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変化を楽しむ梅仕事


*この記事は、「ライティング・ゼミ」を受講したスタッフが書いたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:杉山佳那恵(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「どうしてもっと早くやらなかったのだろう」
きっとそう思う瞬間は、事の大小関わらず、誰にでもあるはずだ。
私はよく語学の勉強をしているときに思う。
「学生のとき、もっと頑張っていたらよかった」と。
でも最近、それに付け足すように自分に言い聞かせられるようになった。
「今だから、気づけたのだ」
「今やれているなら、それでいい」と。
そんな思考回路に変えてくれた存在の一つはきっと「梅」である。
梅仕事は、語学の勉強に似ていた。
 
今年6月、生まれて初めて梅仕事を試みた。
5月に入ると、店頭では青梅が沢山入った袋が所狭しに並べられる。
梅仕事をやりたいと思ったのは、去年のこの時期であった。
スーパーで青梅を見かける度に足を止めてみては「次こそは買って帰ろう」と先延ばしにし、気付けば青梅の季節が終わっていた。
 
それから一年を経て、またこの季節がやってきた。
農産物の直売所で、実の大きな青梅を見つけるやいなや、手を伸ばし買い物かごへ入れた。
「新しいことを始めてみたい!」そう思ったタイミングと青梅との出会いがちょうど重なっていたのだ。
 
梅シロップを作るために梅を漬ける期間はおよそ2週間。
1日目は梅を洗い、へたを取り、冷凍庫へ。
そして2日目はすべての材料を保存用のガラス瓶へ。
冷凍しておいた青梅と氷砂糖を交互にいれ、最後にリンゴ酢をかけてふたを閉じた。
 
それから連日は、梅全体が漬かるように、瓶を朝と夕方の一日2回、上下にひっくり返した。
これは、梅をカビから守るためだ。
しかしある日、漬けている梅をよく見ていると、色のついた斑点があることに気づいた。
「これはもしやカビなのだろうか?」
梅シロップの作り方を手当たり次第調べてみても、「瓶は冷暗所で保存するように」と書かれていたため、その通りにしていた。
とはいうものの、部屋はあまり涼しくなく「これは、暑さのせいで梅が腐ってしまったのではないか?」という不安がよぎった。
しかし更にカビについて調べていくと、斑点の正体が明らかになった。
それは、青梅本来のカビで、これは食べても大丈夫だということ。
私の気持ちはこれでほぐれた。
 
瓶に入れた氷砂糖は、日に日に溶け、梅は少しずつしわしわになっていった。
そして梅を漬け始めて、ちょうど2週間が経過した。
氷砂糖はすっかり解けて液体となり、しわしわになった梅が透明な液体を黄緑色に染めた。
かけた時間と梅の状態を考えれば、もう梅シロップはこれで完成したといえる。
ところがここにも新たな不安がよぎった。
 
それは、梅シロップの「色」。
「梅シロップは完成すると琥珀色(ウイスキーのような黄色みを帯びた茶色)になる」と、書かれているのをみていたからだ。
「最後の最後で失敗してしまったのだろうか?」
そんな不安を抱えながらも、梅シロップを炭酸水で割りコップに注いだ。
「琥珀色」にできなかった梅シロップ、果たしてその味は……。
 
「おいし~い!」
酸味も甘味もバランスがちょうど良く、梅の香りも存分に感じられた。
そして後から分かったことは、琥珀色の梅シロップは、青梅から少し熟した状態の黄色い梅を使っていたということ。
青梅には青梅の、黄色い梅には黄色い梅の、それぞれにしか出せない色があるのだ。
 
梅仕事の楽しさと奥深さは、語学の勉強に似ている。
勉強を続けていくと、様々な課題に直面するからだ。
梅に斑点が見つかったときのように、思い通りにいかなくなると、「今までのやり方は正しかったのか」などと後悔が先立ち、軌道修正すら怠りそうになることがある。
また、梅シロップの色が琥珀色にならず、その味を知るまでの瞬間まで、不安があったように、常に未来に希望を抱いて勉強することは難しい。
それでも、勉強には楽しいと思える瞬間が必ずあるから続けられる。
梅にあった斑点の正体を知れたことも、瓶の中の様子が少しずつ変化していく姿を観察できたことも、そこに楽しさを見いだせたからだ。
 
また、季節によって梅の色が変化するように、私の物事の楽しみ方や感じ方も変わっていく。
梅仕事を実際に始められたことも、そこから楽しさや奥深さ、最後には梅シロップのおいしさを知れたのも、きっと今の自分だからできたのかもしれない。
それは、語学の勉強も同じで、もっと前から勉強していたらよかったと、時々思うことがあるが、今ようやく、勉強の楽しさに気付けたのだから、後悔はしなくていいと考えられるようになった。
 
そして、忘れてはいけないことがひとつある。
それは、梅がお店から消えてしまうように、楽しいと思えることはいつできなくなってもおかしくないということ。
だから、この先も心の底からやりたいと思えることに出会えたときは、その時から始めてみようと思う。
 
 
 
 
***

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2021-07-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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