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メディアグランプリ

ブスの前髪は掴めない


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:コバヤシミズキ(チーム天狼院)
 
 
美しい人って、まず直感で分かるものだと思う。
「あ、こないだ写真で見た子だ」
学内で “カワイイあの子”とすれ違ったとき、会ったことも無いのにデジャヴを感じた。
……ああ、いつだったか、話題に上がった“あの子”だ。
「もうね、この子がかわいいのよ!」
興奮した様子で写真を見せてくる友人に、私も異議なしと同意する。
写真の中の“この子”は、毎度人は違えど常にかわいい。否定しようもない。
だから、わざわざ議論を重ねるような話題でもないのだ。
……そうだというのに、ここで終わらせてくれないのが世の不条理ってやつで。
「まあ、コバヤシはブスだから」
締めの一言は、常にこのセリフ。随分性格の悪いこの人を、何度脳内で殴ったか。
しかし、皮肉なことに“類は友を呼ぶ”らしい。
「そんなもん、とっくの昔に知ってたわ」
この後に続く暴言が、口の中で今か今かと待ちわびている。
素直に否定できないくらい、私もなかなかひねくれていた。
 
そもそも、美人と言われたことがまず無い。
もちろん、お世辞をさっ引いた上でだ。
普段、内面的な褒められ方はしても、外見的な褒められ方はあまりされたことがない。
「そりゃそうだ」
私の顔には、特徴がなさ過ぎる。
一重まぶたはいつだって眠そうだし、鼻筋だって通っていない。この顔のせいで、何考えてるのか分からないと言われ続けてきた。
「だって、日本人の平均的な顔ですし」
例え、一日家の中にいても「昨日、天文館いたよね?」と言われてしまう。ドッペルゲンガー大量発生である。ちょっと怖い。
 
だから、二歩くらい譲って美人じゃないことは認めよう。
それはもう、覆しようのない事実だ。どうしようもないことは私も承知している。
しかし、しかしだ!
「私って、言うほどブスか?」
比べられることは何度もあった。同じ母の腹から生まれた弟は、綺麗な顔をしているから。大丈夫、比べられるのなんて慣れっこだ。
「綺麗じゃないのは、分かってんだよ」
愛嬌が無い。かわいくない。綺麗じゃない。全部、分かってる。
それでも自分の外見に関して劣等感を抱くことはあれど、まさか外から、しかも『ブス』と言われるとは思ってもいなかったのだ。
「主観よりも、客観的な意見の方が正しい?」
この行き場の無い劣等感を、これ以上増やして良いのか。
……美人だったら、こんなこと考えないのだろう。
でも、だからといって私が美人になれる確率なんて、ほとんどゼロに近いけど。
 
別に、美人になりたいわけじゃない。
こんな風に言うと、ふて腐れて聞こえるかもしれない。……実際、ほんの少しふて腐れている。
「だけど、なれないものになるつもりも無い」
幼い頃はまだよかった。この世で一番かわいいのは自分だと自信を持って言えたのだ。
周りの大人たちの言う「みずきちゃんはかわいいね」を素直に信じることが出来た。
でも、歳を重ねるにつれて、だんだん世間が見えてきた。それと同時に、あれは全てお世辞だったことに気がついたのだ。
当たり前だ、3歳なんて誰だってかわいいに決まってる!
「優しかろうがなんだろうが、嘘をつかれたら、いずれ傷つく」
“かわいい”と思っていた自分が、実はかわいくなかった。
それだけで未来の自分への可能性が、ゴッソリ削ぎ落とされたように感じてしまう。
……どんなに強がっても、早々に諦めていても、痛いものは痛い。
私の中に、ひっそり住み着いている女の子の部分が痛がっている。
「私の女神サマには、前髪すら生えてなかった」
かわいくなれるチャンスなど、最初から無かったのだ。
 
「美人になれないなら、せめて普通の女の子になろう」
これは、そんな私が短大生活を送る上でひっそり立てた目標。
そりゃどんなに絶望したって、せめて世間様に顔をさらせる程度ではありたい。
だから、苦手な化粧も覚えたし、立ち振る舞いにも気を遣うようになった。
「しめしめ、うまく擬態できてるぞ」
美人にはなれなかったけど、これで私も普通の女の子! 先天性ネガティブだって頑張れるじゃないか!
そう思っていた矢先、あの一言が飛んできたのだ。
「コバヤシは、ブスだから」
正直、すぐにでも言い返したかった。
「ブスじゃないし!」
でも、言い返せなかったのだ。
確かに、私は努力をしてきた。美人にはなれなくとも、そのほかの部分で女の子らしくあろうとしていたのだ。
それなのに、言い返して良いものか迷ってしまった。
……だって、よくよく考えたら“美人”になる可能性を最初に捨てたのは、他でもない私だったのだ。
自分勝手に蓋をして、女神サマをツルッパゲにしてしまったのも私だ。
本当は未練がましくかわいくありたかったのだ。
……だから、SNSのアイコンを3歳のみずきちゃんにしてしまったのかも。
「コバヤシはブスだから」
繰り返されるこの言葉が、今度はちゃんと正しいところに刺さる。
心の、奥深いところに。
「確かに、ブスだわ」
 
美しい人になりたい。
外見的なものは、もうしょうがないと笑うしかないけれど。
「だったら中から美しくなりたい」
きっと写真のあの子が直感で美しく感じたのは、中身も綺麗だったから。
だから、私も綺麗になろう。
もっと自分に自信を持とう。
「今度こそ、女神サマの前髪つかんでやるよ」
ちょびっと生えた前髪を、見逃さないように。
「もう、ブスの前髪なんて掴めない!」
そして、イイ性格になった私で友人を一発殴ることも忘れずに。
今日も、女神サマを待ち続ける。

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2018-05-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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