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プロが描くリアル将棋めし ~「将棋指しの腹のうち」を読んで~


*この記事は、「ライティング・ゼミ」を受講したスタッフが書いたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:村人F(リーディング倶楽部)
 
 
「将棋」といえば何ですか?
この質問に対し、大抵の方は藤井聡太先生と将棋めしのどちらかを答えるであろう。
 
なぜなら数年前に起こった藤井ブームで、散々めしの話が出てきたからである。
当時は藤井先生の昼食を運んだ出前持ちを、数十人のカメラマンが対局会場の玄関で待ち構えていた。さらにワイドショーでも連日のように、今日の昼食はなんじゃらほんじゃらと報道する熱狂ぶりだった。
最近でも、彼が名古屋での対局のおやつに頼んだひよこ型のかわいいプリン「ぴよりん」が、それをキッカケに連日売り切れとなっていた。将棋めしの影響は未だ衰え知らずである。
 
こういう様子を見て「将棋指しの人は、いつもあんな豪華な食事とおやつを食べているんだなぁ」と羨ましく思う人も多いのではないだろうか。
 
しかし、現実はそこまで華やかではないらしい。
その事実を示したのが「将棋指しの腹のうち」である。
 
著者の先崎学九段は、羽生善治先生と同世代の一流棋士だが、文章が達人級に上手いのだ。
自身のうつ病体験記を記した「うつ病九段」は大ベストセラーになったし、かつては週刊文春に連載を持つほどの腕前であった。
そんな将棋界一の文豪が、将棋めしのリアルを余すことなく記したのが本書である。
 
そこに描かれているのは、テレビで見るような世界ではない。
「世の中で彼らほど不味そうに食べる人を見たことがない」と称する対局中の食事シーンや、対局後の飲み会でハメを外しまくってグロッキーになる姿であった。
「将棋指しは高級料亭で会席料理を食べるんだ」と思っていた人が読むと面食らうことであろう。
そういった裏側にある風景を描いていることが本書の特徴である。
 
しかし、それらは決して暗い気持ちになるものではない。
なんせ著者の先崎九段は飲み会が大好きなのである。
だから酒や宴会に関する経験を誰よりも多くしてきたのだ。
そのため、本書の中でもそういう話がバンバン出てくるわけである。
これらエピソードは、プロ棋士がいかに豪快な人々なのかよくわかるものばかりだ。
 
イベントで肉体労働に駆り出された後輩30人に対して、棋士2人の割り勘で超高級焼き肉を奢ってやり、店中のカルビを食い尽くした。
奨励会という地獄の養成所を卒業し、プロになったその日に超絶呑んだくれた青春の1ページ。
将棋指しらしさが、めしと酒を通じて見事に描かれている。
 
そしてこの本に描かれているのは、めしのことだけではない。
彼らの住む世界もまた鮮明に描かれている。
 
勝負の世界の厳しさと、それゆえにできる人間関係。
将棋に人生の全てを費やしているからこそ見える風景。
そういった景色も本書を通じて読み取ることができる。
これらは、自分の人生を考える上でも参考になることである。
 
私はIT企業に勤めるサラリーマンだが、彼らのように全力で仕事や趣味に没頭しているかと聞かれると「はい」ということができない。
どちらも中途半端に済ましてしまい、なんとなく日々を過ごしてしまうことが多いように思う。
こんな日々じゃイカんと思いつつも、そこまで不自由していないから「まあいいか」と放置する。
そんなグータラな日々を送っているように思う。
 
しかし、本書にあるプロ棋士の生活はその対極にある。
なんせ日々の生活が勝つか負けるかしかないので、全員が極度の負けず嫌いなのだ。
そのため将棋に対して一切妥協することなく、全精力で取り組んでいる。
そして、この姿勢が他の全てにも適用されているのである。
だからめしを食うときも思いっきりはっちゃけるし、他の遊びも全力で楽しめるのだ。
 
また、彼らは同業者全てが、自分と同じく将棋に命を駆けていることを知っている。それゆえに互いにリスペクトしあう独特の仲間意識が生まれるのだ。
この温かさを感じることができるのも、本書の魅力である。
 
この本は、テレビが示さない将棋めしのリアルを描き倒したものである。
それは映像通りの華やかなものではない。
裏側にある大っぴらに見せるものではない光景だ。
 
だからこそプロ棋士の魅力がたっぷり出ているのである。
誰よりも将棋を愛し、同じように魅了された人間に囲まれているからこそ体験できる世界が詰まっているのだ。
 
きっと本書を読むことで、あなたの将棋めしに対するイメージは180度変わることだろう。
そこにはワイドショーでクイズにされるような豪華な食事はない。
あるのは勝負の世界に住む彼らの現実であり、魅力である。
それは私達の生活では決して到達できない地獄であり、楽園でもある。
皆さまもその世界の一片を、本書を通じて読んでみてはいかがだろうか。
 
本記事で紹介した作品
タイトル:将棋指しの腹のうち
作者: 先崎 学
出版社:文藝春秋
 
 
 
 
***

この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講したスタッフが書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

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2021-07-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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