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メディアグランプリ

1年間留学した高校生の自分が得た、一番大切なこと


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記事:ゆきもと みちこ(ゼミ平日コース・ライティング)
 
「お父さん、私、1年間高校生留学したい」
自分の父に伝えたのは、高校1年生の夏でした。私の両親はもちろん、親戚の誰も海外留学をしたことはありません。父の返答ははじめ、頑なにNOでした。
「なぜ大学に入ってからいかないんだ」
至極正論です。
でも、私は無性に、大学生になる前に親元から離れたいと思っていました。朝9時に1限がはじまり、夕方5時まで小テストや演習が続く高校の勉強生活に対し、世界はここだけではないはずだ、と漠然と憤っていたのです。
私はなんとか父を説得しようと、「ホストファミリーと暮らして現地の学校に行くのは高校留学だけだから」「高校生はまだ価値観が固まっていなくて柔軟だから」と並べ立てます。対し、父は「それ、インターネットで調べた言葉やろ」と即見抜きます。
2年間却下され続けましたが、結局非営利の留学団体の試験に合格し、私が高校3年生の間ニュージーランドに留学させてもらえることになりました。
 
留学先は首都のオークランド。都会で良かったな、どんな経験ができるだろう、とおしゃれな生活イメージを持っていましたが、実際との違いにショックの連続でした。
 
まず、ホストファミリーはトンガという島国からの移民の方で、母国の文化を守り続けていたこと。両親、年上と年下のホストシスターの4人の愛情深い家族でしたが、白人以上に文化がまるで違う。「ベッドや部屋をだれのものと特定せず、子供3人で日用品までシェアすること」「毎週日曜の午前3時間は必ず教会に行くこと」「一族の年長者が年下の手本となり、年少者はそれに従うこと」。私はすぐにトンガ文化の中での役割を求められたのです。
 
そして、自分の英語が全く通じない。ホストファミリーに会った初日にお腹がすき、「I want to eat something(何か食べたいな)」と伝えると、ホストマザーは首を傾げる。
伝わっていない。
これは詰んだと思いました。同時期に留学してきた他の生徒からは「あなたの英語何言っているか分からないわ!」とからかわれました。私の発音が日本語訛りで聞きとりにくいようです。
 
そして現地の高校の授業には全くついていけませんでした。ニュージーランドの勉強は、答えを選択肢から選択するのではなく、資料を読んで論述するタイプです。初めてのテストは問題文が理解できず白紙で提出する他なくて、もちろんD(落第)評価。勉強でここまで大きく躓くことがなかった私にとっては、ものすごく悔しいことでした。
 
でも、私はとにかくひとりでなんとかしなくてはいけませんでした。両親が大反対した中で留学しているのです。1年間親に連絡はできません。現地に数人いた日本人とは敢えて接しないようにして、毎日襲い掛かってくる問題に立ち向かいました。
 
ホストファミリーの文化は、一度全部受け入れてみました。ホストシスターが私の日本製のカメラを断りなく使って自撮りし、Facebookに写真をあげるのは、そんなものだと思うようにしました。ベッドは空いているものどれかに寝ます。日曜の教会3時間は、眠くて寒くて、木造りの椅子でお尻が痛くなったけど、とにかく英語を聞いて、相づちだけでもして会話に加わりました。学校の授業は、家に帰ってから英語辞書を片手に資料を読み込みました。
 
そうして4か月も経つと、日常会話くらいは伝わるようになりました。今まで(何話しているんだろうな)とボーッとしながら話を聞いているだけだったのが、相手のジョークにツッコミを入れられます。そして、学校の先生の言葉は呪文にしか聞こえなかったのが、教科書のどこを話しているのか分かるようになったとき嬉しかったこと! 学年末の試験では、16回目の提出にして理科のレポートで初めて合格点をもらうことができました。恐ろしく文化や考え方は違うけれど、ホストファミリーといっしょにいることは、家族として安心できるという気持ちにまでなりました。
 
そして1年が経ち、もうすぐ帰るという時。私は教会で、200人の信者の方々の前でスピーチしました。私をそっと見守ってくれたホストファミリーに心から感謝していることを伝えたように思います。なにより感動したのは、1年前に私の英語をからかった生徒が、真剣に、申し訳なさそうな声で私にお別れを言いに来てくれたことでした。
「あなたの英語、本当に上達したわ」
この子は別に、悪い子ではなかったのだ。そして私の留学生活1年間を認めてくれたんだ。ようやく、留学に大反対した親に顔を合わせることができると思いました。
 
高校生留学とは、何か。
 
それは、日本語、大学受験勉強、親兄弟、学校帰りのコンビニ、友達とのあうんの呼吸、全ての「なんとなく」から離れることでした。決められた生活の中で、なんとなく周りと同じように頑張るのではない。世界には日本以外の国があり、無数の価値感があると知る。そして、自分の手で生きていく環境をつくるということでした。無性に「自立したい」と思っていた高校生の自分が出した答えです。
 
もし、あなたの子供が高校生だったり、身の回りに高校生がいたら。
親や手が届かない、毎日の当たり前から離れたところにある一定期間置いてあげることが、子供が大きく羽ばたくための何よりの助けなのかもしれません。もちろん、必ずしも留学でなくて構いません。アルバイトでも部活動でも、親があまり手を出さずそっと見守ってみると、子供は自分なりに生きていく環境をつくっていくかもしれません。
 
今日も自分の夢に向かって通勤電車に乗る私は、ふと思い返すのです。
 

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2018-12-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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