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メディアグランプリ

若葉の誓い


*この記事は、「ライティング・ゼミ」を受講したスタッフが書いたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:井口皓介(チーム天狼院)
 
 
「危ない!!」
 
帰宅途中、車で幹線道路を走行していると、どこからともなく一台の車が目の前に現れた。
「頭の中が真っ白になる」というのは、こういう状態のことを言うのか。
そんなどうでもいいことだけが、頭の中をよぎる。
免許を取得して当時、まだ2ヶ月余り。日々の運転ですら緊張していた若者が対応するには、あまりにも難しかった。
若さの特権と言われる素早い判断のおかげで、ぶつかる寸前で急ブレーキをかけ、なんとか事故を起こさずに済んだ。
 
「もし戸惑った時には、ウインカーを出して路肩に寄せ、停車しなさい。そして、3回深呼吸をしなさい。そうすれば、次に何をすべきか見えてくる」
 
ふと、つい最近までお世話になっていた教習所の教官の言葉を思い出した。
すぐに教官の教え通りに車を停め、3回深呼吸をする。
そして、自分の行動を振り返る。
よそ見をしていたわけではないし、考え事をしていたわけでもないので、普通なら目の前を走る車には気づくはずである。
しかし、直前まで気づくことができなかった。
ときどきバックミラーで後方を確認していたが、かなり後ろを走っていたはず……。
後ろから僕の車を抜かしてきたはずだけど、そういえば、あの車はウインカーを出していなかった……。
そこまで考えて、僕は一つの結論にたどり着く。
「ああ、さっきの車はあおり運転をしてきたのだ」と。
 
なぜ、あおり運転をされたのか。もう一度考え直す。
特にスピードが速かったわけでも、遅かったわけでもない。周りの車の流れに合わせて、ただ走っていただけだ。
法律で決められたように、車には初心者マークを貼っている。
蛇行して走っていたわけでもない。
それなのに、後ろからその車は詰め寄ってくる。
こちらのバックミラーに、相手のドライバーの顔がはっきり映るほどに。
僕が運転する車を抜き去った後も、突然の車線変更や急加速、急ブレーキを繰り返す。
その恐怖といったら……!
 
僕が今からすべきことは何か。
とにかく安全に車を走らせること。そして、何事もなく家に帰ることだ。
パニックになった頭を落ち着かせ、当たり前とも思えるこの事実に僕が気づく頃には、カップラーメンが一つできていたであろう。
 
 
♢♢♢♢
 
 
あおり運転。
近年、ニュースなどでその言葉を聞くことが多くなった。
被害者のドライブレコーダーの映像が流され、その恐ろしさが伝えられる。
道路交通法が改正され、あおり運転に対する処罰が厳しくなった。
そんな報道をどこか他人事のように感じていた。
「普段から安全運転を心がけている自分には、どうせ関係のないことだ」と。
しかし、油断している者にこそ、魔の手は忍び寄ってくるものだ。
 
 
自分は事故を起こさないように、しかし、「ぶつかるかもしれない」と相手に恐怖を与えるような運転をすることは、とても難しい。
その意味では、あおり運転をする人は、とてつもない運転技術を持っていると言えるのかもしれない。
しかし、他人に恐怖を与える技術など、持っていたとしても使ってはいけないのだ。
今回は、たまたま事故を起こさずに済んだのかもしれない。
だけど、次は? 誰かを事故に巻き込んでしまうかもしれない。
 
それでは手遅れなのだ。
事故が起きてしまった時点で、誰かが傷つき、悲しむ事になる。
ケガをしてしまったのが自分であれば、まだ諦めはつく。自業自得なのだから。
もしも、何も関係のない別の誰かがケガをしてしまったら? きっと悔やんでも悔やみきれない。こころと体、二重の傷を負ってしまうのだから。
 
 
友人たちからは「運転上手いね? 事故起こさないでしょ?」「安心して乗れる!」など、褒めてもらうこともある。それは、とても嬉しい言葉だ。
しかし、僕は「自分の運転は下手である」と思っている。そう思うように心がけていると言ってもいい。
なぜか? それは安全運転を徹底するためだ。
下手だと思うからこそ、少しでも危険だと感じる運転はできないようになる。
それは自分を守るためであり、周りの人々を守るためでもあるのだ。
「危ない」の先には「悲しみ」という名の真っ暗闇が、口を開けて待っているのだから。
 
 
♢♢♢♢
 
 
呼吸を整えて、もう一度右ウインカーを出し、走り出す。
1kmほど進んだ頃だろうか。先程、僕の車を抜き去った車が、路肩に停車していた。何事かと思えば、例の運転手が警察の取り締まりを受けている最中だった。
 
それみたことか。そんな風にはとても思えなかった。
明日は我が身。車を運転する以上、誰もが凶器になりうる。
安全に絶対なんて存在しない。それでも、悲しい事故を減らすことはできる。
大好きなドライブが楽しいものであり続けますように。悲しいものになりませんように。
そんな思いで、取り締まり中の警察官たちの横を通過する。
 
家に着くまで、あと少し。それまでは気を抜かずに。
僕はもう一度、心の中で唱える。「安全運転で、行ってきます!」と。
帰りを待ってくれている人に「ただいま!」と伝えるために。
 
 
 
 
***

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2021-06-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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