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我が家のベランダを奪回せよ!


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:晏藤滉子 (ライティング・ゼミ超通信コース)
 
 
「何コレ・・・・・・?」
私はその惨状を目の当たりにし動揺していた。
 
5年前のことだ・・・・・・。
当時の私は半年ほど自宅から離れていた。久しぶりの我が家だ。
私は窓を開け放ち、自然の風を家中に通したかった。
 
北側の部屋は普段人の出入りはなく、遮光カーテンが閉めてある。
その部屋のカーテンを勢いよく開けた時、今まで見たこともない光景が目に飛び込んできた。
 
鳩らしき羽根と大量の糞、べランダの隅には小枝で作られた巣まであった。
空の巣の横には割れた卵の殻が・・・・・・。まるでどんちゃん騒ぎの残骸のような、散らかし放題の光景だった。
 
どうみても、この半年の間に鳩がやって来て愛の巣を作り、子育てしていたのだ。空の巣は巣立ちが無事終わった証なのだろう。
 
ここは私の家だよ! 勝手なことしないでよ! と怒りもわいてくる。
 
油断していたのかもしれない。でも、ここに住んで20年近く経つが、鳩の巣作りは初めてのことだった。せいぜい鳩が止まっているな・・・・・・くらいのものだった。
 
 
世の中では、鳩は平和の象徴と言われている。
勿論鳩をこよなく愛している人もいるだろう。
 
でも、私は鳩が子供の頃から大の苦手だった。
幼稚園の頃、大きな神社で鳩の大群に取り囲まれて大泣きした経験からだろう。
鳩の目が、色が、グルックルーという声が・・・・・・どうにもこうにも駄目なのだ。
 
ゴーグルと二重マスクとゴム手袋の完全防備で、北面ベランダの清掃と消毒に数時間を費やした。
 
「何とかしなければいけない」
これが私と鳩の3年戦争の始まりだった。
 
 
ベランダは清潔になり、空の巣は撤去した。
もうこんなこと繰り返したくない・・・・・・私は鳩の巣作りについて情報収集を始めた。
 
鳩は帰巣本能と縄張り意識が強い特質を持っている。その特質を利用したものが伝書鳩なのだろう。知能も高そうだ。ただ、自分の縄張りを綺麗に保とうという事は考えないらしい。いや、糞などで汚れることで縄張りをアピールしているのかもしれない。鳩の糞の中には人も罹る病原菌やウイルスが潜んでいる。糞が乾燥し風で舞うことで吸い込んでしまうことだってあるのだ。
 
被害の多くは、マンションのバルコニー。5階以上が狙われやすいそうだ。確かに蛇とか小動物を避けるにはマンションは最適だろう。雨風もある程度凌げるのだから。接している部屋が無人だったら更に巣作りには最適だ。
エアコン室外機の下、すき間、空のプランターの中など、部屋から死角になる物陰に巣は作られるという。
 
鳩の巣作りは3月から5月にかけて。3~4日で巣を完成させ、母鳩は卵を産む。驚いた事には鳥獣保護法というものが存在し、卵を勝手に移動させたり処分してはいけない規則があるという。雛や親鳥のいる巣に手を出す事は、例え自分の土地であっても許されない。一年以下の懲役か100万以下の罰金・・・・・・これには鳩も含まれる。一体誰が申告するのだろうか甚だ疑問だけれど、卵を産んだら巣立つまで、手を出す事は禁じられているのだ。
 
我が家の場合は、とうに巣立っていた。すでに親鳩にとっては子育てに最適な優良物件と見なされた訳で、きっと来年も再来年も春になると巣作りにやってくるのだろう・・・・・・決戦は、卵を産み落とす寸前までなのだ。
 
 
ネットショップの口コミなどを参考に、ベランダの柵につけるトゲ付きの結束バンド、ホログラムのキラキラ反射するテープ、鳩の足裏がトウガラシ成分でベトベトするような忌避ジェル、鳩が嫌いらしいローズゼラニウムの精油などを用意した。口コミを見ると、世の中にはこんなに鳩と戦っている人が多いのかと驚いた。
 
どれが効果あるのか分からない。
私は次の巣作りシーズンに向けて着々と準備に勤しんだ。
 
そして春を迎え巣作りシーズンがやって来た。
案の上北面ベランダ付近には偵察するかのように鳩が数羽旋回している。
 
準備してきた鳩よけグッズは・・・・・・残念ながら無駄に終わった。
手応えはある。でも鳩は学習能力が高く、トゲトゲの結束バンドも反射するホログラムテープもすぐ慣れてしまう。トゲトゲの上に器用に止まっている鳩を見た時「負けた・・・・・・」と意気消沈してしまった。
 
結局、一番効果的だったのは基本のキ、人の気配を感じさせることだった。
北面の部屋で仕事をしてみる、物音をさせる、カーテンをたなびかせるなど・・・・・・「油断してはいけない」と鳩に感じさせる。夜仕事から帰った時も、北面ベランダを要チェック。鳩が休んでいようものなら、鈴つきの巨大猫じゃらしで他の場所へ退出願う。
 
ここは優良物件じゃないよ!
安全じゃないよ! 子育てに向かないよ! とひたすらアピールする毎日。
 
パトロールではなく、ハトロールの毎日だった。
 
思い返せば、鳩との戦いは初年が一番苦労した。
試行錯誤の日々であり、鳩との戦いがこれからずっと続くのではと弱気になったこともあった。鳩のグルックルーという鳴き声の夢まで見たほどだ。
 
初年度、巣作りは無事回避できた。翌年も同じことを繰り返すのみ。
ここまでくると鳩の方も「ここは優良物件ではないかも」と思うらしく、偵察も次第にあっさりしている。様子見だけで何処かへ行ってしまうのだ。
 
シーズン3年目に突入して、巣作りの為の小枝が床に落ちていることが皆無となった。
 
とうとう諦めた! 鳩は他所に安住の場所を見つけたんだ!
私はこのベランダを鳩から奪回することに成功したと確信した。
 
鳩が快適な巣作りを求めるように、人間側も快適な生活を望んでいる。
それが共存共栄出来ればベストなのだろうが、生活の場における野生動物との共存は不可能だと思っている。出来る事は鳩を傷つけず追い払うのみかもしれない。
 
 
鳩との戦いに勝利して後、2年程経過した。
相変わらず北面のベランダの掃除は徹底的に、物陰という隙間も作らないようにしている。
 
ただ、最近隣家の柵に止まっている鳩の視線を度々感じることがある。
グルックルー グルックルー・・・・・・
虎視眈々と何かを狙っているような冷たい眼差し。私は想像し過ぎだろうか。もしかしたら、鳩との戦争は終結したつもりになっていたが、鳩陣営にとっては今も尚戦いは静かに続いているのかもしれない。
 
何と言っても、鳩の帰巣本能は侮ってはいけない代物なのだから・・・・・・。
 
 
 
 
***
 
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2021-07-02 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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