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ヘビメタを聴いたら世界が広がった


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:保坂陽平(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
「私はヘヴィメタルが大好きだ! 大大大大大好きだ!」
 
そう言うと必ず、「えーっ! 人って見た目100%じゃないんだね」とか言われるのだが、ヘヴィメタルに対してどんなイメージを持っているのだろうか。ロン毛でピチピチの皮パンにトゲトゲのアクセサリーを身に着けて、「お前も蝋人形にしてやろうかー!」とか言っているイメージ? 
 
もしそうだとしたら大間違いである。私はロン毛じゃないし、ジーパンを履くし、金属製のアクセサリーは結婚指輪以外身に着けない。「あいつを蝋人形にしてやりたい」とか思ったことは一回しかない。私に限らず、メタルファンの多くは至って普通の人である。
 
私にとってヘヴィメタルは、ヒーリングミュージックである。速くて重い曲ほどいい。ヘヴィメタルを聴くと心が落ち着く。大事なプレゼンの前に気合を入れたい時、恋人に振られて何も手が付かない時、赤ちゃんを寝かしつける時、ヘヴィメタルはどんな時でもあなたの心を落ち着かせてくれるはずだ。
 
一口にヘヴィメタルと言っても色んな音楽があるが、心を落ち着かせたい時はメロディもないぐらいの激しい曲がおすすめ。「スラッシュメタル」と呼ばれるジャンルである。いかにも激しそうな名前だが、スラッシュメタルを聴くと心を「無」にすることができる。
 
私が初めてスラッシュメタルを聴いた時、完全に騒音としか思えなかった。「音楽はメロディがあるもの」と思っていたから、ただ叫んでいるだけに聴こえるスラッシュメタルは受け入れられなかった。おそらくあなたも、最初は受け入れがたいだろう。「うるさい!」と感じてしまうかもしれない。しかし慣れてくると、だんだん心地よく感じてくるはずだ。
 
「テレビの砂嵐を見ていると落ち着く」という話を聞いたことがあるかもしれないが、スラッシュメタルにも砂嵐と同じような効果がある。メロディがないので歌を口ずさむことがなく、雑念が生じにくい。重低音から出るα波が、さらに気持ちを落ち着かせる。
 
例えば、恋人に振られた時に失恋ソングを聴いて立ち直ろうとする人がいるが、私はスラッシュメタルを聴くことを強くおすすめしたい。失恋ソングは、失恋してぽっかり空いた心に、歌詞が容赦なく突き刺さる。泣きたい時はいいかもしれないが、心を無にして落ち着かせたいなら、心に何も響かないスラッシュメタルだ。
 
こんなこと言うと、「赤ちゃんにヘビメタなんて野蛮だ! 虐待だ!」とか言われそうだが、赤ちゃんを寝かしつける時にもヘヴィメタルは有効。実際、私は息子がまだ赤ちゃんの時、寝かしつけるのにヘヴィメタルを聴かせていたが効果絶大だった。赤ちゃんに聴かせるには、「様式美」というジャンルがおすすめ。様式美とはクラシックとヘヴィメタルをミックスさせたような音楽で、文字通り美しいメロディが特徴。ヘヴィメタル初心者にも聴きやすくておすすめだ。
 
スラッシュメタルを騒音としか感じなかった私がヘヴィメタルを好きになったのも、様式美を聴いてから。初めてヘヴィメタルという音楽を知ったのは14歳の時。友達に「洗脳」されたのがきっかけだ。
 
1998年、小室哲哉全盛期が終わりに近づいていた頃、私は小室哲哉に熱狂していた。特にglobeが好きで、「Feel Like dance」は今でもヘビーローテションだ。小室ファミリーの他には、Mr.ChildrenやGLAYを好んで聴いていた。
 
そんな私の耳に、騒音を押し付けてきた友達がいた。彼は3歳上の兄の影響で、「Slayer」というスラッシュメタルバンドに熱狂していた。Slayerとは、「人殺し」という意味。「地球」を意味するglobeとは大違いだ。
 
Slayerを初めて聴いた時は、ただただ騒音にしか感じなかった。一方的にCDを何枚か貸し付けられたが、まったく聴くことなく返した。すると今度は、「X JAPAN」を持ってきた。1998年と言えば、hideが亡くなった年。めちゃくちゃ話題になっていたが、当時の私はまったく興味がなかった。というか、X JAPANをちゃんと聴いたことがなかった。
 
そして私は見事に洗脳された。ギターを始め、その友達とバンドを組んだ。X JAPANもSlayerもコピーした。20年経った今でも、ヘヴィメタルが大大大大大好きだ! 
 
ヘヴィメタルを好きになってから、音楽に対する先入観や聴かず嫌いが一切なくなった。ジャズでもヒップホップでも演歌でも何でも聴く。何よりもいい音楽と出会えるチャンスが一気に広がったのが良かった。
 
もちろん、ヘヴィメタルが万人受けする音楽とは思わない。私の妻のように、いくら聴いてもダメな人はダメだろう。でも、もし先入観から毛嫌いして、今までちゃんと聴いたことがないのなら、今こそぜひ聴いてほしい。もしかするとハマるかもしれないし、「ヘヴィメタルはヒーリングミュージックだ」とか理解不能なことを言い出すかもしれない。いずれにしても世界が広がることには変わりないので、先入観による聴かず嫌いはもったいない。
 
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2018-12-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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