fbpx
週刊READING LIFE vol.130

何もない場所に意味を持たせる「聖地」の作り方!!〜なぜ東海オンエアは何もない「岡崎市」を観光地にできたのか〜《週刊READING LIFE vol.130「これからの旅支度」》

thumbnail


2021/05/31/公開
記事:すじこ(READING LIFE編集部 ライターズ倶楽部)
 
 
突然だが、あなたは街中で、何の変哲のない建物や道路などを熱心に写真を撮る人たち見かけたことはないだろうか?
 
特別に綺麗な風景でもなければ、「映えスポット」でもない。
本当に何気ないありふれた風景にスマホを向けている人を側からみると
「何でこんなところを写真に撮っているんだろう?」
と不思議に思ってしまう。
 
私も先日、都内を歩いていると時に、何の特徴のないビルを数人程度の人たちが熱心に写真に収めている姿を見かけた。
「あの人たち何をしているのだろう……」
と疑問に思いながらその場を後にした。
 
一人ならともかく複数人が同じ場所を撮っているのには何か”理由”があるに違いない。
後に調べてみると、やはり、ちゃんと”理由”が出てきた。
どうやら、多くの人が写真に納めていたビルは、アニメ描かれているビルのモデルとなっていた場所であった。
いわゆる「聖地」と呼ばれるやつだ。
 
最近のアニメの街の風景や建物は、実物をモデルとしたものや、何なら、実在する街をアニメで描くことも多い。
有名どころで言えば、新海誠監督の「君の名は」もその一つだ。
「新宿」や「飛騨高山」と言った実在する街をアニメの中に同名の街として描いている。
そのほかにも、アニメ界に空前のアイドルブームを巻き起した「ラブライブ」は「秋葉原」を題材にしたり、続編の「ラブライブサンシャイン」は「沼津」を舞台にしたりと、年々現実世界を題材とした作品が多くなっている気がする。
アニメの世界には飛び込めないが、アニメに出てくる風景や建物が現実世界にあるにであれば、たとえ普通の風景でも見に行きたいと思うのがファン心といいうもの。
アニメと照らし合したり、アニメに思いを巡らせながら街を歩けば、いい景色や「映えスポット」がなくても、そこは観光名所でフォトスポットなのだ。
 
なるほど。私にとっては単なるショッピング目的の街も、アニメのファンからしてみればここは「聖地」なのか。
何気ない街でも一つフィルターを挟めば観光名所になり、フォトスポットになる。
私には日常の風景であっても、ある人にとっては唯一無二のフォトスポットとなる。
本当に価値観というのは人それぞれ。面白い。
 
「聖地」と聞くと、「アニメ」というイメージが強いと思うが、何も、アニメだけのものではない。
好きなもののゆかりの地であれば、そこは全て「聖地」だ。
ある人にとっては、好きな武将が生まれた街が「聖地」だったり、ある人にとっては好きな小説家が晩年過ごした家が「聖地」だったり、ある人にとっては好きなバンドマンが、よく通っていたレストランが「聖地」だったりする。
 
ということは、私にとって”アレ”は「聖地」だったのか。と思う節があった。
遡ること3年前。私は愛知を観光で訪れた。
気のままの一人旅行に「愛知県」を選んだのは2つ理由があった。
 
一つは、名古屋に住む会社の先輩に会いに行くこと。
日頃お世話になっている先輩に挨拶に行くことが目的の一つだった。
先輩とは観光2日目の夜に会い、居酒屋で食事をすることになっていた。
当日、先輩と合流。
居酒屋に入り席に座って、積もる話をしようと思った矢先、先輩から「愛知に何しにきたの?」と聞かれた。
「え?」言葉の意味がわからなかった。
よくよく聞くと、どうやら地元民は名古屋をあまり観光で訪れる場所と思っていないらしい。
 
ご飯は美味しいしとても住みやすいが、これといった観光名所がないというのが地元民の感想だそうだ。
確かに、名古屋城などあるが、それ以外はあまり観光で思いつくものがない。
失礼だが、愛知にはそんなイメージで、地元民も同意見らしい。
しかし、私には名古屋城以上に魅力的な観光スポットがある。
それが二つ目の理由「岡崎観光」だ。
 
え? そもそも名古屋でもないの?
と思われた方もいるだろう。先輩もその一人だ。
 
「昨日、岡崎観光するんですよ」と告げたらキョトンとした顔をしていた。
「岡崎なんて何の魅力もないし、地元民も行かない」
と言っていた。ひどい言われようだな、と思ったが、それだけ名古屋のブランド力が強いのは否めない。逆に「岡崎に何があるの?」と聞かれる始末。
 
そっか。私にとって当たり前の観光地だが、先輩にとっては普通の街にしか見えないのだ。
で、あれば私が、伝えなくてばならないのでは!
「何がって、決まってるじゃないすっか」私は酒をクイっと飲んだ。
「”東海オンエア”の聖地巡礼ですよ」私はそう息巻き、あの街に魅力を地元民に伝承し始めた。
今夜は長くなりそうだ。
 
あなたは”東海オンエア”というグループをご存知だろうか?
岡崎を拠点に活躍する男性youtuberグループ。
チャンネル登録者数578万人(21年5月22日現在)の大人気youtubeは岡崎市内の高校の同級生と岡崎市内のバイト先で出会った6人で構成される生粋の岡崎っ子から成るグループである。
このグループの特徴はいくつもあるが、その一つとして、地元愛がすごいことだ。
どちらかというと、東京に暮らすyoutuberが多いのに対しこのグループは頑として岡崎から出ない。
中には東京にも家を持つものもいるが、撮影や活動の基準は、「岡崎」だ。
その愛もあって岡崎市から「岡崎観光大使」に任命されていたり、最近ではメンバーがマンホールになったりと本当に切り離せない街となっている。
 
おそらくここまで街に愛され街を愛するyotuberグループはいないだろう。
その愛は岡崎に行けば一目瞭然だ。
 
岡崎市のメインの駅となる「JR東岡崎駅」内には、”東海オンエア”のポップや、グッズ、さらには巨大看板も掲げられている。
まさに”東海オンエア”一色だ。
本当に興奮が止まらない。全てがフォトスポットだ。
 
あの「岡崎観光」の思い出を全て語ろうと一夜では足りないかもしれない。
それだけ濃密だった。本当は先輩にもあなたにも思い出を全て共有したいが、ものには残念ながら限りがあるもので。
だから、「岡崎観光」のオススメスポットを2つにまとめた。
”東海オンエア”に興味が出てきた人、「岡崎」に興味が出てきた人、「聖地巡礼」をしたい人は是非参考にしてもらいたい。
 
オススメスポットその1は「JR岡崎駅」だ。
”東海オンエア”一色の東岡崎駅と違いわりかし静かで、住民しか使わない駅のようだがここも歴とした聖地の一つ。
 
その理由は数々の動画に登場している場所だからだ。
やはり東岡崎駅は利用者が多いため、動画を撮るには不向きだ。
逆にひっそりとした「岡崎駅」の方が撮影には向いており、数年前の動画では頻繁に撮影場所として利用されていた。
中でもオススメの動画が、3年前に投稿された「地元の駅で知り合いに会うまで帰れません!!」という動画だ。
岡崎市で育った”東海オンエア”のメンバーなら、地元の駅「岡崎駅」で知り合いを待っていれば誰かに会えるのでは?
と始まったこの企画。「岡崎駅」で永遠と知り合いを待つというシンプルなこの企画は3年経った今でも神回と呼ばれる動画だ。
というのも、この企画で”東海オンエア”史に残るある奇跡が起きた。
企画のはじめこそは、知り合いに会うことがなかなか出来なく、予想以上にハードになると気づきいたメンバーの心が折れはじめていたものの、帰宅ラッシュと同時に次々と知り合いと会い次々と家路に帰っていった。
そんな中、一向に帰れないメンバーがいた。
としみつだ。
 
結局、日付を跨いでも知合いに会えず、企画は開始から実に7時間を経過していた。
そして遂に終電。
 
視聴者も、メンバーも、としみつも「会えないオチだな」と半ば諦めるなか奇跡が起きた。
なんと、終電で、知合いに会えたのだ。
 
奇跡としか言いようがない。
まさに読んで字のごとく「神回」である。
この名シーンは3年経った今でも切り抜き動画で多く使われてたりと、色あせない動画の一つだ。
 
そんな「神回」が生まれた「岡崎駅」に私ももちろん訪れた。
 
何も無い駅だが「ここでとしみつが奇跡を起こしたんだなー」と思うと感慨深かった。
 
私にとって立派な「聖地」の一つといえよう。
また行きたい。
 
オススメスポットその2は「まんぷく屋」だ。
横浜系のラーメン屋だ。
先ほど紹介した「岡崎駅」は、”東海オンエア”を巡る人の中でも正直行く人と行かない人に分かれる。時間がない人は泣く泣く巡礼リストから外してしまいがちな場所だ。
しかし、この「まんぷく屋」は絶対訪れる場所だ。
巡礼する人で「まんぷく屋」を外す人はまず見たことがない。
それだけ王道観光スポットなのだ。
 
と言っても、街中のラーメン屋だ。
地元の人には慕われているがわざわざ遠方から食べに来る有名店でも、老舗の暖簾分けというわけではない。
それでも聖地と言われるのは、やはり動画に度々出てくるからだ。
しかも、「二度と食べたくないラーメン」として紹介される。
と、いうのも脂が目で見えるほどスープがギトギトしているため、食べ終わったら胃にガツンとくる。
しかも毎回麺大盛りで食べるため毎回食べ終わったら不快な顔をして「二度と食いたくない」というのが通例だ。
それでも毎回食べに行くのは病みつきとさせてしまう「暴力的な旨さ」がそこにあるからに違いない。
 
「二度と食べたくないラーメン」と称してもなおメンバーに愛される味を”東海オンエア”ファンは食べずにはいられないというわけだ。
店内も”東海オンエア”のサインや特別メニューなどもありまさに「聖地」だ。
私も、もちろんお邪魔した。
まず、動画でよく見るラーメンを目の前に感動し、メンバーが愛する味を感じれることに感動し、もう感動しっぱなしだった。
ラーメン一杯に味以上のものが乗っているような気がしたとても貴重な経験だった。
そして、食べ終わって感じることは、もちろん
「二度と食べたくない」であった。
でも、結局、絶対、食べに行くんだろうなと思う。
人を虜にする不思議な力を持つラーメンだった。
 
以上がオススメ2つだ。
他にも山ほどオススメはあり、行ってもらいたい場所がいっぱいあるがそのどれに行くにしても共通していえることが一つだけある。
それは「動画を見ないと退屈な旅になる」というだ。
 
巡礼は、何もない場所に意味を持たせることでそこが観光地となる。
「としみつが奇跡を起こした駅だ」と知らなければ、そこは普通の駅だし、「二度と食べたくないラーメン」と称されながらも愛される街と知らなければ、あそこまで感動する一杯にはならなかっただろう。
それは”東海オンエア”に限らず全ての聖地に言える。
アニメを深く知らなければ、アニメ巡礼はできない。
音楽を聞き込まなければ、バンドの聖地と聞いてもあまり感動しない。
より深く知って、より深く追求している人ほど、感動が大きい旅なのだ。
つまりは前準備が大切なのだ。
といっても小難しい準備ではなく、要は自分の趣味にとことん向き合えばいいだけだ。
趣味のアニメ、バンド、アイドル、youtuberにとことん向き合い探求していく。
 
今は幸か不幸か家にいる時間が増えている。
この時間に自分だけの「聖地」を見つけるのも悪くない。
今は「旅支度」の時期。
そして、いざ旅ができるようになったら、自分だけの「聖地」巡りに出かけよう。
きっとその旅は、今まで感じたことのない感動を与えてくれるに違いない。
そんな旅があなたに訪れますように。
 
私も早く、岡崎へ行きたい。
その気持ちは日に増すばかりで。
 
 
 
 

□ライターズプロフィール
すじこ(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

28歳東京在住

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325


■天狼院書店「シアターカフェ天狼院」

〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目8-1 WACCA池袋 4F
営業時間:
平日 11:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
電話:03−6812−1984


2021-05-31 | Posted in 週刊READING LIFE vol.130

関連記事