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歯医者にいくことは夏休みの宿題に似てた


*この記事は、「ライティング・ゼミ」を受講したスタッフが書いたものです。

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記事:増山佳菜(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
7年ぶりの歯医者に私はビビっていた。
 
小さい頃から虫歯が多かったり、12歳臼歯が生えてこなかったりと、なにかと歯医者のお世話になっていた。しかし、7年前に一度サボってからというもの、行かなきゃと思いつつも、通うことになると面倒だなとか、今は忙しいからとか、長期休みで行こうとか、何かと理由をつけて先延ばしにしてしまった。
その結果の7年だった。
 
病院は嫌いだった。先生がマスクをしているのも怖いし、全体が真っ白なのもなんとなく不気味だし、機械のキーンという音も苦手だった。
7年前にサボってしまった歯医者は家の近くにあり、通るたびに歯医者行かなきゃと思わされ、毎回足早に前を通り過ぎていた。
 
同じ歯医者にはサボってしまった手前行きたくない、虫歯があったら怒られるかもしれない、どこの歯医者に行けばいいかわからない、歯が痛い気がする、虫歯かもしれない、7年も行かなかったことを咎められるかもしれない、通うことになったら大変だしな、など。
上げたらキリのない、行って診てもらいさえすればすぐ解決するような、無意味な心配事が歯医者への足を遠のかせていた。
 
7年間、色んな懸念、心配事が心のどこかで引っ掛かり、先延ばしにする自分を責めていたのかもしれない。
 
私は夏休みの宿題はギリギリまで先延ばしにするタイプだった。今年こそは夏休みの1週目で終わらせて、やらなきゃいけないことがない夏休みを過ごそうと意気込んで、そんな夏休みは一度も経験できなかった。
歯医者は7年ぶりである。ずいぶん先延ばしにしてしまった。
 
7年ぶりに歯医者に行ったきっかけは、歯の痛みだった。
仕事終わりや夕方に痛くなることがあり、「これが虫歯?」という疑問もあったが、「7年も行ってないんだから虫歯の1つくらいできるか」とどこか観念した気持ちになり、ネットで予約できる歯医者を予約した。
 
歯医者に着いて、保険証を提出し、初診の際の問診票を記入し、そわそわしながら呼ばれるのを待った。この時間が長くて怖かった。
怒られるかも、虫歯いっぱいあったら、 どうしよう、何か大変なことになっててすごい高額な医療をすすめられたらどうしよう、とか。今更考えても仕方ないことで頭がいっぱいになって、鼓動が早まった。
 
呼ばれて診察台に着くと、エプロンを付けられ、自動で水が張られるところにコップがセットされ、「歯医者ってこういうところだったな」などと思った。
部屋に入ってきた先生も衛生士さんも、女性で優しそうで安心した。
 
「今日は初めてなので治療はしません、口の中見させてもらいますね」とひと声掛けられてから始まった。歯科検診で聞くような数字の羅列が述べられ、歯全体を念入りクリーニングされ、口の中の写真を何枚か撮られた。椅子が起き上がり、口をゆすいだ。
そして、ついに何か言われると時がきた。
 
7年間この瞬間が嫌で歯医者を避けてきたと言っても過言ではない。あー怒られるかもしれない、7年もきてないことを咎められるかもしれない。
 
しかし第一声は意外な一言だった。
 
「歯きれいですね。虫歯ありませんよ」
 
えぇ! 虫歯ないの!?!?
小さい頃はすぐ虫歯ができてたのに、7年も放置して1本も虫歯ないの?
 
もはや拍子抜けだった。もっと大変なことを言われるかもしれないと思っていたのに。
私がうだうだ悩んで、不安がっていたのは何だったんだろう。
 
痛みの原因は親知らずで、1つは早めに抜いた方が良いとのことだった。しかし、大きな虫歯はなく、痛みの原因は親知らずだ、と判明したことで私は安堵していた。
 
今後の治療の説明を受け、次回の予約を取り、病院を出た。
駅までの道を歩きながら、私は自分の気持ちがどこかスッキリしていることを感じていた。
 
歯医者に行かなきゃ、早く行かなきゃのタスクから解放されたこと。
歯が痛むほどの虫歯があるかもしれないという恐れから解放されたこと。
 
7年ぶりの爽快感だった。私の歯はキレイだったのだ。
 
「みんなー! 聞いてー! 私虫歯なかったのー!」と、ミュージカルみたいにくるくる回りながら歩きたい気分だった。
 
1ヶ月の夏休み期間中、ずっとやらなきゃ、やらなきゃと先延ばしにした夏休みの宿題が、やっと終わったとき並みの爽快感。
いや、それ以上。だって、7年分だもん。
 
 
 
 
***

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2021-07-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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