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ウジウジするのが趣味だっていいじゃない。

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*この記事は、「実践ライティング特別講座」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

「実践ライティング特別講座」文章を書く前にするべき7つのこと

記事:uriko(実践ライティング特別講座)
 
 
「ウジウジすること」は私の趣味だそうだ、私の夫曰く。
 
私は物心がついた頃から、というのは大げさかもしれないが、いつからか覚えていないくらい若い頃から、自身の言動や他人に言われたことですぐにウジウジと悩む。
夫には、自分からウジウジするネタを探しに行っている、とまで言われる。
私だってこんな習慣は脱したいと、気持ちをリフレッシュする方法を身に着けるため、自己啓発本を読んだり、ヨガをしたり、散歩をしたりと試している。
ただ30年は続いている習慣はそうそう変えられない。
 
直近もウジウジのループにはまっている。
それは10数年続けた企業勤めを辞め、自由気ままに自分の関心のある仕事を始めたところ、結局、色々とウジウジしていることだ。
 
直近辞めた会社は転職して入った会社だった。いわゆる歴史ある日本の大企業で、休みや社会保障制度などは充実している。大学時代から都市計画系の分野にいたこともあり、「まちづくり」に関わる仕事がしたく入社した。
入社当初こそは自分の経験に近いテーマの担当をしていたが、2年目から全く違うテーマのメイン担当になってしまう。
入社したときの意図と合わないなぁと思いつつも、大企業だし自分の思い通りの担当にならないのはしょうがない。まちづくりとは少し離れたテーマでも、新規事業開発はやりがいはある! と自分を納得させ、頑張っていた。
自分では頑張っていたつもりだった。
が、今年の夏頃から、上司や周りのメンバーとの歯車がどうにも嚙み合わなくなってきた。
挙句の果てに、なし崩し的に“名ばかりのメイン担当”までポジションが転落してしまった。
関係部署になかなか意図が伝わらないこと、上司の対応や判断など、色々なことがイライラしてしょうがなくなってきた。
在宅ワークなのをいいことに、日中一人で暴言を吐いたのも一度や二度ではない。ただ、暴言を吐いたところでスッキリすることはなく、「自分のマネジメントがそんなに悪かったんだろうか」「あぁ、マンションの共用廊下に漏れ聞こえていたら恥ずかしい」とか、ウジウジにたどり着くだけだった。
不眠とは無縁だった自分が寝付けないことが続き、そろそろ何とかしないとなぁと思っていた頃『精神科医Tomyが教える1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』という本に出会う。
その本で最初に紹介されていた言葉があった。
*****
ストレスを減らすたった一つの方法。それは手放すことよ。執着を手放す。『こうならなきゃいけない』を手放す。人をコントロールしたい気持ちを手放す。手放せるものはたくさんあるわ。手放せば手放すほど心は楽になっていく。(以下略)
*****
ぱーっと視界が開けた感じがした。
私は「こうならなきゃいけない」という気持ちが強すぎたのかもしれない。これまで同僚や上司、会社に期待していたことを手放してみよう!
そうして期待を手放していくと、確かに怒りの感情が湧かない! 久しぶりに穏やかな感情になれたのは、単純に嬉しかった。
 
ただ、期待を手放したことで、仕事に対して無理やり納得していた部分がぐらぐらと揺らぎ始めた。「このままこの会社にいても、転職して得たかった経験は積めないのでは?」と思えてきた。
退職に傾き始めたものの、家庭の事情もあり正社員としてどこかの企業に転職をするのは難しい状況だった。まぁ、それだけでなく、仕事ですっかり自信を無くした状態で転職活動をしたところで、うまくいかないだろうとも思っていた。
二の足を踏みそうになったとき、これまで読んできた自己啓発本の言葉が色々と思い出された。
「そうだ、そうだよ。一生懸命働くだけが人生の正解じゃない!」と背中を押され、次の仕事のあてもないまま退職する決意を固める。
運よく、したかったジャンルの仕事が見つかったこともあり、会社に退職意向を伝えてしばらくは「一皮むけたよ、自分! 自己啓発本読んで満足症候群からも卒業できつつあるかも。」と変な自信と満足感であふれていた。
 
そう、あくまでそれはほんのしばらくのことだった。
 
偶然、同じ部署に私とほぼ同時期に退職する後輩がいた。後輩は大手企業に転職をしていた。
送別会を兼ねて久しぶりに後輩含め、同じ部署だった人と飲むことに。その飲み会の参加者は全員、私がもといた部署にいたが、転職もしくは希望して社内異動をしていたので、それぞれの新天地はどうかという話題になる。
転職した後輩は、新しい会社で忙しくも充実して働いている。
社内異動したメンバーも、以前よりも働き甲斐があると楽しそうだ。
私は、自由気ままな生活で、自分がしたい分野の仕事をして給料ももらえて。
ん? 私は充実しているんだろうか? 自由気ままと言えば聞こえは良いが、不安定な生活ってだけでは??
 
あぁぁ、企業勤めというしがらみから解放され、ゆったりした心持ちで日々を過ごせると思ったのに、全然ならない~~、とウジウジすることに。
 
また、新しく始めた仕事でもウジウジの芽が出だす。
当初はやっと希望していた仕事に関われた! と前向きな気持ちだった。が、複業で関わっているメンバーが多く、一緒に仕事をする時間が少ないこともあってか、なかなかコミュニケーションがうまく取れない。(私だけが不器用に感じているだけかもしれないが。)
自分の意見や提案は意味がないのではないかとウジウジ。
 
好きな自己啓発本に勇気づけられ、その通り行動してみたものの、結局ウジウジするのは治らない。どうして自分はこんなことでウジウジしてばかりいるのだろう、とウジウジ。
この世で最も非生産的なループだ。
 
そうこう考えていると、無性にむなしくなることがある。
それなりに頑張って、誠実に、真面目に働いてきたつもりだ。
心に残った本のとおりに、自分としては思い切った行動もしてみた。
当然、もっと努力している人は山のように世の中にいる。その人たちと比べたらきりがない、というのもさすがに分かっている。
でも、ウジウジと悩む嫌いな自分は変わらず、「何だか幸せじゃない」とウジウジしている。
このままだと一生変われないのかも。一生、生きづらい思考回路のままなのか。
ウジウジのループが、らせん状に下がっていき底辺につく頃には、生きていてもしょうがないかもとまで思ってしまう。
 
でも私は幸運なことにまだ生きている。なんだかんだで生きている。
なぜだろうと考えてみた(もちろん幸運なことに自殺するほど追い込まれてもいないし、自殺する勇気もないのはあるが)。
 
ウジウジは一度始まると、結構何日も心をむしばむ。
ただ、ウジウジしていたことを、突然ふっと忘れる瞬間が訪れる。それは瞑想のようなことではなくて、本当に些細な1~2分程度の動作だ。
スーパーでどの野菜が新鮮か選んでいるとき。
パンパンになってきた冷凍庫の中を整理しているとき。
洗濯機の乾燥フィルターを掃除しているとき。
ふっと忘れるのを繰り返しているうちに、ウジウジの渦の中で必死にもがいている状態から、渦の外に出て横で眺めているような状態になる。
渦の外に出てみると、そのウジウジがどんな形か良く見える。
大概は「なぁんだ、そんなに大きいことじゃないな」とか、「ずいぶん古びている。それだけ前のことじゃないか。」と気づく。
そんな風に見えたウジウジは、「たいしたことないよ棚」にすっと片付けられていく。
 
ウジウジは、私を悩ませてくる困りものではあるけれど、私は私なりの片付け方を習得できていた。そして片付けた後には、ほんの少しの達成感を味わえる。洗い物がいっぱいだったシンクを片付けた後に味わうような、ほんの少しのすっきり感。
 
自己啓発本を何冊も何度読んでも、ちっともウジウジするのが直らないと嘆いていた。
だが、ウジウジとの上手い付き合い方を習得出来ていれば、それはそれでいいのではないだろうか。本に書いてあるような理想的な思考回路になるだけが、望ましい結果な訳ではないかもしれない。
「ウジウジしてもちゃんと立ち直れる」という一面を認めてあげたら生きやすくなるかも、と気づけたのは私にとっては大事な発見だったのだ。
 
かくして私は、夫が言う「ウジウジするの、趣味なんでしょ」に妙に納得することとなる。
趣味は出来なくても、なんとか生きていける。でも、趣味をしないと得られない達成感がある。
私にとってのウジウジもそうなのだ。変な話ではあるが、ウジウジ悩んだところから復活するときに、ほんの少しだけれど得られる達成感も悪くない。
 
そうと気づけば、ウジウジを無理に直さなくてもいいじゃないか。密かな趣味として、今後も良いお付き合いをしていきたいと思う。 
 
 
 
***
 
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2021-11-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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