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マッチングアプリで学んだこと


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:izumi(ライティング・ゼミ超通信コース)
 
 
「ゲームを一緒にしませんか?」
山田くんとは、こんなメッセージのやり取りから始まった。
出会いは、マッチングアプリだ。
 
「え、一緒に? わたしはスイッチでゲームをしているけど、どうやって……」
 
わたしは大阪に住んでいて、山田くんは名古屋だ。
離れた場所で、どうやって一緒にゲームするの?
 
「オンラインゲームを知りませんか? インターネット上で、一緒にゲームができますよ」
 
初めて、一緒にゲームをした。
 
コロナの影響で、自由な生活が出来なくなった頃。
生活は、今までと全く変わってしまった。
仕事は通常勤務より早い時間に帰るため、いつもならまだ働いている時間に家にいる。
休みの日は、必要最低限の外出だ。
ぽっかり空いた時間を、どう過ごしたらいいか、分からなかった。
 
家の近所を散歩したり、ランニングしてみる。
普段はできていない、資格試験の勉強をする。
会えない友達とは、オンライン上で近況を語りあう。
何をしても、この先はどうなるのか?
不安ばかりで、心が押しつぶされそうになった。
 
「パートナーがほしい」
 
仕事や趣味で忙しかった時より、一人の時間が増えていた。
彼氏がいれば、お互いに励まし合えるのではないか?
人と接したい。
家にいて寂しい。
お付き合いする人がほしい気持ちは、どんどん強くなっていった。
 
ステイホーム期間中に人とつながりたい。
リアルな出会いが難しい中、オンライン上で出会いがあるマッチングアプリを、利用している人が増えていると知った。
アプリで知り合い、お付き合いをした人が何人もいたからだ。
お付き合いから、結婚をした人もいる。
 
このような出会いもありなんだなと、マッチングアプリをはじめた。
仕組みは、プロフィールを見て、どちらか一方がいいねボタンを押す。
いいねをもらった方が、同意したらカップルの誕生だ。
 
たくさんのいいねを押した。
同時進行で、複数人とカップルになり、メッセージのやり取りをする。
男性側も同時進行で何人かと、メッセージのやり取りをしているようだ。
自分に合うかどうかを、見極めるため、一人に絞ることはしない。
数人とお茶や、食事をしたが、次も会いたいと思う人はいなかった。
 
マッチングアプリは、科学の実験のようだ。
わたしは、誰とかけ合わさると、どんな反応がおこるのか。
数をこなして、自分に合う人を見つける。
効果的な反応をおこし、実験成功させるには、誰がいいのか?
何度も実験して、失敗すると、敗因を分析する。
そんな事を繰り返していた。
 
アプリをしながら、自粛生活の空いた時間に、ゲームをはじめた。
ゲームは、「デッドバイデイライト」
人間と殺人鬼の鬼ごっこゲームで、ミッションを成功させて脱出する。
わたしは、ゲームが下手で、すぐに殺人鬼に殺されていた。
誰かに教えてもらうにも、まわりでゲームしている友達がいない。
 
マッチングアプリの検索機能を使って、同じゲームをしている人を探す。
何人か検索された中の一人が、山田くんだった。
彼は年下で、名古屋に住んでいた。
同じゲームが好きという、親近感から、いいねを押した。
カップルになり、初めて一緒にゲームをする日は、ドキドキした。
 
それからは、お互いの都合の合う時間に、ゲームするようになった。
ゲーム内でレベルが上がって、すぐに殺されない位に上達していく。
一緒にゲームをする時間は、自粛生活の楽しみになっていた。
 
事実を知るまでは、マッチングアプリも悪くはないな。
いい出会いは、あるもんだと思っていた。
 
「ぼく、昔バンドしていて、プロを目指していたんですよー」
 
山田くんは、バンドから離れていたが、また仲間を見つけて再開したらしい。
演奏するのが楽しいと弾んだ声だ。
あまりにも楽しそうなんで、曲を聞いてみたくなった。
もしかしたら、ユーチューブをあげているかもしれないと、ネットでバンド名を、検索してみる。
演奏している曲を聞いて、驚かそうと思ったからだ。
でも出てきたのは、彼のブログだった。
 
ブログには、単身赴任で東京から名古屋に来ていること。
東京に家族がいて、子供がいる。
バンドをしていると書いてあった。
その他にも、わたしに話した内容と、一致している。
 
ショックで頭が真っ白になった。
スマホをもつ手が震えたのを覚えている。
 
「うそでしょ。結婚していて、単身赴任で名古屋に来ている?」
 
既婚者の身分を隠して、子供までいるのに、マッチングアプリを登録している。
全員、身分証明証をマッチングアプリ運営会社に、提出しているのに……。
まさかと思ったが、やはり本人に間違いない。
 
「どんな危険をさらして、登録しているんだ」
山田くんの行動に、笑えてきた。
 
だまされたと思ったが、知っているという事実は話せずにいた。
頻繁に更新されている、ブログの内容を読むと、憎めなかったからだ。
日々のできごとをどう思ったか。
誰にも話せない愚痴。
ブログを書くことで、自分の気持ちを整理しているように見えた。
 
わたしも同じだからだ。
日記をつける習慣があり、できごと、それに対しての気づきを書いている。
嬉しかった内容、嫌だと思った内容、なぜそう思うのか。
嫌な時は、本当はどうしたかったのかを考えて、書く。
書くと、思考が整理でき、スッキリして、自分の本音が見える。
 
客観的に見るとおかしいが、当時はブログを読むと、悪い人ではないような気がしていた。
幸いにも、私たちの住んでいる地域は離れていたので、会わなかった。
まだうそに気づいてない時に、言われた言葉。
 
「会って、ゲームを教えてあげたい」
 
この誘いに乗らなくて、本当によかった。
 
押し寄せた気持ちの波が、一気に引いていった。
引いたまま、再び気持ちの波は、押し寄せてこなかった。
好きな俳優が結婚してしまって、一気に気持ちがさめたような感覚。
 
私からは、連絡しなくなった。
異性は、逃げると追いかけたくなる心理があるからだろうか。
向こうからは、連絡が頻繁にくるようになる。
 
「今度いつゲームする?」
 
以前のようなドキドキも、ときめきもない。
ゲームを楽しむことに専念した。
この関係は、いつまで続くのだろう。
どこかで終わらせないと。
自然消滅しないかなと思っていた。
 
いつのまにか、ブログの読者になっている自分に気づいた。
文章は面白く、内容に工夫をしている。
ブログ歴は10年以上で、短い小説を載せている時もあった。
次はどんな面白いネタを、書いてくるのだろう。
楽しみに、読むようになっていたのだ。
 
ある時、単身赴任が終わり、家族の元に帰ると書いてあった。
ゲームの友達一覧から、山田くんの名前が消えていた。
同時に、LINEの返信もなくなる。
 
単身赴任が終わり、身辺整理をしたのだ。
まるで彼氏に振られたような気持ちがした。
この気持ちは、何なのだろうか?
付き合っていない、一度も、会ったことがない相手に。
 
関係を切るのは、わたしの方だ。
相手から切られた怒りが、湧き上がってきた。
さみしい気持ちから、怒りに変わる。
複雑な気持ちは、心の気持ちリストにはない。
なんだろう。モヤモヤするな……。
 
結婚していて、子供もいて、何をしたかったのだろう。
羽を伸ばして、遊びたかったのか。
そういえば、名古屋で直接会った女性がいると言っていた。
家庭を壊すリスクを背負っている、彼の行動が理解出来ない。
 
しばらくはモヤモヤしていたのだが、本を読んでピンときた。
本の内容が、今回のできごとに、当てはまったからだ。
 
人間は愛ベースで行動すると、相手に見返りを必要としない。
道具ベースで行動すると、取引になり、相手には伝わると教えてくれていた。
見返りを求めると、相手が希望通りに行動しないと、不満になる。
重いエネルギーが相手に伝わる。
人間関係が、うまくいかなくなる原因だ。
 
たとえば、相手に誕生日プレゼントをあげる。
こちらの誕生日に、お返しをしてよと思って渡すのと、見返りを求めずにプレゼントを渡すのでは伝わる気持ちが違う。
当然、反応も変わってくる。
相手の喜びだけを願い、プレゼントを渡す時と、そうでない時。
取引になると、利用されそうだと不安になる。
 
この教えは、心に刺さるものがあった。
道具ベースで行動していないか、愛ベースであるか? と気をつけていた。
 
山田くんは、わたしを道具ベースで扱っていたのだ。
単身赴任の寂しさを埋める、ゲーム相手。
ゲームをするから、暇な時に相手をしてねという取引。
共通の友達もいない、ゲームのように、すぐにリセットできる関係。
だから、最後までうそをつき、本当のことを話さずに去っていった。
 
わたしは、どうだったのだろうか?
彼と、同じだったのではないか。
身分は、偽ってはいなかった。
だが、うそをつかれていると分かっても、一緒にゲームしていた。
心の寂しさを埋める、相手だったのだろう。
 
わたしも、だましていたのだ。
結婚していると分かった時点で、パートナー候補ではない。
それでも、一緒にゲームして、知らないふりをしていた。
 
彼を道具ベースで扱っていた。
どこかで、真実を言うのを期待していた。
いいと思った相手が、実はうそつきなんて、見る目がない。
最後まで本当のことを言わずに、去っていった行動は、希望通りではなかった。
だから不満を持って、モヤモヤしたのではないか。
 
人に対して愛ベースで行動していれば、今回のような結末にはならない。
結婚していると分かった時点で、離れればよかったのだ。
 
心の隙間を埋めるのは、他人ではなく自分だ。
心を埋めるなにかは、趣味や仕事、人によって違うだろう。
自分が何をしていると、幸せでいられるかだ。
パートナーができると、人生が劇的に変わるわけではない。
自分の心を好きなもので満たして、他人とはじめて両思いになれるのではないか。
 
分かっていたつもりだけど、痛い目にあって、道具ベースではなく、愛ベースで行動する大切さを実感した。
いままでより、気を付けて行動する。
ふっと立ち止まり、いまの行動は、愛ベースかな? と確認する。
愛ベースで行動すると、相手が嬉しそうにする瞬間が、分かるようになった。
そんな時は、冷え切った心が、温泉につかっているかのように温まる。
相手の嬉しさは、心の温泉源だ。
愛ベースで行動できた時の、あたたかい感覚を忘れてはいけない。
 
参考文献:かんころ(2021)『悩みを幸せに変えるmyletterノート』KADOKAWA
 
 
 
 
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2021-12-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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