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メディアグランプリ

愛は技術


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:ゆり(ライティング・ゼミ 日曜コース)
 
 
「愛されたい」と思わずにすむ人は少ないのではないだろうか。孤独を感じた時。失恋した時。そんな時、人は誰かに愛を求めずにはいられないと思う。
しかし、人に愛されるにはどうすればいいのだろう。私はありがたいことに、家族には幼いころから無性に愛を注いでもらえた。両親に、祖父。兄弟に叔父叔母。肉親に親戚。こちらが、何をしなくても私を大切にしてくれた。
では、他人になった場合はなぜ、こうも欲しい人から愛をもらうことができないのだろうか。愛されない自分はどうすればいいのだろうか。
 
私は、本に答えを求め、一冊の世界的ベストセラーにであった。世界的社会心理学者のエーリッヒ・フロムの『愛するということ』という著書だ。
 
彼によると、どうやら愛とは技術らしい。技術というからには一般的に技術と言われているものと同じように、知力と努力が必要なようだ。愛する方法を習得するものらしい。
そして愛の問題は愛される問題ではなく、愛することの問題だそうだ。愛は能動的な問題であり、「みずから踏み込む」もの。つまり、愛とは与えることであり、もらうことではない。
愛することは、本人の問題であり、愛する行為自体が自分を幸せにしてくれるそうだ。そして、みずから踏み込んで愛した結果、相手からも愛されることにつながるとフロムは言っている。
まずは、自分から、踏み出すことからはじまる。相手からもらえることを待っていては始まらないのだ。
つまり、愛されたいと願っていても、自らがまずは相手を愛さないと愛されないのだ。
自分から与えることで、結果的に早く与えられる。ここで重要なのは愛することは技術なため、知力と努力が必要だということだ。
 
しかし、義務教育では人の愛し方なんて習ってこなかった。巷には、人を好きになってもらう方法・惚れさせる方法=愛してもらうノウハウ本ならたくさんあるが、どうやったらその人を好きになるか? その人に惚れることができるか? という本なんて読んだことがない。
私は、頭を抱えたが、冒頭でもあったように私に無償の愛を注いでくれた母の顔が頭に浮かんだ。
 
「よーし、よしよし。いいこだねぇ!」と私の母は、自宅で飼っている大きなゴールデン・レトリバーを両手で撫でた。
自分で生んだ3人の子どもたちが成人し、家を離れて数年後。我が家にメスのゴールデン・レトリバーの子犬がやってきた。愛らしい目に優しい性格に、かしこい頭脳。とても飼いやすい犬として根強い人気がある。そんなかわいらしいゴールデン・レトリバーが家に来ることで、子どもたちが巣立った我が家は一気に明るくなった。
子ども部屋に使用していた8畳の部屋は犬専用の部屋と化した。最新のエアコンを設置し、コストコで購入した巨大なソファーが彼女の居場所。徳川綱吉もびっくりお犬様の扱いだ。母はゴールデン・レトリバーの住環境を整え、暇があれば部屋に顔をだし、かわいがっている。誤ってゴム手袋を食べたときなどは、一家が大騒動だった。人間のようにセカンドオピニオンを受け、いい医者を調べ治療した。
このように母はゴールデン・レトリバーをまるで4女のように愛情を注いでいる。どこからそんなエネルギーと愛が湧いてくるのか。自分以外のものを大切にできるのか。
私は実家に帰るたび、疑問に思っていた。母親の愛とは不思議なものだ。
自分の子どもたち3人にはどうだっただろうか。三人姉妹の私たちを看護師の母は分け隔てなく、大切に育ててくれた。3人とも大学に行かせ、1人暮らしをさせてくれた。自分でも仕事をしながらの子育ては想像以上に大変だったと思う。社会人になってからこそ、どこにそんなお金・気力があったのかと、母のすごさを痛感している。
このように母の愛情深さを感じると同時に、自分にもこのように誰かに愛情を注げるのか不安になることがある。
時に人のことを自分のこと以上に心配し、時に自分を犠牲にもする。見返りを求めずに他人に尽くす。こんなことが自分にもできるのか。そして、自分の愛を注いでもいい存在を見つけられるのか。私は実家に帰って、母がゴールデン・レトリバーに接している姿をみて、自分はできないと思ってしまう。無条件で愛することは私に難しそうだ。
 
だが、フロムの言葉が私を勇気づけてくれた。愛とは技術なので、習得する必要がある。そのため、自分はできていないと思っても仕方ないということだ。愛し方を知らないから。だからこそ、母の人を愛する姿をみて、自分も愛し方を学ぼうと思った。そうすれば、自分も誰かを・何かを愛せるようになるのだ。
 
誰かが誰かを愛している姿をみて、愛するということを学び、自分も誰かに愛情を注ぐ。そうすると、結果的に、自分も愛されるようになるのだろう。
 
失恋をして落ち込んだら、同時に、誰かをそこまで愛すことができた自分をほめてあげてほしい。きっとそれは自分のかけがえのない財産になっているはずだ。なぜなら愛することを学んだから。愛されないことを課題にしてはいけない。それよりも自分から愛せないことが課題だ。そもそも、愛するというのは愛を与える技術だから。
 
 
 
 
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2020-03-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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