fbpx
READING LIFE

『僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?』木暮太一著《READING LIFE》

thumbnail


あれは、僕が書店設立に向けて、再独立が完璧に決まったときだったと思う。

書店や出版の未来について、本当に「青臭く」語り合う、青草会のメンバーがお祝いの会を開いてくれた。

会のメンバーと言っても、なかなか、「青臭い」大人などいるものではなく、はじめてから一年半ほど経つが、メンバーは3人しかない。発起人は、スタジオビビの編集長乙丸氏で、その他のメンバーは星海社新書編集長の柿内氏と僕だ。

そのときに、柿内さんがいつものように興奮した面持ちで、熱く、今自分が編集している本について語っていたのを今でもよく覚えている。

「みんな働き方や自分の給料がどう決められるかについて、勘違いしているんですよ。資本主義って普通に考えると働いた分だけ稼げるというふうに考えがちですが、それが大間違い。『明日の労働に必要な額が給料として決められているに過ぎない』んです。成果主義とか、たしかに取り入れているところもありますが、それは成果を十倍出したところで、給料が十倍になるわけではないんです。今、木暮さんとそういう本を作っているんです。木暮さんは、マルクスの『資本論』の前半部分に書いてあって、あの部分は間違いじゃないと言っています」

その会以降、僕は柿内さんが言っていたことが引っかかって仕方がなかった。確かに、成果主義といいつつ、給料は大きく変動するものではない。

資本主義は、共産主義に比べると自由に思えるけれども、結局はやはり、多くの人が一生「ラットレース」を続けるしかない仕組みだ。

もちろん、柿内さんが言っていたのは、共産主義やフリーランスを奨励するものではなく、もっと根本的な働き方に対する疑問についてだ。

数ヶ月後、星海社新書より、1冊の本が出版される。その本こそが、その日、柿内さんが言っていた本だった。

 

『僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?』木暮太一著

 

発売後、瞬く間に、この本はベストセラーになった。メディアに取り上げられることも多く、展開されたのは限られた書店数だったにかかわらずに、凄まじい勢いで売れた。

やはり、「僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?」というフレーズに、ひっかかった人が多かったということだ。

ぶっちゃけ言ってしまえば、この本には、明確な答えが書いているわけではない。

ある指針が示されているだけだ。

だが、答えをつまびらかにすることだけが、本の役割ではないと僕は考えている。

考えるきっかけとなるのも、本の重要な役割だ。

 

この本は、そういう種類の本である。

 

この本を読んで、「マトリックス」の中にいる自分を認識した時、どう動くかは、自分次第だろうと思う。

そこに留まってももちろんいいし、意を決してフリーランスとなってもいいだろう。

ただひとつ、僕が提案したいのは、この本を読んで、もう一度僕らの働き方について、真剣に考えてほしいということだ。

 

本当にこのままでいいのか?

それとも、他に道はあるのか?

 

真剣に問い続けた人だけに、答えがもたらされるのだと思う。あるいは、答えは、生涯でないものなのかも知れない。

ともかく、考えさせられる本である。

著者の木暮さんは本書においてこう述べられている。

私はこの2冊の本(『資本論』と『金持ち父さん貧乏父さん』)を読んで、資本主義経済の前提条件を十分に理解したうえで「自分の働き方」について考えていかないと、いつまで経っても「目指すべき幸せな働き方」には近づけないことを深く理解しました。

皆さんも、この本を読んで、一度、真剣に自分の働き方を考えてみた方がいい。

何らかの、手遅れになるまえに。

そう言った意味において、この本を買わない理由が見当たらないのである。

 

*ぜひ、お近くの書店でお買い求めください。


2012-07-30 | Posted in READING LIFE

関連記事