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チーム天狼院

「未来が過去をつくる」ことは、タケミっちが教えてくれた



*この記事は、「ライティング・ゼミ」を受講したスタッフが書いたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:永井聖司(チーム天狼院)

 

21:40
 
その日の仕事を終えた僕は、店長を務める店舗、天狼院書店Esola池袋店「STYLE For Biz」を出て時間を確認し、小さく呟いた。
 
「よし、まだ行ける」
 
池袋駅の西口側から階段を降りて構内に入った僕は、反対側の出口に向かって早足で進んだ。急に訪れた秋の気配はどこへやら、体はどんどん熱くなっていく。東口側の地上に出れば今度は、駅に向かってくる人の波をかき分け、目的地へと一直線に歩いていく。
 
21:50
 
予定通りの時刻に目的地に入った僕は、エスカレーターを降りて、地下1Fへと到達した。
目の前に広がるのは、マンガの山、山、山である。
 
そう、僕がやってきたのは、池袋駅東口側にある、池袋の書店の総本山と言っても良いかもしれない、Jク堂書店さんである。
 
どうして書店の勤務を終えて別の書店に来たのか。
それは、池袋にある天狼院書店の店舗が、セレクト型の形を取っているからである。僕が店長を務めるEsola池袋店はビジネス書専門店。東口のWACCA池袋の中にある『シアターカフェ天狼院』はその名の通り、映画・演劇・落語にまつわる本を取り扱うブックカフェ。天狼院書店創業の地でもある東京天狼院は2021年9月現在、コロナの影響により、現在休業中である。
そんな理由で、目的のマンガが自店舗に入荷しないため、他の書店へとやってきた、というわけである。
 
もちろん、セレクト型であるというだけで、目的のマンガを入荷できないというわけではない。きちんと手順を踏んで発注すれば、遅くとも1週間ほどあれば目的の品を入荷することが出来ただろう。
 
それなのに何故、わざわざ閉店後の疲れた体を痛めつけて移動をし、閉店10分前のJク堂書店さんに駆け込んだのか。
 
その理由は、単純明快。
 
買うのを我慢できなかった!!
 
ただ、それだけである。
 
しかもこの、閉店10分前に駆け込むという行為は、約1週間ぶり2度目であった。
およそ1週間前にもこのように閉店間際に駆け込み、目的のマンガの1から8巻までを買っていった。
 
そしてまたその日も僕は、閉店10分前に滑り込み、目的の本棚の前に直行すれば、17巻〜最新23巻までの何巻までを買おうか、悩んでいた、というわけである。
 
翌日にも仕事がある。
そんなに一気に買ったらもったいないんじゃないか?
もっとじっくりゆっくり楽しむのが大人じゃないのか?
 
僕の頭の中の、天使なのか悪魔なのかもわからない声が語り掛けてきたが、結果は簡単に予想がつくことだろう。
 
僕は、17〜最新23巻までを腕の中に抱え、Jク堂書店さんを後にした。
 
「あーあ、買っちゃった……」
 
家への帰り道、自分自身への呆れを呟きながらも、頬は緩み、満ち足りているのを感じた。
 
『こんな状態』になったのは、本当に久々だ。
 
小さい頃から、それなりにマンガは読んできた。しかしお小遣いが限られていれば、こんな短期間で一気に買うことは出来なかった。
大学生・社会人になって多少自由に使えるお金が増えたと言っても、いわゆる大人買いはほとんどない。やったとしても、日々の仕事や自分のスキルのためにと、ビジネス書を中心に買うことが主だった。
そもそも部屋の中の本棚は既に満杯で、新しい本を買っても置き場はない。だから極力、本は選ぼうと思っていた。どうしても巻数がかさんでくるマンガは、特に買うかどうかの審査が厳しくなる。
加えて言えば今月は、そこまで出費する予定など無かったのだ……。
 
などなど、ごちゃごちゃとした言い訳を全て無視する形で、結局の所僕はおよそ1週間で、最新23巻までをコンプリートしてしまった。
 
それだけ、面白かった。
自分の中にあるツボというツボを押されてしまったような、そんな気持ちだった。
 
東京卍リベンジャーズ。
 
現在アニメも実写映画も放送中の大人気作品であるので、ご存じの方も多いかもしれない。
僕も、アニメから入った口だった。それ以前にもマンガの表紙は見かけてはいたけれど、手に取ることはなかった。
 
どうしてこんなにハマってしまったのか。自分自身が、不思議だった。
 
それまでだって、原作マンガがあるアニメを見て、面白い、と思ったことは数え切れないぐらいある。それでも、特に社会人になってからは、映画やアニメを見て感動したからと言ってマンガを全て読むということは、無かったはずである。
理由は、少し前に書いた通りだ。数多い心理的ハードルがあったからだ。
 
それなのにこの作品はヒョイ、と、そのハードルを飛び越えてきてしまった。
 
どうしてだろうか?
 
その疑問は不思議なことに、マンガを読みながらも浮かんできていた。
 
最初に1〜8巻までを買い、布団で寝転びながらページをめくり、ストーリーを追い、絵を眺めながら、フワフワフワフワ、自分の頭の中には疑問が浮かび続けていた。
 
『どうして僕は、この作品にこんなにハマったのだろう?』
 
 
東京卍リベンジャーズは、花垣武道(通称タケミっち)という、26歳の男が主人公である。
冴えない日常を送っている中で、元カノの橘日向が、東京卍會という組織の抗争に巻き込まれて死亡したことを知り、彼女を助けようと12年前にタイムリープをし、奮闘するという物語である。
 
ストーリー、キャラクター、アクションシーン、ミステリーとしての面白さなど、魅力を上げ始めればキリがない。
しかしそれでも、ここまでハマる決め手にはならない。
 
ほとんど多くの人がそうだったように、僕も『鬼滅の刃』は、アニメをすべて見た。無限列車編を見て、涙を流した。それでも、どれだけ世の中が、『鬼滅の刃が完結したぞー!』と大騒ぎになっていても、『まあ、良いか』と、マンガに手を出すことはなかったのだ。
 
この違いは、一体何なのだろう? 何が、ここまで自分がハマってしまう、トリガーになっているのだろう?
 
元カノの橘日向を救おうともがくタケミっちの姿を見ながら、モヤモヤが募っていった。
 
そして、
「君が助かる未来にたどり着くまで、絶っ対ぇ折れねぇから」
そう叫ぶタケミっちの姿を見た時に、とある言葉が、浮かんできたのだ。
 
 
「未来が過去をつくる」
この言葉は、つい最近知った言葉だ。
 
「『過去』が、『未来』をつくる」のではない。
「『未来』が、『過去』をつくる」のだ。
 
最初に『プレゼン思考』という本の中でこの言葉に出会った時は、ピンと来ていなかった。2回目、先日開催いただいたイベントの中で著者の小西さんからお話を聞く中で、わかったつもりになっていた。
その言葉の意味が、東京卍リベンジャーズを読むことで、ハッキリとわかったのだ。まるでパズルの最後のピースがハマるようにハッキリと、言葉の意味が見えたような、そんな気がしたのだ。
 
僕自身、過去によって未来は作られると、思っていた。僕が生まれた環境、兄弟構成、学歴、そして就職してからの職歴などなど、過去が積み重なって今があると、そう思っていた。
きっと、ほとんど多くの人が、そう思っていると思う。
 
しかし、そうではない考えた方もあるそうなのだ。
それが、「未来が過去をつくる」ということだ。
 
 
タケミっちは、『元カノである橘日向が死なない未来をつくる』と、まずは未来を決めた。
その覚悟を持って12年前にタイムリープしたタケミっちは、その未来に進むため、過去の生き方を、変えていくのだ。タイムリープする前は、ただただボコボコにされ、言いなりになるしか無かった不良に立ち向かう。ただしタイムリープしたからと言ってケンカが強くなるわけではないので、タケミっちが出来ることはひたすらに、『逃げない』ということだ。
逃げたか、逃げないか。立ち向かったか、立ち向かわなかったか。
タケミっちが過去で起こした変化は、こうして見てみると、大したことではないように思う。
それでも、タケミっちが『未来を決めた』からこそ下した過去の決断・行動によって、未来はどんどんどんどん、タケミっちの望んだ未来へと、近づいていくのだ。
 
だからハマってしまったのか、と、僕はようやく、気づいたのだ。
 
「未来が過去をつくる」
この言葉が、僕をドハマりさせた、トリガーだったのだ。
 
多分、半年先にこの言葉に出会っていたとしても、もしくは逆に、半年前にこの言葉を知ったとしてもきっと、このマンガにここまでハマることは無かったのだろう。
 
 
その昔、大泉洋さんが全国進出して間もない頃、とあるインタビュー番組で言っていたことを、強烈に覚えている。
「僕は、この先どうなるのかとか、決めたくないんですよね」
 
当時僕はまだ大学生だったと思うけれど、その言葉に、ひどく共感した。
僕の気持ちを代弁してくれる人がいた、とさえ思った。
 
僕は、目標を決めるのが、大嫌いだった。
社会人になってからも、「何歳でどういう役職に就くか、何歳ごろに結婚したいか、明確にしとけよ!」なんてアドバイスは、積極的に無視していた。
未来はどうなるのかわからないのだから、決めたって仕方がない。目標なんて決めたら、動きが狭まってしまいそうな気がする。
そんなことを、思っていた。
そんな風に考えて動いてきたおかげで、何でもやれてきたと思う。
営業職もコールセンターもカフェスタッフも、書店員もビジネス書専門店店長もゼミ・イベントの司会もYou Tubeの生放送も、この『過去』が実績になり、未来を作るのだと、そう思ってきた。
 
後悔はない。
これまでしてきた経験に、感謝もしている。
でも同時に、迷いもある。
これから何をしようか? 自分に何が出来るのだろうか?
そんなモヤモヤが、ここ何ヶ月、いや数年単位で、もしかしたら心のどこかにあったのかもしれない。
 
東京卍リベンジャーズというマンガ、いや、タケミっちは、そんな僕の迷いの部分を、見事に貫き、引っ張り込んだ。そして同時に、やるべきことを刻み込んでくれた。
アニメやマンガがキッカケで良いのか? なんてバカにするやつがもしもいれば、気にする必要なんてない。
 
「未来が過去をつくる」のだ。
 
僕たちは、タケミっちのように、タイムリープをする事はできない。中学・高校・大学・社会人と、後悔したあの瞬間に戻ってやり直すなんてことは、勿論出来ない。
 
しかし、『今日』からなら、変えられる。
 
タケミっちが12年前にタイムリープした『その日』から行動を変えたように、今日を、『その日』にするのだ。
 
それが簡単なことでないことは、東京卍リベンジャーズを読み、タケミっちの戦いを見れば、よくわかる。
タケミっちが傷つき、泣き、苦しむ姿はきっと、『未来』を決めた人間に待ち受けるものなのだろうと思う。
それでも、そんな状況に陥った時にどうすれば良いかも、タケミっちは教えてくれる。数多くの登場人物の中でも恐らく最弱キャラクターであるにも関わらず皆から慕われる理由が、そこにはある。
そんなヒーローが、タケミっちだ。
 
これからも、タケミっちの戦いは続いていく。
でも、その戦いを眺めているだけでは、何も変わらない。
タケミっちに背中を押してもらいながら、僕は僕で、現実世界を進むしかないんだ。
 
そうだ。
まずは、『未来』を決めよう。

 

◽︎永井 聖司(チーム天狼院)
おそらく日本で唯一のビジネス書専門店、天狼院書店「Esola池袋店」STYLE for Biz店長。
大学卒業後、出版と採用コンサルを主な柱とする企業に就職し、コールセンター業務などを経験。30歳以降の人生について思い悩んだ20代後半、『人生を変えるライティング・ゼミ』を知り、2017年8月開講コースを受講。その後、ライティング・ゼミの上級コースにあたるプロゼミ(現ライターズ倶楽部)を3期受講し、2018年11月より天狼院書店に合流。
2019年4月より、ライティング・ゼミのフィードバックを担当。2019年9月より、シアターカフェ天狼院店長、2020年1月より現職。天狼院書店全体のビジネス書の担当を務める一方、ライティング・ゼミで学んだノウハウを活かし、ビジネス書著者を招いたイベントを多数開催している。
メディア出演 雑誌「ダ・ヴィンチ」「リクナビNEXT」

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