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メディアグランプリ

今日は演歌を、明日はジャズを


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:永松 昭徳(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「誰これ!? 偽物やん」
 
わたしが小学生だった頃は、カセットテープが主流の時代でした。
家族でドライブ旅行中に、高速道路のサービスエリアのお土産やさんで見つけました。
1,200円という破格値の人気歌手のカセットテープです。
「安い! ねーねーこれ買ってよ、すごいお得だよ」
と親にねだって買ってもらいました。
 
ワクワクしながら車のカセットデッキで再生すると、冒頭のセリフです。
家族でズッコケて大笑いしました。
 
今回は、音楽(歌ありの音楽)と文章の違いとはなんだろう、というテーマです。
 
自分が好きなアーティストだったら聴けばすぐ分かりますよね、歌っているのが本人か偽物かってくらい。
ジャケットは本物の写真を使っているのに、歌っているのは別人。
現代社会なら、あっという間にSNSで拡散され、販売中止に追い込まれていたと思われるレベルでした。
 
もしも、これが歌じゃなくて文章の世界で行われたらどうなるんだろう。
 
どこかの詐欺書店が、
『まだ誰にも言わないでください! 村上春樹の新作小説、独占極秘先行販売!!』
というポップを付けて売っていたら、わたしは間違いなく手にとってレジに直行します。
 
読み進めていく中で、
「なんか今回の作品、いつものより深みが足りないような気がするけど、ラストまで読めばきっと面白くなるんだろう。もしかして前半はあえてつまらない感じにしているのかもしれない」
と思うでしょう。
首をかしげながらも「これは偽物だ!」とすぐには気がつかないような気がします。
 
活字となった文字って、一文字一文字じっくり見たとしても、誰が書いたかっていう区別がつかないですよね。まったく同じですから。
それに比べて歌声は、作り手のクセや特徴が作品の全体にも細部にも含まれています。
 
文章は、作り手の「顔」が見えにくいという特徴があります。
 
ゴーストライターという職業があるのに、ゴーストシンガーっていう職業は、(映画や舞台を除いては)存在しないってところからも、このことを裏付けています。
小学生ですら、「偽物やん!」とすぐに見破るくらいですからね。
 
 
もうひとつだけ事例をあげて、文章のことについて考察をしてみます。
 
先日、検査のために母を病院に送っていく車内で、
「今、文章の勉強をしてるよ。文章がもっとうまくなりたいなと思ってね」
と伝えました。
 
近況報告の中の一部だったし、あらたまって報告したわけではないからかもしれないが、母の反応は、
「へえ……そうね……」
でした。
母も、何かもっと気の利いた返答をしようと考えているようでしたが、あまりピンと来てなさそうにも見えました。
 
心の中で、
「文章を勉強ってどういうことかしら? 学生でもないのになんで文章の勉強なんかするのかしら? 仕事がら文章を書くことが多いのかしらね……」
とでも思っていたのかもしれません。
 
もし、これが、
「今、音楽の勉強しててさ」
だったとしたら、
母の反応はもっと違ったものになったような気がします。
 
「音楽!? あなたが歌うの? 楽器をひくの? 作曲でもするの?」
みたいに、もう少し食いつきがよかったんじゃないかなあ。
 
音楽は、一瞬から数分で相手に伝わります。
文章は、音楽にくらべると、地味だし、多めに相手の時間や労力をいただくことになります。
 
ふたつの事例から考えると、音楽にくらべて文章の特徴は、
『作り手の顔が見えにくい』
『地味なうえに、相手から時間や労力を多くいただく必要がある』
ということが分かりました。
 
 
でも、なんでそんな面倒な特徴がある文章に、なぜ多くの人は執筆という行為に惹かれるのだろう。
 
ピアノで「ド」の鍵盤を、誰が押しても同じ「ド」の音が出ます。
パソコンで「A」のキーボードを誰が入力しても同じ「A」の文字が表示されます。
 
そうか。
その「音符」や「文字」を自由にあやつることができれば、人を感動させられる素晴らしい「メロディー」や「文章」が生まれるのです。
 
文字は音符。
文章はメロディー。
 
頭に浮かんだ断片的なメロディー(文章)を、どのように組み合わせていくか。
サビ(クライマックス)に行くまでのメロディー(文章)をどうするのか?
出足のメロディー(文章)をどうするのか?
リズム(文体)は、バラードなのか、ロックなのか?
 
執筆は作曲と同じなのかもしれない。
 
音楽は、人の心を感動させたり、やる気にさせてくれたり、なつかしい気持ちにさせてくれたりすることはみんな知っています。
 
文章は、音楽にくらべてやや地味ってだけで、音楽以上に伝える力があるってことを知ってしまった人がいるのです。
 
 
「あなたの新作はまだね? 楽しみに待っとるんやけど」
 
と、母が元気なうちにそう言ってもらえるよう、これからも日々、文章の修行をしていきたいと思っています。
 
今日は演歌を、明日はジャズを執筆で奏でられるように。

≪終わり≫
 
 
 
 
***
 
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2021-09-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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