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アメリカ留学が教えてくれたコミュニケーションに必要な3つのこと


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:石瀬 木里(ライティング・ゼミ集中コース)
 
 
「コミュ力お化け」
 
大学でついた私の異名である。大学では確かに、顔が広い方だった。
キャンパスを歩けば、必ず知り合いとすれ違った。
塾講師のバイトでは、コミュニケーション力が功を奏して、上位20%の講師に選ばれた。
就職活動でOB訪問すれば、コミュニケーション能力の高さを幾度となく評価してもらった。
 
しかし、そんな私には、忘れられない言葉がある。
 
『あーわかったわ! 全て私のせい! あなたを選んだ私がいけなかったの!』
 
あろうことか、この言葉を放ったのは、大学に入る1年前、留学先で1年間お世話になったホストマザーだ。彼女の家で、1ヶ月過ごした後、2人で話し合いをしていた時に、あなたをホストファミリーの一員として受け入れたことが間違いだったと面と向かって言われた。元々、感情の起伏が激しい彼女とは、ソリが合っていなかったのは事実であったが、この言葉は流石に身に堪えた。あまりの衝撃に、理由すら聞けずじまいだった。視界が真っ白になり、自分が自分でなくなるような、いっそ現実ではなく、留学ごと夢であって欲しいような気持ちだった。
 
結局、ホストマザーと仲直りはしたのだが、そこまで言われるだけの心当たりがなかっただけに、大学に入ってからも、「なぜ、こう言われることになったのか」「自分の何が悪かったのか」誰も教えてくれない答えを探し続けた。この言葉は、今までなんとなく感覚で人付き合いをこなせていた私に「コミュニケーション」や「人付き合い」をじっくり考えさせてくれるキッカケになった。
 
 
 
 
そう、今なら分かる。
ホストマザーが、なぜああ言ったのか、彼女の気持ちを手に取るように分かる。
 
彼女は、夫との結婚を機に十数年前に南米からアメリカに移住して暮らしていたが、数年前に夫を亡くし、今は2人の子供たちを女手一つで育てるシングルマザーだった。
日本では末っ子として育てられた私は、下の兄弟はおろか、年下の子供たちと関わる経験も全くないまま、異国の地で”姉”になった。
 
現地の学校でも、英語で全く違う文化で育ったクラスメイトと友人になることが思いのほか上手くいかず、慣れない環境に学校でも家でも疲弊する毎日だった。更に、ホストマザーは感情の起伏が激しく、子供たちが宿題をやらないなど、ささいなことに対しても、金切り声をあげているかのように起こる姿に、始めは”感情を表に表すことが当たり前”な文化で育ったと理解しようと努めたが、次第に恐怖心を覚えるようになった。怒りの矛先がいつか自分に向くことが怖かった。私は昔から上に兄弟がいたこともあり、人から怒られた経験がほとんどなく、怒られることが苦手な人間だった。
 
それからは、”怒られない”ことを念頭に行動した。夕食の手伝いも、食器洗いも掃除も、進んでやった。自分の宿題が徹夜になろうとも、頼まれれば、ホストブラザーの宿題を一緒にやった。ホストマザーの前で携帯を触ると怒られたので、触らないようにした。家族の時間を大切にしてほしいと言われていたので、友達との誘いも断った。
 
全て我慢していた。
全て完璧に感情を隠し通せるわけでもないのに、不満だけを貯めに貯めて我慢していた。
『私の意見を聞いてくれない』
『1人になれるような自由な時間がない』
『やってほしい事だけ押し付けられる』
『友達が欲しいのに、遊びに行けないからできない』
 
気づけば色々な不満を心に貯めていた。
辛かった。
本当に辛かった。
夜、ベッドに入ってから涙を流したのは、1度や2度ではない。
なんで自分だけ、こんな辛い思いをしなければいけないのかと何度思っただろう。
 
 
 
 
でも今ならわかる。
辛いのは、私だけじゃなかった。
今ならわかる。
私と同じくらい、きっとホストマザーも傷ついていた。
今ならわかる。
私が彼女を傷つけていた。
 
夫が亡くなり、女手1つで異国の地で2人の子供を育てることになった彼女。
きっと、我が身1つで留学にやってきた私より、はるかに重い責任を背負い、孤独感も背負っていた。私が辛いと思う気持ちと同じくらい、彼女もきっと辛かったと思う。
 
『私の意見を聞いてくれない』
違う。私が伝えなかった。言わずに我慢した言葉を、彼女はきっと聞きたかったと思う。
『1人になれるような自由な時間がない』
違う。家族の時間が永遠でないことを知っているから、大切にしたかったのだと思う。
『やってほしい事だけ押し付けられる』
違う。彼女も少しくらい頼ってもいい人が欲しかったのではないかと思う。
『友達が欲しいのに、遊びに行けないからできない』
違う。私が勝手に怖がって、ホストマザーに遊びに行っていいか聞かなかった。
 
私は、何もわかっていなかった。
自分をシンデレラのように見立てて、勝手にホストマザーを悪役に仕立てていた。
彼女の気持ちに少しも寄り添ってあげられていなかった。
気持ちに寄り添うどころか、相手の”ないもの探し”のようにあらさがしをしていた。
自分の気持ちを言葉にもせず、察してもらおうとしていた。
相手の話を”反論するために”聞いているかのように、端から耳を傾けていなかった。
何も与えずに、全てを与えてもらおうとしていた。
 
なんて自分勝手なのだろうかとつくづく思う。
今ならわかる。冒頭の言葉は、ホストマザーの心からの叫びだ。
私の言動によって傷ついた彼女からの心が悲痛を訴えていたのだ。
 
 
大学に入って、コミュニケーション能力を褒められるようになった。
 
 
でも私は知っている。
何か特別な力が身についたわけではない。
真に相手に向き合い、相手の気持ちに寄り添うこと。
自分の気持ちを伝えること。
相手の”ないもの”を探して不満を募らせるのではなく、今”ある”ものに感謝すること。
 
 
コミュニケーションに必要なことは、特別なアメリカンジョークなんかではない。
たった3つの基本的な考え方だと、ホストマザーが教えてくれた。
 
 
 
 
***

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2021-05-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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