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自分の笑顔、好き?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:ひら(ライティング・ゼミ集中コース)
 
 
自分自身の笑った顔、好きな人っているんだろうか。
 
ただでさえ丸い顔がもっと丸く見える。
二重あごみたいになる。
歯並びが気になる。
目が小さくなる。
鼻がつぶれる。
 
あげれば、きりがない。
 
中学生頃から、写真に写ることが本当に嫌にだった。
それでも、家族や親戚は容赦なく写真をとろうとしてくるし、学校のクラスに所属する以上、集合写真からは逃れらない。
さらに悪い事に、私の中高時代はスマホの急速な普及とほぼ時を同じくしていた。おかげで、写真を撮りそうな気配を察知して即座に退避するという、今となってはいつどこで活用すればいいのかわからない変な能力が身に付いた。
中学生の頃の私の写真はほとんど残っていないし、あるのは親戚の結婚式で右肘をおばあちゃんにがっしり捕まえられている不機嫌な顔のものくらいだ。
 
謎の退避能力で対人関係に支障をきたすことと、写真におとなしく収まることを天秤にかけて、写真に写るようになったのは大学生になってからだった。
歯を見せずにほほえむくらいでとどめれば、丸顔も歯並びも目も鼻もちょっとはましになるんじゃないだろうかと頑張っていた時期もあった。だから、大学入学したての私はたいていの写真に中途半端な笑顔で写っている。はにかんでいるような、困ったような、とにかく目は笑ってなくて、やたら不満げに恨めしそうにカメラを見ている。
 
大学2年になった頃、iPhoneのフォルダを見ると、全開の笑顔の私がたくさんいることに気が付いた。
欠点をあげればきりのない嫌いな笑顔をみて、「歯、全開で笑っててうけるな、めっちゃ楽しそうやん私」と思わず笑った。笑ってから、心底おどろいた。
 
全開で笑う私を写してくれたのは友人たちだった。
友人といる時こんな楽しそうな顔で笑ってるのか私、という発見はとてもこそばゆいものだった。
嫌いな笑顔と紐づく記憶は、友人たちとの他愛もないやりとりや、ただただ楽しかった時間だった。
今でも、本職のカメラマンに写真を撮ってもらうと中途半端なはにかみ顔か、心を閉ざした野生動物のような顔になる。
大学卒業時、友人と写真館で記念撮影をした。単独でカメラマンと対峙する私のはにかみ顔を見た友人が即座にカメラマンの真後にスタンバイし全力で私をあやした、という七五三的エピソードには自分でもさすがに呆れるしかない。
 
コロナウイルスが世界を席巻した春、私は社会人になった。
上司も先輩も取引先も、目しか知らない大勢の人間に囲まれて働く日々はとにかく心を疲れさせた。
目しかわからない他部署の怖い先輩にお小言を頂戴し、仕事を覚えられない自分に辟易し、友人に会う事すらできない日々に、ほとんど泣きそうになりながら帰宅すると、写真アプリが「数年前の今日」に撮った写真を通知した。
 
夜の大学構内に侵入してお花見をする、大学3年生の嫌いな笑顔が写っていた。
チューハイを片手にへらへらと笑っている。
何を話したのか全く覚えていないし、どうせ実のある話はしていない。
社会人生活など眼中にない、のんきであほな大学生だ。
ただ、最高に楽しい空間だったことは覚えていた。
 
私は今も、自分の笑った顔が嫌いだ。
相変わらず、丸顔で、二重あごみたいで、歯並びは悪くて、目が無くなりがちで、鼻がつぶれる。
ただ、こんなにも楽しそうに笑える時間があったことや、その空間を一緒にすごした人がいたこと、
私にカメラを向けてくれる人がいたこと、そんな瞬間が凝縮されている嫌いな笑顔はいつも私を励ます。
 
自分の笑った顔を好きでいられることは、それはそれでとても素敵だ。
私はこれからもきっと嫌いなままの笑顔と、楽しかった過去を、フォルダの容量があふれるくらい詰め込んでいくのだろう。
 
 
 
 
***
 
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2021-08-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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