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メディアグランプリ

幸せはいつも想定外


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:歌原香菜(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
10年以上前の話になる。
当時は掲示板ブーム真っ最中だった。
発祥の絵文字がWeb上では飛び交い、最新の情報を取りに行くと言えば……
そう。2ちゃんねるである。
 
「オフ板」というものをご存知だろうか。
日本全国ありとあらゆる地域のスレッドが立ち、「今○○で暇」と書き込めば、それを見たその地域で時間がある人が会いに行って時間をつぶす、というやりとりが日常的に発生していた。
私が一人暮らしをしていた地域のスレッドもあった。
ただし最新の書き込みが3日前という感じであまり活発には動いていなかった。
 
ある日、バイトの時間まで1時間ほど空くということがあった。
家に帰るほどの時間はない。
さてどうしようと思った時に、ふとオフ板の存在を思い出した。
当時はまだガラケーで、ポチポチと数字キーを押しながら地域のスレッドを探した。
早速見つけて、書き込んだ。
「1時間くらい○○で暇」と。
 
○○には駅近くにあったファミレスの名前を入れた。
来るかどうかはわからないけれど、まぁ来なくて元々だろう。
店へ向かっている途中にスレッドの表示を最新にすると、まさかの展開だった。
 
「私もいます!」
 
まさかのデビュー日に、こんなにもあっさり見つかった。
私、ということは女性?
いや、それはまだわからないな……
そんなことをぐるぐる考えていたら、いつの間にか競歩のようなスピードで歩いていた。
 
目的のファミレスに着いた。
スレッドに書き込む。
「どこですか?」
すると、すぐに
「入って右手の一番奥にいます」
と返ってきた。
こんな展開があるのか、と思いながら席へ向かう。
そこにいたのは、サラサラのロングストレートでセーラー服を着た女子高生だった。
とても可愛らしくて、いわゆる2ちゃんねるユーザーのイメージとは真逆のような子。
 
「は、初めまして……」
そう言うと、彼女から
「初めまして!」
と元気のいい挨拶が返ってきた。
「一人だったんですか?」
「そうです。友達と会う約束をしていたけれど、急用できたーって断られちゃって」
 
とりあえず気になっていたことを聞いてみた。
「オフ板はよく使います?」
「最近見つけたばかりでした。だから誰かが表明したら乗っかろうと思って。ちょうどタイミングが良かったです」
「どんな人が来るか、とか気になりませんでした?」
「うーん、ちょっとは気になったけど、まぁファミレスだから何かあっても大丈夫だろうと思ったんですよね。でもそれを言ったら、私たちお互いにそうじゃないですか?」
そりゃそうだ。
 
その日からスレッドを使って「今暇」を頻繁に募集し始め、日に日に集まる人が増えていった。
先程の女子高生をはじめとして、本当に個性豊かな友人ができた。
大学で仮面浪人をしている女の子。
高校卒業後、出会い系サイトのサクラメールを書く仕事をしていたフリーターくん。
いつも土建屋の格好をして原付でやってくるおじさん。
超エリート大学出身で医者への道まっしぐらだったのに、色々な事情で全く別の道に進んだお兄さん。
その他にも数え切れないくらいたくさんの人たちとの出会いがあった。
 
私が大学を卒業して引っ越す時には、送別会を開いてくれた。
同じ沿線のスレッドにも時々顔を出していたので、総勢40人以上の飲み会。
あれ、会ったことありましたっけ? という人まで来てくれた。
これもオフ板の面白いところだと思う。
 
飲み会もそろそろ終わりかな、という時。
「プレゼントがありまーす!」
という声が上がった。
席の前方に呼ばれ、包みを渡された。
開けてみると色紙だった。
なんと、その日参加してくれた人たちからの寄せ書きで埋め尽くされていた。
いつ集めたのかはわからない。
ええーーー! とびっくりしていると、さらに
「はい!」
と渡された。
 
可愛らしいかすみ草の中に青々とした青ネギが混じっている。
花束とともにネギ束を用意してくれていたのだ。
 
当時の私は、買い物かごからネギをはみ出させているおかんキャラということで認定されていた。
「花屋にネギ持っていって『これ、混ぜてください』って言うのが超恥ずかしかった」
と幹事をしてくれた方が言っていた。
 
普通の花束でももちろん嬉しい。
でもネギ束は、私がそのスレッドのコミュニティにいた証明書のようなものだった。
 
一期一会が当たり前の場所。
私自身も最初は暇潰しのつもりだった。
次会えるかどうかわからないのに、こんなにも思ってくれる人たちと出会えるなんて、とても想定できなかった。
想定している結果は、まだまだ幸せの手前。
本当の幸せは想定外のところにある。
だから今も、想定外を探すための新しいチャレンジをし続けている。
日常を越え、今いる範囲から一歩ずつ外へ。
 
ちなみに、ケーキのプレートにも2ちゃんねるで多用されていた絵文字が描かれていた。
やはり注文することが恥ずかしかったらしい。
 
 
 
 
***
 
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2021-09-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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