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メディアグランプリ

名古屋と行列と信長と技術と


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記事:村人F(ライティング・ゼミ超通信コース)
 
 
その朝は衝撃的なニュースから始まった。
震源地は「ドデスカ!」
ローカルネタを多く扱う、東海地区のニュース番組だ。
こいつが寝ぼけ眼の頭に爆弾をぶっ込んだのである。
 
「本日オープンのコストコですが、朝5時で1000人並んでいました」
 
は?
 
コストコに?
 
平日の木曜なのに??
 
朝5時で1000人????
 
スケールの違いすぎる数字を聞かされたため、頭が少々パニックになってしまった。
ちょっと整理しよう。
 
コストコといえばアメリカ発祥のバカでかいスーパーで、売っている全てがアメリカンサイズということで有名なチェーン店である。
そこが名古屋市に新規店をオープンしたのである。
 
それにだ。
それに平日朝5時から1000人も行列を作っていたのである。
しかもコロナ禍で入場制限をしているのに、だ。
おまけに最前列は昨日の正午から並んでいたなどと抜かしている。
 
マジか……。
名古屋に移り住んで数年経つが、未だにこの行列に対する彼らの感覚には慣れない。
タピオカブーム全盛期には平日朝でも3時間の列を作るし、休日に至っては6時間待ちを記録するほどである。
行列で待つことに対する耐性が、他県に比べてネジ1つ外れているのだ。
あの情熱はどこから来るのだろう。
もはや尊敬すら覚えるレベルである。
 
しかし考えてみると、この行列に並べるということが名古屋人の力、その源になっているのかもしれない。
 
1つ目の力は見栄を張りたがる性質である。
名古屋有する愛知県はあの天下のかぶき者、織田信長の出身地だ。
そんな派手好きの彼の遺伝子が、現代の名古屋人にも刻み込まれているのだろう。
美容室サロンにかけるお金も全国1位だし、金シャチ、トヨタ車と、とにかく派手な物を好んでいる。
そしてその自慢をするのが大好きなのである。
 
だから彼らにとって行列は大好物なのだ。
新しいコストコの1000人列に並んだ。ついでに限定のウン十万する超巨大扇風機を買った。
このように行列があるところは、派手要素の塊なのである。
そんなプレイスを見逃さず食らいついていく姿勢は、信長から受け継がれた気質なのだろう。
 
もう1つの力。
それはトヨタを始めとする多くの自動車企業を有する技術力である。
 
というのも、自動車産業などの技術は、成果が出るまでとにかく時間がかかる。
基礎理論の段階でも気の遠くなる期間がいるし、それを超えても実用化までには設計、実験など多くの障害が待っている。
それを乗り越えるためには、困難に長い間耐え忍ぶ精神力が必要となる。
そんな産業が主となっているから、県民全体にそういった忍耐力が染み付いているのではないだろうか。
 
そう考えると行列に並べるのにも納得がいく。
研究と比べたら遥かに容易だからである。
時間も1日未満であり、なにより待つだけで100%結果が得られる。
完成するかわからない技術に長い時間をかけるのに慣れている者にとって、こんな天国はないだろう。
それにその後の栄光まで約束されている。
達成した者は今後1ヶ月間、あのコストコ1000人の1人になったのだと武勇伝を語れるのである。
 
きっと彼らにはそういう感覚があるのだろう。
だからコストコだろうが、タピオカだろうが、長蛇の列も我慢できるのである。
そこまでの価値があるかは置いておいて。
 
しかしこうして名古屋の街に住んでみると、この地区の独自性は段違いに強いと感じる。
地元大好き人間が多いし、家賃も大都会とは思えないほど安い。
おまけに車社会である。電車に20分乗るだけで嫌という程だ。
東京にも数年住んだことがあるが、同じ都会なのにここまで色が違うのかと衝撃を受けてしまう。
 
だが、こうした名古屋の空気が心地よく感じることもある。
都市特有の無機質さがないし、最新のビルと昭和のビルが隣同士になっているカオスな街開発状況もある。
なにより新参者に優しい人が多い。
だから新しい店舗に対しても大行列という形で迎え入れてくれるのだろう。
あの長蛇の列は来る者に対する彼らなりのおもてなしなのである。
 
朝から衝撃を与えたニュースは、名古屋がなんたるかを体現した内容だった。
織田信長から受け継がれるかぶき者精神、トヨタを生んだ技術、これらは行列に並べる力から生まれたのである。
もう「たかがコストコに1000人並ぶ意味ある?」なんて野暮なことを思うのはやめよう。
これが名古屋、これぞ名古屋なのである。
 
私もしばらく名古屋を離れることがないだろう。
転勤の予定もしばらくないし、何よりこの街の空気感が好きだ。
行列に並べるのも自慢できる人がいるからである。
それは人との繋がりがちゃんと存在しているからに他ならない。
この温かさは、秋田出身の田舎者にとっては大変心地よいのである。
 
きっと、彼らは今日もまたどこかで長蛇の列を作るのだろう。
それはハワイからやって来た超豪華パンケーキか、はたまたどこぞの有名ブランドの新型マスクか。
いずれにせよ、その裏には名古屋人の気質と温かさが詰まっている。
それを思いながら、この行列を眺めようと思う。
 
 
 
 
***
 
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2021-07-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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