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初めての「ととのい」―今こそ知りたいサウナ道―


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:篠田 龍太朗(ライティングゼミ平日コース)
 
 
2021年7月9日。この日がくるのを、多くの「その”道”の人」が待ち望んでいた。
 
この日から、ドラマ「サ道」新シーズンの放映が始まったのである。「サウナ道」、略して「サ道」。
2019年に始まったこのドラマの登場人物は極めて少ない。主演の原田泰造に、脇を固める三宅弘城と磯村勇斗。基本、レギュラーで出てくるのはこの3人の男だけである。3人は東京上野のサウナ「北欧」で毎回顔を合わせ、一緒にサウナで蒸されたり露天風呂や食堂でおしゃべりをしたりする。そして泰造がこの前行ったサウナについて語り始める。最後はサウナ用語で「ととのう」と呼ばれるディープリラックス状態に突入し、決め台詞「ととのった~!!」で締める。言ってしまえば、「ただそれだけ」のドラマである。
 
それでも、その「ただそれだけ」がすごく心地よい。三人のおじさんが毎回くっちゃべって、ただサウナで遊んでいるだけのドラマなのに、何だか不思議とこちらまでくつろげてしまう。ドラマは大好評であった。
 
かくして、ドラマ「サ道」の放映が決め手となり、日本列島にサウナブームが巻き起こった。
 
そういう私は、お恥ずかしながら「アフターコロナ」ならぬ「アフターサ道」世代の人間である。「サ道」放映前からサウナの魅力を理解していたわけではないのが、ブームに便乗した人みたいで少々こっ恥ずかしくはある。それでも、私はサウナの魅力を知ることができて本当に良かったと思っている。そんなわけで、ここからは私が始めて「ととのった」体験について書いていこうと思う。
 
2020年7月。
確かコロナ禍が小休止の様相をみせ、緊急事態宣言が解除されたタイミングであったと思う。私は仲のよい同僚のノリちゃん(仮名)に誘われて、サウナに行くことになった。
 
「今度の日曜サウナ行かない?最近はまっててさあ」
「うん、いいけど……」
 
私にはそれまで、サウナの本当の魅力というものが良くわかっていなかった。暑いところに何分か入って身体が暖まる感覚は嫌いではなかったが、それなら岩盤浴でいいじゃんとも思っていた。でも、ノリちゃんがサウナの良さを力説するので、ひとまず私は彼の言うとおりにしてみることにした。サウナを楽しむにはいくつかお作法のようなものがあるらしい。
 
まずは洗い場で身体を清める。次は、いくつか種類のあるお風呂の中でも熱めの湯につかるよう指示された。42度。けっこう熱い。汗が出てきた。
次はいよいよサウナか……、そう思ったが、ノリちゃん流は違った。
 
「ここで一回、先に水風呂入っとこうか。サウナは身体で寒暖差をつくることが大事だからね」
「え、やだよ。冷たいじゃん」
「いいから一回入れって」
「ええー……しょうがないなあ」
 
水風呂。私にとって縁遠い世界。たいていの温浴施設にそれはある。どこに行っても、おじさんたちが肩まで浸かっている。でも、自分にとってそれは冷たすぎる存在であった。せっかくお風呂で温まった身体も冷えてしまうし、何が良いのかも分からなかった。
 
水温は15.6℃。しぶしぶ、右足を着ける。
「うわっ、冷た!」
身体が止まる。進めない。
「いいから肩まで浸かれって!」
ノリちゃんがせきたててくる。肩まで浸かる。冷たい。身体が全力で拒否反応を示してくる。
「無理無理!」私は水風呂から飛び出した。
「まあ最初はしょうがないか。じゃあサウナ行くか!」
ノリちゃんは肩まですっぽりと水風呂につかり、数十秒を過ごしてからそう言った。なぜそんなに長時間、こんなに寒いところに裸でいられるのか、私には理解不能であった。
 
水風呂から上がると、冷えた身体をタオルでふき取り、サウナ用のハーフパンツ(サウナパンツ)を履いた。マットを持ってサウナ室へ。こんな装備のある施設は始めてで私は少々驚いた。サウナパンツやマットがあると、お尻が熱くなりすぎずサウナ内で快適に過ごせるのだという。
 
ノリちゃんからは、サウナ室で10分は我慢するようお達しが出た。その室内は熱かったが、中では木とアロマの良い香りがただよい、十分な湿度も感じられる。熱いけど心地よい。サウナにもいろんなタイプがあるが、ここのサウナは特にこだわりが素晴らしいのだという。
 
サウナ室でじっとしていると、7分を過ぎたあたりから急に呼吸が荒くなってきた。多分、こんなに長い時間サウナの中に居たことは今までない。熱い、出たい、という欲求が頭をもたげる。
「もうちょい頑張って!」
ノリちゃんが私を諭す。8分、9分、……10分。ついに私は耐えた。
 
「じゃあ出て水風呂いこうか」
はいはい、そうですよね……。私は熱さでフラフラした身体を抱えて、全くテンションが上がらないまま水風呂へと連れていかれた。
 
汗を流し、再び15.6℃の水の中へ。
突き刺すような冷たさ。でもさっきより大丈夫だ。意を決して腰を落とす。いっきに肩まで水につかった。ほてった身体に、冷たい水が容赦なく襲いかかってくる。身体も頭もじんじんする。心拍数が上がる。まるで全力疾走したかのような拍動。全身の血が駆け巡り、身体中が痺れあがる。
「あーー、もう無理、出たい!」
「ダメだ、あと10秒我慢しろ!根性だ!」
ノリちゃんは熱血サウナコーチと化していた。まるで松岡修造だ。
私はわざわざカネを出して風呂に入ったというのに、キンキンに冷えた水風呂で苦しくて痺れながら、修造に怒鳴られて耐えている。もう本当に訳が分からない。頭がパンクしそうだ。それでも何とかもう10秒をやり過ごす。そして水風呂から飛び出した。
 
「外に出て外気浴しよう」
フラフラになりながら、ノリちゃんに連れられて外の世界へ。
露天風呂につながる引き戸を開ける。外の新鮮な空気を思い切り吸い込む。夏の陽射しが、冷えきった私の身体をじんわりと温める。寝転び湯に仰向けになった。ああ、空が青い。何だかキラキラしているようだ。身体中を血液が心地よくめぐる。大量の酸素が脳へ届けられている。何かに包まれて、ふわふわと浮かんでいるようだ。多幸感。まるで外の世界と一つになったみたいだ。
 
気が付けば、私は気持ちよさのあまり少し眠りに落ちていた。ついに水風呂の冷たさもサウナの熱さも乗り越え、私は「ととのい」の扉を開くことができたのである。少しだけ不本意ながら、修造と化したノリちゃんの指導のおかげで、私はいっぱしのサウナーになった。
 
 
こうしてサウナにはまった私は、週に一度はサウナに行くようになった。今ではサウナからの水風呂が気持ち良くてたまらない。人間の適応力は本当に大したものだと思う。
サウナに通いだしてから、肩こりや足のむくみが軽減された。代謝がよくなり体重も落ちた。嫌なことがあった日は、サウナでじっくり自分と向き合うようにしている。水風呂で頭をクールダウンさせ、外の空気を吸って「ととのう」と、不思議と気持ちがリセットされる。サウナの後には冷えたビールを流し込み、読みたかった漫画でも読んで帰れば「何だかんだサイコーに充実した一日」の出来上がりである。
 
まだサウナの良さを体感できない、あるいはしたことがないというそこのアナタ。その先には結構素晴らしい世界が待っている。己の心に松岡修造を宿し、一度サウナの道へ挑戦してみてはいかがでしょうか。ご入門、お待ち申し上げております。
 
 
 
 
***
 
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2021-07-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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