美です。
 貴女の右前に座り、リリー・フランキー×澤口和之の、エグイ写真&エロ描写満載の本を紹介していた、あいつです。
 
これは、ファンレターのようなものなので、顔を思い浮かべることができなくても、
返事を返す必要も、全くもってありません。
私はただ、貴女の記事に心を動かされたことを、どうにかして伝えたいと思い、
手紙を書いているだけなのですから。

なんか気持ち悪いな……と思われることも、記事のネタにしてるんでしょ……と思わ
れることも覚悟の上で、筆を進めます。

敬語だと、心が真っ直ぐとどかなそうなので……敬語やめるね。

 「あの日のラブレターへの返事」読んだよ。
  素晴らしかった。
  良い本、良い文章、って人それぞれ感じ方が違うから、絶対はないんだろうけど、
  読み進めている時間や、読み終えた後にまで、読者の心を動かすことのできる文章は、
  やっぱり素晴らしい!って私は思うんだ。

  美紗貴ちゃんの記事は、私にとって、まさにそういうものだったよ。
   
  そして、色々な想いを抱えながら、あの夜ファナティック読書会の日を迎えていたこと。
  五股しながらも、天狼院にベクトルを向けたこと。
   (記事 【新入生・純情な女の子たちへ】浮気のススメ)
  その先で、この記事が生まれたことを思って、本当に感激したんだ。

  覚えてるか分からないけれど、私がその日持参した本の一文を、ここで改めて書くね。

 「無理をしてる人は、世の中を幸せにする」         リリー・フランキー

無理をしない人間は、もうその人生のほとんどを終わりに向けてしか生きてはいない。
  いや、死ぬ準備を延々と時間をかけて過ごしていると言わざるを得ない。
  …………
 「夢」なんぞはどうでもいい。ひとまずは「無理」をおすすめしたい。
  …………
  無理はいいもんである。とにかく、第三者が見た時に、胸のすくような 
  清々しい生命力がある
                     『架空の料理 空想の食卓』
                       リリー・フランキー 澤口和之(著) 
                    
  
  貴女はあの時、無理をしていたんだね。
  その無理のせいで、ピアノの発表会で涙が流れたかもしれないけど、
  その無理のおかげで、私は、素晴らしい記事に出会えたよ。
  記事を読んで、私はまさに、リリーさんの言うところの、
  「胸のすくような清々しい生命力」を見た気がしたんだ。
  ありがとう。 

                                諸星 久美
    *

 手紙を書き終えて、私はハッとする。
 初めて天狼院に行った夜に、ある女の子と交わした言葉がフラッシュバックしたのだ。

私 「背、高いね。なんかやってたの?」
女の子「バレーボールを」
 私 「私もやってた~」
女の子「あ、なんか分かる気がします。バレーやってた人って、分かりますよね」

 このような会話を、背の高い利発そうな女の子と交わしたのだ。
 とても爽やかで、気分の良い女の子だった。

 あの子はもしや……?
 もしや、あの子は……?
 
 WOW!

 

***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2016-04-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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