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メディアグランプリ

クレームブリュレの生きぬき方


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:福岡 環(ライティング・ゼミ ライトコース)

 
 
心の強い人とはどのような人だろう。
「鋼の心」とよく言われるように、鋼のような硬さを持つ人だろうか。それとも、ボールのように弾力があり、ストレスを跳ね返せる人だろうか。もしかすると、スライムのように対象に合わせて変形しつつも、元の形に復元できるような人かもしれない。
実際に、偉人と言われる人や、私の周りで素敵に生きている人を思い浮かべると、皆さんこのどれかに当てはまっているように思う。
では、私はどうなんだろう。鋼のような硬さ、ボールのような弾力性、スライムのような復元力、どれか一つでも持っているだろうか。
いや、到底持っているように思えない。
私は、固そうに見せかけて、つつくとすぐに中身が出てくる、クレームブリュレみたいな人だ。
 
元々は、自分の心は鋼だと思っていた。世の中のことはよく分かっていて、身の丈に合わないことはきちんと割り切って考えることができる。だからちょっとやそっとでは傷つかないぞ、と。しかし実際は、全然そんなことはなかった。
3年ほど前、私の考えが周りの人に全く受け入れられないことがあった。自分では悪いことをしていると思えない、だから誰かに共感してもらい、後押ししてほしかった。ところが、誰に相談しても渋い顔をされ、「やめておいたほうがいい」と忠告をされるだけだった。
今考えるとささいなことだ。内容もくだらないし、私の考えもかなり稚拙なものだった。しかし、当時の私には大問題で、相当傷ついてしまった。叩かれたところから割れて、内側の部分がドロドロでてきてしまうような、どうしようもない状態がしばらく続いた。完全にクレームブリュレである。
 
自分が鋼ではないと気づいたら、危機感をおぼえるようになった。弱い心では生きていけない。強くならなければいけない。
私は鋼ではなかった。でも、ボールにだったらなれるのではないか。少なくともプリンぐらいの弾力には。降りかかるストレスを、笑い飛ばしたり考え方を変えたりして跳ね返すのだ。
しばらくそうやってすごしてみた。でも、問題から目をそらすようなそのやり方は、私には合わなかった。結局あとから全部のことを思い出し、余計に修復が難しくなる。私はボールにもなれない。
 
では、スライムはどうだろうか。嫌な対象にも自分を合わせてみる。頑なにならず、柔軟な対応をする。
これは合っているように思えた。元々のクリーム部分にも似ているからか、スライム風の行動は取りやすい。 ところが、一旦流れ出すと元に戻ることができない。色々なことに合わせて合わせてとしているうちに、自分が何を感じ、どのように考える人だったのか分からなくなってきた。一番肝心な復元力が、やはり欠けていたのだ。私はスライムにもなれない。
 
情けない話だ。鋼ではないと気づき、それならとボールやスライムに擬態しようとしたところ、結局そのどれにもなることができなかった。私はクレームブリュレのまま生きていくしかない。最低限カラメルの層を厚くする努力をして小さな攻撃は防ぎ、あとは「割れるんで、つっつかないでくださーい」とお願いしながら、周りに気を遣わせながら生きていく。
自分がこんな大人になるなんて思っていなかった。弱みなんて見せず、自立して、強く生きていける人になれると思っていたのに。
 
だけど、ちょっとだけ、ほんの少しだけ希望が見えるとすれば。
私が「割れてしまうので、とくに真ん中割れやすいのでつつくのやめてくださいね」と言ったり、「今割れてしまったので休憩中です。カラメル層を作り直しています」と伝えたりすることで、「自分は鋼ですけど、傷くらいは付くんですよ」と教えてくれる人もいるかもしれない。「私はボールですが、ちょっといま空気抜けているところなので、お手柔らかにお願いします」とか、「スライムは高温の状態では生きていけないので、それは勘弁していただきたいです」という人も。もしかするとクレームブリュレから見える弱さをきっかけに、自分の弱さを見せてくれる相手だっているかもしれないのだ。これはもしかすると、深いコミュニケーションをとることにつながるのかもしれない。クレームブリュレだけど、周りに気を遣わせるだけの生き方では、もしかするとないのかもしれない。
 
残念ながら私は、鋼にも、ボールにも、スライムにもなれず、弱いクレームブリュレとして生きていくしかない。
それでも、鋼ともボールともスライムとも対等に、深く関わることのできるクレームブリュレになれる可能性は、ある。
私は今日もクレームブリュレとして生きていく。
 
 
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2018-02-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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