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メディアグランプリ

保育士人生に名を残す彼から感じた、文章を書くことをやめない理由


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:レイ咖(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
空気が冷えて、遮るものが何もない。スカッと晴れた休日の広場には、笑い声や鳥の声、いろんな音が響いている。
ただ、自分の周りだけはしん……と 、時間が止まっているみたいだった。
1冊の雑誌を両手で抱え、文章をじーっと見つめる。
これ私が書いたんだ……。
じんわりと温かいものが心の中に広がっている。
 
文章を勉強し始めて約8か月。もがきながら文章を書き、苦しみ続けるのに止めない。
自分が書いた作品が載っている雑誌を何度も読みながら、どうして辛いのに書くのを止めないのかを考えていた。
パラパラとページをめくって浮かんできたのは、”手のかかる子ほどかわいい”という言葉だった。
 
 
保育士として12年働いて、何百人のこども達と出逢ってきた。小さいながらに彼らは個性が出来上がっている、こども達。いつも真面目に話を聞いて、一生懸命な、先生の私からするとありがたい、いわゆる”いい子”。歴代のよい子というのも印象深いのだが、彼は違った意味で私の保育士人生に名を刻む、生徒の1人だ。
 
5歳児18名、彼はとにかく目立っていた。小学生かと思うほど彼は体格がいい。みんなより頭1.5個分出ていて、骨太で、ずしっとしている。
「おいっ! 何やってるんだよ」と友達に話かける声は、部屋の隅にいても聞こえる。声も体も、とにかくデカイ。
存在の大きさを自分でも分かっているのか、友達との付き合い方も乱暴で、自分のしたいように生きているようだった。
保育園に1日いて
「せんせー○〇くんがたたいてきた」と彼が原因で起きたケンカの報告を何件聞いたことだろう。
ケンカは日常茶飯事で、常に動き回っている彼は、シューズと飛ばして窓を割り、部屋で走り回って扇風機の羽を破壊したことだってあった。
その度に、「なんで叩いたの?」とケンカの理由を聞いて、人を叩かないことを話し、
「保育園の物はみんなのだから、大事にするんだよ」と園のルールを伝えていた。
どうしたら彼が集団生活に馴染めるのか対応に困り、クタクタになって、午後になるとほぼ毎日頭痛がした。
 
彼が追いかけている虫がチョウから、セミになって、どんぐり拾いを楽しむようになり、こども達と過ごす時間を重ねていく。つみ木を積んでいくように、彼への指導を続けていた。
 
地道に関わった成果はじわじわと表れてきて、乱暴で、困った彼も少しずつ変化してきていた。
 
冬休み明け、クラスであやとりやコマで遊んでいた。じっとしていることが苦手な彼は、あやとりなんか絶対嫌いだと思っていた。
女の子達が「みてー! まほうのほうき」と出来上がった形を見せる。
「すごい! もう出来るんだね」と盛り上がっている横で、彼は大きな体を縮め、ぷっくりした指になんとか紐を絡めようと格闘していた。彼がどこにいるか気が付かないほど静かで、「あやとり楽しい?」なんて気軽に話しかけにくかった。
 
毎日毎日練習して、「もってかえっていい?」と紐を借りて家でも練習するほどになった。
時間があれば紐を指にかけて、練習する。彼ののめり込み具合に驚いた。
何日か経ったある日「みてー」と満面の笑みでほうきを見せてくれた。彼のえがおにいつもの乱暴さは全くない。晴れやかで、子どもらしい、やりきったえがおだった。
「わー! 頑張ったね」心からそう思った。先生として、褒めているんじゃない。一個人として彼の頑張りを尊敬した。
 
冬休みが明けると、時間の流れは急激に加速する。あやとりにのめり込み、遊びきった2か月後の卒園式。私はこども達に手紙を書いた。そしてクラスで流行ったあやとりの紐を毛糸で編んでプレゼントした。
「ありがとう」の声が聞こえる中、彼は無言で紐を袋から出して、ほうきを何度も作っていた。
 
本当に大変だった。大変さをずっと忘れないと思う。だけど、彼の晴れやかなえがおや、あやとりに真剣に向かう姿も忘れられない。苦労して、彼の本当の長所をどう引き出したらいいのか、彼にはどんないい所があるのか。私も真剣に彼に向き合っていた。手をかけた分だけ、彼が成長した喜びがすさまじかった。
私が文章を書くのを止めないのは、苦しんだら苦しんだだけ、合格の言葉が身に染みるからだ。
「めちゃいいじゃないですか!」という最高の褒め言葉。本になった作品を手にした時。生み出すのは苦しくて、すごく時間もかかった。つらかった。簡単に出来なかったからこそ、喜びを感じられたのだと思う。
手のかかる子ほどかわいい。苦労した作品ほど、完成した時の喜びが大きい。
苦しみというのは、喜びを最大限に感じる為の、伏線なのかもしれない。
 
ううう……今日も私は生みの苦しみを抱えて、キーボードを叩いている。
苦しい。だけど止められない。最後に待つ最高の喜びが味わえると確信しているからだ。
 
 
 
 
***
 
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2021-12-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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