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慎重な息子がやっと自転車に乗れるようになった日


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記事:中村美香(ライティング・ゼミ)

子育てをしていると、子どもに何かを教えることがよくあります。たいていのことはざっくり教えてなんとなくできるようになるのですが、中には、なかなかできなくて、「こうするんだよ」とやってみせても、全然伝わらないこともあります。初めはやる気があったはずなのに、親子でイライラしてしまう……そんなことがないでしょうか?

息子は、慎重なせいか、知らないうちにできていることがほとんどなく、私も教えることが得意ではないので、好奇心旺盛なよその子が、試行錯誤しながらいつの間にかに何でもできるようになってしまうのがとても羨ましかったです。

例えば、靴の履き方、箸の持ち方、ひもの結び方、鼻のかみ方から、高いところへの登り方、ブランコ、滑り台……もう勝手にできるようになってくれーって思っていました。

その中でも一番悩ましかったのは、自転車です。

【自転車 練習 慎重な子】こんな言葉でいったい何度検索したことでしょう? 幼稚園の年中のクリスマスに、さほど欲しがらない自転車を、「そろそろ乗れるようになった方がいいよ」とプレゼントしてから乗れるようなるまで2年近くかかりました。

家に届いた時にはさすがに喜んで、補助輪付きの自転車にまたがりました。しかし、いざこぎ出そうとすると足に力がないのか、コツがつかめていないからか、全く動かない。仕方がないので、息子の足をペダルに置き、私がしゃがんで、息子の足をペダルごと、左足、右足と場所を移動しながら交互に回し、ハンドルも右に振れたり、左に振れたりするので、左足→ハンドル→右足→ハンドル→左足と、いったい何の乗り物だよ! と心の中で叫びながら動かしていました。

自ら乗りたいということはなく、私が声をかけ、半月に1回くらい、30mのスペースを2往復して終了みたいなことが続きました。

「ペダルをこぐ力がないみたい」「他のうちはパパが自転車担当みたいだよ」旦那に報告しても、「じゃあ今度見てみるね」と返事はするものの深刻さはなく、私は、だんだん辛くなってきました。幼稚園のお友だちの補助輪がだんだん取れていく中で、気持ちばかり焦りました。でも、教え方もよくわからないし、うまく伝わらないし……。

しばらくそんな状態が続き、見かねた旦那がようやく練習を見てくれ始めました。ホッとしました。するといつの間にか、息子がこげるようになったのです!

息子は、少し楽しくなったようで、歩いて15分くらいのショッピングセンターに、自転車で行く! という日も出てきて、補助輪ありだけど乗る回数は増えてきました。

さあ、いよいよ本格的に練習だ! ところが驚いたことに、息子はもうこれで自転車が乗れるようになったと思い込んでいたのです! せっかく楽しくなったのだから、しばらく、補助輪ありでいいんじゃない? と言う旦那と、あまり慣れすぎると、補助輪を取る時に感覚が違いすぎて苦労するらしいとママ友に聞いていた私、どちらの考えを大切にするか迷いながら、ある日インターネットで調べたある方法を思い切って試すことにしました。

それは、補助輪とペダルをはずして、バランスをとる練習をしてから、またペダルをつけなおすという練習方法でした。

これなら、ふらついても足をつけばいいし、慎重で怖がりな息子でもどうにかなるかな?

はじめは、おしりだけ座って足で地面を蹴ることを教えるのもままならず、自転車をまたいでおしりを浮かせたまま歩いている状態でした。私も伝えたいことが伝わらない苛立ちで、「そうじゃなくて!」とつい語気が強まってしまい、雰囲気が悪くなりました。

息子から練習したいとはまた言わなくなって、半ば強制的に練習しました。そのうち、おしりだけ座って足で地面を蹴ることは覚えて、恐る恐る進むようになりました。そして、旦那が登場。

旦那と練習すると、スピードが上がり、両足をあげてバランスが取れる状態が長くなりました。気分がよくなったようでその練習は楽しんでいました。しかし、まだ終わりではない! いよいよペダルを戻します。

ここから、また停滞期。ペダルをこぐことが加わるとなかなかバランスがとれない。練習が遠のく日々。再び、旦那が登場。そして、小学一年の秋にようやく自転車に乗れるようになったのです!

あまりに私の時と上達のスピードが違うので、どんな風に教えたのかを旦那に聞いたところ、「なんで乗れないのか? どこが問題か? よく観察していたら、こぎ出しがうまくいってないことに気づいたよ。だから、そこを集中して練習したら、できるようになったよ!」と言いました。

具体的には、“右足のペダルを、足を使って、少し上の方に用意しておいて思い切って踏む。そうしたら、すぐ、でもあわてずに、左足をペダルにおき、ひたすらこぐ。スピードを、一度、一気に上げて、バランスが取れたら、だんだんスピードを落として、ちょうどいいスピードに変える。後は、遠くを見る”だそうです。息子に、「お母さんの言っている説明はよくわからなかったけど、お父さんの説明はよくわかった」と言われ、正直自信をなくしました。

けれど、最近、あることを知って納得しました! それは、物事ができるようなるには、4つの段階があって、その一番上の段階になってしまうと教えることがむずかしくなるという話です。

①自分が「できないこと」も知らないし「できない」段階
②自分が「できないこと」を知っているが「できない」段階
③意識すると「できる」段階
④無意識に「できる」段階

無意識にできる段階の人が、必ずしも教えることが得意ではない。親は日常生活において無意識に「できる」ことが多い。だから「わからない」がわからない……。ひとつひとつの動作を分解して手順を説明し、ひとつひとつ身につけさせて、スムーズに行くようにサポートすることが大事! それに、慎重なタイプは、体で覚える前に、頭で手順を整理してから取り組みたいのかもしれません。

ああ、私は息子に歩み寄って教えることができていなかったな!

教えてもできるようにならない! 伝わらない! イライラして雰囲気が悪くなる……。

つい、理解しない相手を責める気持ちが沸いてくるけれど、自分の教え方はどうかな? ちゃんと伝わっているかな? 相手に歩み寄っているかな? と一息ついて、具体的にそしてなるべく笑顔で教える! 遠回りで手間がかかるようだけれど、実は、それが近道なのかもしれません。

 

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2016-07-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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